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February 28, 2005

「追跡 第三の男」

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2005年2月23日に、NHK-BS2で「追跡 第三の男」というドキュメンタリー番組が放送されました。実は、その前日、「第三の男」も同チャンネルで放送されていますので、ご覧になった方も多いでしょう。
今回、私も両番組を見ましたが、以前と異なり、オーストリアやウィーンに、ディープにはまっている今見ると、非常に興味深いシーンの連続でした。
本編では、「あっ、あの街角ではないかな?」、「おっ、昔も今もほとんど変わっていないじゃないか」、「中央墓地のシーンは、後ろに映っている礼拝堂の位置から、おそらくあの辺だろう」と、一人でブツブツいいながら見ていました(陰の声 なんてヤツだ)。

しかし、本編以上におもしろかったのが「追跡 第三の男」(SHADOWING THE THIRD MAN/シルヴァーアップルズ、メディアヨーロッパ、NHKの国際共同制作)の方でした。さすがに当時の関係者でもお亡くなりになっている方も多いので、「伝聞」も含まれていました。
さて、興味深かった内容をいくつかピックアップして、ご紹介しましょう。

○ウィーンでは脇を固める俳優の方が有名だった
ロケ中心の「第三の男」では、深夜に撮影現場付近のアパートを訪問し、スタッフが協力を依頼したそうです。その際、オーソン・ウエルズやジョゼフ・コットン、アニタ・バリが出る映画ですから…と説明しても、協力が得られなかったそうです。そう、ウィーンの住民は、彼らのことを知らなかったのです。つまり、オーソン・ウエルズはウィーンでは無名だったのです。
ウィーンで有名だったパウル・ヘルビガーの名前を出したところ、住民の態度が一変したと、当時、助監督だったガイ・ハミルトンが語っています。それ以来、ロケ地での協力依頼では、ご本人が出る、出ないは別にしてパウル・ヘルビガーの名前を出していたそうです。しかし、私などが「第三の男」を見ると、たどたどしい英語で話すパウル・ヘルビガーに、リアリズムを感じてしまいます。
また、アパートの管理人役で登場していたヘドウィッヒ・ブロイブトロイも、現地の人の雰囲気をだしていましたね。アパートの捜査に来た占領軍警察に「ドイツ語は話せないのか」というあたりは、思わず納得の場面です。このほか、映画の中で「人殺し、人殺し。パパ、この人が犯人だよ」と言う子役がいますが、この子供、実は素人だったんですね(今のご本人が出ていました。ヘルベルト・ハルビクとう方です)。

○多国籍チームの作品
プロデューサーのコルダはハンガリー生まれ、脚本はイギリスの作家であるグレアム・グリーン、監督はイギリス人のキャロル・リード、オーストリアの撮影所を仕切るカール・ハートル(サシャ・フィルム代表)、アメリカのプロデューサー、セルズニック(「風と共に去りぬ」のプロデューサー)。

○闇市の時代
当然、私は知りませんが、終戦直後の日本と同じような状況だったことが、良くわかります。物が不足しており、闇市が花盛り。ただし、日本以上に大変だったのは米英ソ仏の4ヵ国に分割占領されていたことでしょう。当然、当時のウィーンの風景が映りますが、爆撃により破壊された町が、痛々しさを感じます。日本では、最終的に戦前の町並みは再現されませんでしたが、ウィーンではこれだけ破壊されながら、良く戦前の雰囲気を残しているものだと、改めて感心させられます。

○遊び心が制作スタッフにあった
キャロル・リードやグレアム・グリーンは、夜は、ウィーンのクラブやカフェで遊び歩いていたようです。カサノバ・クラブが、その代表として紹介されています。

○地下下水道の追跡シーン
有名な下水道の追跡シーンは、今と違い、本物のウィーンの地下下水道を使っています。ところが、滑りやすく、俳優では滑って難しいので、実は、本物の警察官が登場しているのです。また、我が儘なオーソン・ウエルズが汚れた下水に入ることを嫌がり、ご本人の顔が映るシーンだけは、ロンドンのスタジオで撮影したそうです。そのため、冬の撮影にもかかわらず、オーソン・ウエルズがアップになる場面だけは、息が白くなりません。

○チターとの出会い
キャロル・リードは、カール・ハートル主催のパーティーでチターを弾くアントン・カラスと出会ったとのことです。しかし、録音がホテルの一室だったとか。今では考えられませんね。

○深夜の散水
石畳が反射する印象的なシーンがありますが、これは毎晩、消防車が来て水をまいたそうです。そう言えば、映画の中でも、水をまいているシーンがちょっとだけ映りますね。

しかし、オペラやオペレッタもそうですが、色々な裏話を聞くと、楽しさが倍増します。
写真は「第三の男」でも有名なシーン、中央墓地です。

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Comments

アニタ・バリではなく、アリダ・バリでは?

Posted by: 大吟醸 | March 26, 2005 at 06:45 PM

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