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May 02, 2005

フォルクスオパーの「サウンド・オブ・ミュージック」

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プルミエから色々と話題を提供してくれるフォルクスオパーの「サウンド・オブ・ミュージック」ですが、たまたま鑑賞する機会を得ました。というのは、4月下旬から公演プログラムの一部が変更となり、当初、鑑賞予定だった「チャールダーシュの女王」が「サウンド・オブ・ミュージック」になってしまったためです。
私は舞台版を見るのが初めてなのですが、映画版と異なり、途中のエピソードを省略し、テンポの良い演出に仕上げられています。たとえば、「ドレミの歌」が、マリアがトラップ大佐の家に着いた直後に入れるなどの工夫が見られます。また、映画では雷の晩、マリアの部屋に集まった子供達を勇気づけるために「私のお気に入り」が歌われますが、ここが「羊飼いの歌」に変更されていた。ちょっと、違和感がありました。というのは、この場面でマリアが「私のお気に入り」を歌いながら、カーテン生地を使って子供達の遊び着を作るというアイデアを思いつく場面なので…
舞台装置ですが、半透明のスクリーンを上手に使い、変化をつけるという手法が採用されていました。
以下、オーストリアにはまるきっかけをつくった映画「サウンド・オブ・ミュージック」に思い入れのある私が見た感想です。

○完全ドイツ語版
私は当初、英語上演、ドイツ語字幕だろうと予想していました。しかし、実際には、ドイツ語版(英語字幕上演)になっていました。台詞だけならわかりますが、よく英語向けに作られた歌をドイツ語に訳したと思います。私が聞いている限りでは、不自然さは感じませんでした。このことからも、総監督のルドルフ・ベルガーの気合いが感じられます(「地元の人に見てもらいたい」とのインタビュー記事があります)。

○マリア役Sandra pires
マリア役のSandra piresは小柄で、チャーミングなのでマリア役にぴったりの雰囲気を持っています。若い頃のジュリー・アンドリュースに雰囲気が似ていると感じる人もいるかもしれません。これは、たぶんに髪型も影響しています(映画のジュリー・アンドリュースに似せてある)。お芝居の方の演技力は水準なのですが(一生懸命さが伝わってきます)が、問題は、プルミエでも話題になった彼女の歌唱法でしょう。共演者は、基本的にクラシック系の発声を基本としている中で、彼女が唯一ポップス系の発声法なのです。フォン・トラップ大佐役のMicael Krausが見事なクラシック系の発声をするだけに、デュエットの部分では、多少気の毒な感じがします。ただし、熱心なファンが生まれているようで、実際の公演では私が予想した以上に声援が多くかけられていました。
ただし、フォルクスオパーの「良き伝統」とも言えるのかもしれませんが、脇役に重量級歌手を配置して、「ポイントを締める」という手法を採用しています。今回のケースでは、修道院長にGabriele Sima(プルミエの時はHeidi brunner)が登場しましたが、第一部と第二部の最後に歌う「すべての山を登れ」で抜群の歌唱力を披露し、舞台を引き締めていました。このあたりは、オペレッタでも見られるフォルクスオパーの手法なので、ベルガーは歌唱法には、目をつぶって、雰囲気優先でSandra piresを選んだのかもしれません。

○人気の子供達
やはり、事実上の主役となる子供達の人気は、抜群です。長女リーサ役のDagmar Bernhardがクラシック系の発生をしているため、マリアと一緒に歌う場面ではSandra piresが見劣りするシーンが見られました。

○ナチス・ドイツ
演出で驚いたのは、後半のナチス・ドイツに関する演出です。ドイツでは「御法度」になっているハーケンクロイツや、ナチス式敬礼が舞台上とは言え、再現されている点、違和感を覚える人もいるでしょう。なお、ナチス・進駐後、悪役となる行政官のThaddäus Podgorskiは、元ORFの総裁とか(ただし、歌手ではなく役者さんです)。

○カーテンコール
カーテンコールは「ドレミの歌」の演奏の中、メンバーが一人ずつ出てくるというスタイルでした。そして、全員が揃ったところで、「エーデルヴァイス」のアンコール。客席も歌うように舞台から案内があり、それなりの盛り上がりを見せていました。

物語の設定からオーストリアの皆さんには不評なのはわかりますが、外国人には受けるような「つぼを押さえた演出」になっていると実感した「サウンド・オブ・ミュージック」でした。
特に若い客層が通常の公演より多く、ルドフル・ベルガーの戦略をかいま見た思いがします。日本人にはオーストリアはなじみがなくとも、「サウンド・オブ・ミュージック」は人気があるので、今後、観光客の定番コースになる可能性を秘めていると感じた次第です。

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Comments

はじめて、メールをいたします
実は、2日の日チャ‐ルダッシュの女王を目当てに、日本からウィーンのフォルクスオーパーに行きました。始め劇場に到着した時にやけに子供が多いのでウィーンでもカールマンのオペレッタを見るのだと関心していましたが、掲げてあるポスターにサウンドオブミュージックと書いてあるので、あれと思いながらも、ホテルに配達された券を片手にスタッフに見せると、今日のエントリーは違う、又の機会にと言われ愕然としましたが、当日券が4ユーロと62ユーロの席ならあると言われ、反対にこんな機会もないし、どんな演出で繰り広げられるか(ストーリーも知っているし 逆輸入のサウンドオブミュージックを見れるなんて)反対にラッキーだと思い、62ユーロの良い席で見させてもらいました。1幕.最終幕.終わりも口笛が、鳴り響き盛りあがりを見せていましたよね、又お書きにもなられている、ナチの場面、私もびっくりしました、あんなに大きくナチの旗が演出に使われたのにはびっくりし、カーテンコールのエーデルワイスのみんなでの盛りあがり(思わずいけない事ですがホームビデオでその場面を撮影してしまいました)とても感激してしまいました。
すみません、まずは、この共有できることがらを、だれかに話したくてはじめてメールいたしました。

Posted by: 鈴木 秀明 | May 07, 2005 18:20

コメントありがとうございます。
地元での「評判」については、下記のサイトに詳しく紹介されています。
ぜひ、一読をおすすめいたします。
http://www3.starcat.ne.jp/~nisak/soundofmusic.html

Posted by: オペレッタにはまっている男 | May 07, 2005 20:16

初めまして。私も6月12日の公演を見てきました。この日は子供のための公演で、時間も通常より1時間早く、客席も大勢(Ausverkauft)の子供連れの客がいて、民族衣装親子などもいて、いつもとは違ってまた華やいだ雰囲気でした。
舞台は、映画と比べると随分あっさりと、あまり葛藤もなくサクサク進んで行くなあ、との思いもありましたが、音楽祭シーンからはさすがに盛り上がり、エーデルワイスの全員合唱(^^;;では、ついホロリと・・・と言った様子の客もいたようです。なるほど、詳しく知ればサウンド・オブミュージック自体への批判もあるようですが、一観客としては、楽しませてもらった、と思いました(ドイツ語歌唱にはビックリしましたが)。

Posted by: ファルケ | July 03, 2005 15:54

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