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September 29, 2004

ベッカライの移動販売

以前、「オーストリアでは朝早くから仕事をするので、午前中に軽食をとる習慣がある」といった話を聞いたことがあります。「職場の休憩」なので、普通、旅行者はお目にかかることはありません。

ある年の夏、レンタカーを借りてザルツカンマーグートを巡っていたときのことです。夕方、モンドゼーの定宿に戻り、「さて、これからビアタイム」と、勇んで車を降りました。ふと車を見ると、車の姿勢がおかしい…。後輪の空気が抜けているではありませんか。
進行方向左側のタイヤの空気が完全に抜けてしまっています。このまま走らせる訳にはいかないので、ホテルの駐車場で、テンポラリータイヤへの交換作業と相成りました。実は、タイヤの交換、日本では経験がありません。レンタカー備え付けのマニュアルを見ながら、ジャッキで車体を上げて、トランクからテンポラリータイヤを取り出し、30分ほどで交換が完了しました。近くにガススタンドがあるので、とりあえず、そこへ空気の抜けたタイヤを持ち込むことにしました(タイヤを持って歩いて行ったわけではありません。レンタカーに乗せて行ったのは言うまでもありません)。
ガススタンドのスタッフは、さっそく空気を入れてくれましたが、その結果、チューブが破損していることがわかりました。スタッフ曰く、「チューブが破損しているから、うちでは無理だね。修理工場に行ってね」。ホテルに戻り、フロントのお姉さんに修理工場の場所をたずねたところ、幸い、私が借りた車の修理工場が、モンドゼーにあることが判明。さっそく、翌朝、修理工場へ持ち込むことになりました。

翌朝、9時前に修理工場に到着し、スタッフにタイヤ補修の旨を申し出ると、さっそく作業にかかってくれました。私としては「タイヤを買い換える必要があるかな」と思っていましたが、補修で大丈夫とのこと(本当に、大丈夫?)でした。タイヤの補修が完了し、テンポラリータイヤへの交換もやってくれました。

この様子を修理工場の駐車場で見ていると、そこに一台のバンがやってきました。そこには、某ベッカライの名前が書かれています。「この車も修理かな」と思っていると、修理工場の駐車場に到着するやいなや、修理工場のスタッフが、仕事の手を休めて「この車」の周りに集まってきました。ドライバーはおもむろに、後ろのドアを開けると、そこには、焼きたての各種ブロートが…。そう、ベッカライの移動販売車だったのです。そのうち、事務所のスタッフも集まり、それぞれ、この好みのブロートを1個か2個買っています。

この間、15分ほどだったでしょうか。商売が終わると、ベッカライのバンは、次の職場へと颯爽と向かっていきました。雰囲気としては、日本の某「健康飲料の職域販売」に近い雰囲気があります。

その後、手の空いている人は、休憩に入り、さっそく買ったブロートを食べていたようです。
「私の車は、どうなるの…」と心配でしたが、幸い?担当スタッフは、ブロートを食べる前に、タイヤ交換を終えてくれました。

また、国立劇場連盟のブッキングオフィスが古い建物の中にあった頃は、朝、チケットを受け取りに行くと、発券カウンターの中に、ブロートが置いてあるのを見たこともあります(さすがに今はオープンカウンターになったので、あまり見なくなりましたが)。

タイヤがパンクしたおかげで、オーストリアの仕事風景をかいま見ることができたエピソードです。

しかし、タイヤがパンクしたのが、高速道路の高速走行中でなくて良かった…と思ったのは、それからしばらくしてからのことです。

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