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October 05, 2004

ここは音楽鑑賞専用席?

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ウィーンシュターツオパーは、すばらしい歌劇場であることに皆さんも異論はないと思います。一見すると、第二次世界大戦後、約10年かけて復興させた劇場とは思えない見事な建物で、オーストリア人のオペラに賭ける情熱が伝わってきます。

第二次世界大戦末期1945年3月の空襲で、外壁とエントランスホールの70%を除いて、焼け落ちてしまったという悲しい歴史があります。復旧に際して、大きな議論になったのが、ボックス席(Logen)の扱いだったそうです。カール・ミヒャエル・フリットゥム著の「ウィーン国立歌劇場」によると、封建的なボックス席か、民主的な座席(階上席)にするかという点でした。政治家も巻き込んだ大論争の末、最終的にボックス席が残され、ほぼ被災前の形態になりました。

私が初めてウィーンシュターツオパーで見たオペラは「トスカ」でした。しかし、直前になってチケットを購入したため、良い席はすでに入手できず、ボックス席の前から3列目(しかも舞台に近い2.Rnag 3.Rechtsだったと思いますが、忘れました)でした。お値段も格安でした(日本円に換算すると950円。今は10ユーロとなっています)。「高い、高いと聞いていたウィーンシュターツオパーにしては、やけに安いなぁ」と思い指定のボックス席へ向かいました。席についてびっくり仰天。「えーっ、この席じゃ舞台は見えないじゃないか」。そうなのです。指定された席に座って前を見ると、反対側のボックス席は見えますが、どんなにがんばっても舞台は見えません。かろうじて前から2列目の席に乗り出すと、舞台の1/4が見える(しかも上の方だけ)…という状況でした。もちろん、上演中は、そんなことができるはずはありません。19時、定刻通り開演となりました。見事な演奏、そして、すばらしいアリア、しかし、「舞台の見えないオペラは、○○○○のないコーヒー」のようなもので、今ひとつピンときません。「よく舞台が見えない席を売るものだ」と内心、思ったものです。正直、立ち見の方がよほどまともです(どちらが楽かは別ですが)。かつてボックス席は「部屋単位」で発売していたのでしょう。映画などを見ると、「お付きを引き連れて、オペラ鑑賞」というシーンがありますね。従って、見えない席は、「お付きの方」が使っていたと考えるのが普通でしょう。このボックス席を、席単位で販売するようになったために生じた「珍事」かもしれません(「珍事」と捉えたのは私だけで、オーストリアでは当たり前の話かもしれませんが…)。
とは言ってもびっくりしたことは、座ってしまうと舞台が全く見えないものの、音響効果が抜群であることです。「さすがウィーンシュターツオパー、侮れないな」と思ったものです。しかし、さすがに舞台が見えない中では、集中力が持続できず、途中で、ウトウト…(ご出演の皆さん、申し訳ない)。

その後、案内のリーフレットを良く見ると、座席表に「斜線」が入っており、舞台が見えない旨の説明がありました。その後、何としてでも舞台が良く見える席を確保するようになったのは言うまでもありません。しかし、未だに「トスカ」はちゃんとした席で見ていないのが残念です。

日本の音楽ホールでは、「舞台の見えない席」は基本的に存在しません。もし、今の日本で、このような席が存在したら…きっとクレームの嵐になることでしょう。
私にとって、ほろ苦いウィーンシュターツオパー初体験でしたが、今となっては懐かしい思い出です。

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