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October 2005

October 31, 2005

四半世紀前のウィーン(その1)

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さて、今日は「昔話」です。私がはじめてウィーンを訪れたのは、1979年夏のことでした。しかし、この年は、列車の乗り換えのために立ち寄ったため、滞在時間は、ごくわずかでした。本格的にウィーン市内を散策したのは、1980年夏のことです。ちょうど、四半世紀前になりますね。

当時は、まだオペレッタもオペラも「敷居が高く」、対象外でした。当時は出版会社に勤務していたこともあり、私的な旅行だったのですが、取材もかねて市内を撮影していました。

さて、先日、その当時の写真が出てきました。25年前の記憶がよみがえります。まず、驚いたのはリンク沿いの旧市街(特に建物)はほとんど変わっていない…ということです。当たり前ですが、市庁舎もブルグ劇場といった史跡は、25年前も今とまったく同じです。また、シェーンブルン宮殿やベルベレーレ宮は、周辺に比較するものが少ないので、25年前の写真でも、今年撮ったものだと言ってもわからないでしょう。一方、東京では歴史的建造物も地震対策などもあり、建て替えられてしまい、25年前と全く変わらない場所は、さすがに少ないと思います。

また、路面電車は系統こそ整理されているものの、走っている車両は今とほとんど一緒です(厳密には違うのですが)。さらに、ヨーロッパでは自動車の耐用年数が長いので、自動車もあまり変わりません。唯一、変化があるものはバスでしょうか。バスは意外と耐用年数が短いようで、明らかに形が違っています。

ちょうど、この時期、地下鉄の新しい路線(U4など)が開通しており、路面電車の路線が整理されています。なお、写真は1980年7月に撮影した、国会議事堂前を走る路面電車です。

余談ですが、夜はシュタットパークで開かれているウィンナ・ワルツコンサートに出かけていました。会場の椅子に座らずに立っていれば、料金も必要がありません。まだ若かった私は、友人と一緒にウィンナワルツを聴いて、ウィーンに来たことを実感した思い出があります。それから25年。まさか、ウィーン国立歌劇場やフォルクスオパーで、本場のオペラやオペレッタを聴くことになるとは…人生はわからないものです。

これから「四半世紀前のウィーン」について、時々、当時の写真とともに、思い出をご紹介します。

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October 24, 2005

「大盛り」ならぬ「小盛り」が登場

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今年(2005年)の夏、ザルツブルク州の田舎を巡っていた時のエピソードを、紹介しましょう。

私も、オーストリアのお料理は好きなのですが、最近は年齢が高くなってしまったこともあり、「フルスペックのお料理」は、完食できないことが多くなりました(ちょっと寂しいですが)。とくに田舎に行くと、お値段がウィーン並みの場合、量は1.5倍はありますから、注意が必要です。

そこで、通常、フルスペックのオーストリア料理は、一日に一回(昼食か、夕食のどちらか)にするケースが多くなっています。また、昼に会食をする場合は、朝食も抑えめにしています(ゼンメルの個数を減らします)。
さて、私の「夏のバカンス」は、現地でレンタカーを借りて、オーストリアの田舎を回るのが「恒例行事」となっています。地方に行くと、街道沿いに自動車で直接入ることができるレストランが多く、助かります。当然、昼食後も自動車で移動する場合は、「禁酒」です。また、ちょっとした町になると、中心部の道路が狭いため、駐車場に車を止めて、町を散策することになります。

さて、宿泊先のホテルを出て、特に目的地も定めず、車で回っていました。11時過ぎに「ある町」に到着しました。中心に立派な協会がありますが、こぢんまりとしたオーストリアらしい町です。スーパーやベッカライなどもあり、近所の方が買い物にやってくるような町です。

ちょうど、昼になったので、この町で昼食をとることにしました。オーストリアに限らず、多くのレストランやバイスルでは、玄関にメニューが出ているので、これを見て、どの店に入るかを決めています。とくに「定食(メニューと言いますね)の内容」に注目しています。

さて、いつも通り玄関先に掲示されているシュパイゼカルテを見ていると、「定食」に「クライネス・メニュー」(KleinesMenü)という表示を見つけました。内容を見ると、この店では、フルスペックの定食と以下のような違いがありました。
1.ズッペかデザートの選択
2.メインディッシュが小さい
その他、サラダバーが利用できる点はフルスペックと一緒です。お値段は、フルスペックが11.5ユーロ、位ネス・メニューが9.5ユーロとなっていました。

興味があったので、さっそくその店に入り、「クライネス・メニュー」(KleinesMenü)をオーダーしました。今の私にはぴったりの量で、楽しい昼食となりました。貧乏性なのか、おいしいものを残すことが気になっていたので、今日は幸せです。つい、カフェもオーダーしてしまいました。

ゆっくりと食事を楽しんでから、会計を済ませて表に出ました。ふと気になって、近くのレストランのシュパイゼカルテを見たら、こちらにも「クライネス・メニュー」がありました。不思議に思っていると、その理由がわかりました。実は、この町には、規模の大きい、高齢者向けの施設があるのです。昼食に外出する方も多いようで、その方々のニーズに応えた…というのが実態のようです。そういえば、私が利用したレストランも、ご年配のお客様が中心でした。
今後、このような「クライネス・メニュー」(KlienesMenü)がオーストリアに普及すると、食事がまた楽しくなると思っています。

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October 17, 2005

ヨーグルトのラベルに見る分別収集

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オーストリアに限らず、ヨーロッパは環境問題に関心が高く、リサイクルの仕組みも日本以上に徹底しています。瓶類のデポジットは、その代表でしょう。瓶も色付きと無色で、回収ボックスも分けられています。また、あらかじめ「リサイクル費用」を商品価格に含んでいるとの話も聞きました。

さて、そんな中、ホテルの朝食で出されるヨーグルトの容器を見て、おもしろい発見をしました(たいしたことはありませんが)。というのは、印刷してある外装を本体から簡単にはずせるようになっているのです。

これで、ふた、容器、外装の三種類に簡単に分別できる仕組みです。さすがに環境先進国…と言いたいところですが、実際には分別して捨てているかどうかは不明です。事実最近では、ゴミの出し方を守らない市民が増えて、問題になっているとか…

やはりシステムや仕掛けを作っても、人の意識が変わらないと駄目なのでしょうね。

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October 14, 2005

これで毎日オーストリア気分

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最近はインターネットを使った情報の配信が盛んですが、ORF(オーストリア放送協会)でも、ラジオ放送をインターネットで配信しています。ご丁寧に全国放送に加えて、州単位の放送もリリースしています。

地方局に関しては、Windowsメディアプレーヤーに対応している局と、リアルプレーヤーに対応している局が混在しています(国営放送で配信方式が統一されていない点が、いかにもオーストリアらしいですね)。

また、全ての局ではありませんが、現在、ラジオで放送している番組をそのままインターネットで配信している局もあります。これを聴いていると、気分はオーストリア!!
ウィーンやグラーツ、ザルツブルク、インスブルックあたりをドライブしている時にラジオから流れる番組が楽しめます。

なお、アクセスはORFのサイトから、入ることができますが、下記のアドレスがラジオのサイトです。
http://radio.orf.at/
日本のオフィスで仕事中、このインターネットラジオを流していると、窓の外は日本の風景ですが、ふとウィーンのオフィスに居る気分になり、仕事がはかどります(単純な人間です)。えっ、誰かからクレームが出ないか…ですか?
大丈夫、オフィスは個室ですから…

さて、このインターネットラジオですが、現地時間11月5日に行われる「ウィーン国立歌劇場再建50周年記念演奏会」がライブ中継されるようです(ライブなので日本時間では11月6日の3時から)。チャンネルはÖ1です。

ちなみに現在公開リリースされているプログラムでは、演目が“フィデリオ”“ドン・ジョヴァンニ”“ばらの騎士”“アイーダ”“ニュルンベルクのマイスタージンガー”“影のない女”などから有名なアリアが取り上げられるようです。

指揮者は、音楽総監督の小澤征爾氏をはじめ、ズービン・メータ、クリスチャン・ティーレマン、ダニエレ・ガッティ、フランク・ウェルザー・メストなどの名前が挙がっています。

出演する歌手ですが、こちらも注目です。エディタ・グルベローヴァ、アグネス・バルツァ、アンゲリカ・キルヒシュラーガー、デボラ・ポラスキ、ヴィオレッタ・ウルマーナ、ソイレ・イソコスキ、ルカルダ・メルベート、ナディア・クラステーヴァ、イルディコ・ライモンディ、ゲニア・クーマイアー、プラシド・ドミンゴ、ミカエル・シャーデ、ヨハン・ボータ、トーマス・ハンプソン、フルッチョ・フルラネット、ボアズ・ダニエル、ゲオルグ・ティキー、フランツ・グルントヘーバー、ブリン・ターフェル、ファルク・シュトラックマン、ヘルリッヒ・ペコラーロなどの名前が挙がっています。

ぜひ、インターネットラジオを通じて鑑賞したいものです。

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October 08, 2005

フォルクスオパーがCD・DVDを発売

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2005/2006シーズンの開幕に合わせてフォルクスオパーが、自劇場で収録したCDとDVDの発売を開始しました。
現在発売されているものは、DVDが昨シーズンにプルミエが行われた“シカゴの公爵夫人”、CDが“オペレッタ・ライブ”(“ウィーン気質”・“チャールダーシュの女王”・“メリーウィドウ”のハイライト)、“サウンド・オブ・ミュージック”です。

いずれもライブ版で、CDについてはORFラジオが録音した音源を使用しています。
“オペレッタ・ライブ”に収録されている3公演の録音ですが、“ウィーン気質”が2004年10月23日、“チャールダーシュの女王”が2005年3月19日、“メリーウィドウ”が2005年6月5日(プルミエ)となっています。

“サウンド・オブ・ミュージック”のCDは珍しくありませんが、何と、ドイツ語版という「珍品」です。ドイツ語版は初リリースで、ロジャース&ハンマーシュタイン財団の許可を得ての発売です。

私は、“オペレッタ・ライブ”と“サウンド・オブ・ミュージック”の両CDを購入しましたが、ライブ版なのでフォルクスオパーの観劇時の記憶がよみがえります。“サウンド・オブ・ミュージック”もハイライト版ですが、なぜか、カーテンコールの場面も収録されています。

フォルクスオパーの情報では、今後、“売られた花嫁“のドイツ語バージョンとハイライト集DVDが発売される模様です。また、フォルクオパーで上演された“マルタ”のCDもあるようです。

お値段ですが、 “シカゴの公爵夫人”DVDが19.9ユーロ、“オペレッタ・ライブ”CDが18.1ユーロ、 “サウンド・オブ・ミュージック”CDが17ユーロです。私はフォルクスオパーの劇場売店で購入しましたが、ウィーン市内のレコードショップでは見かけませんでした(探し方が悪かったのかもしれませんが…)。

もし、現在の企画がヒットすれば、“ルクセンブルク伯”や“ボッカッチョ”などもリリースされる可能性があるでしょう。さぁ、日本のオペレッタファンの皆様、フォルクスオパー訪問時には、買いましょうね。

ところで、個人的には、ORFがフォルスオパーで収録した多数の音源があるので、これらをインターネット経由で、ダウンロード販売してくれたら言うことがありません(全部買っちゃいます)。
何しろ、この手のプログラムはCDでは需要が限られているので、コストがかかります。そのため、なかなか音源が世の中に出ない可能性があると思います。インターネット配信の場合、逆にこのような需要が限られているプログラムでも、比較的安価で提供できると思います。ORFさん、いかがですか?

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October 04, 2005

“ルクセンブルク伯”プルミエ評

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10月1日にプルミエを迎えたフォルクスオパーの“ルクセンブルク伯”ですが、現地新聞評の情報を親しい方からいただきました。

「クリーエ」と「プレッセ」の批評ですが、双方とも合格点とのこと…
「クリーエ」は総評5点満点の4点(「待ってました 本物のオペレッタが登場」といった雰囲気の見出しだそうです)、「プレッせ」が、「まずまずの出来」(80点くらいか)とのことです。両紙とも、演出を高く評価しているようですが、やはりウィーンのオペレッタではオーソドックスな演出の方が「受ける」のでしょうね(私もそちらの方が好きですが)。

プルミエの際、私は舞台からかなりずれた席(斜めから見る感じ)だったため、歌手の評価は難しかったのですが、ハウスデビューとなったルクセンブルク伯役のTurkは高評価だったようです。

確かに2回目の公演では、プルミエで自信がついたのか、のびのびと演じていました。今後が楽しみです。また、ロシア領事バジール役を演じた大御所HeinzZednikには最大限の讃辞が送られています(確かに脇を固める名優があったこそ、オペレッタはおもしろくなるのです)。また、中嶋さんについては、「クリーエ」では、評価が良くなかったようです。私の場合、今回、席が中央ではなかったことと、日本人ですから、ひいき目に見ているところはあると思います。

ところで、フォルクスオパーで難しいところは、「どの程度、リニューアルするか」というところだと思います。
“ルクセンブルク伯”については、久しぶりの公演なので、オーソドックスな演出で高評価を獲得したのだと思います。しかし、「定番」である“こうもり”や“メリーウィドウ”は、昔のままの演出では地元のお客様に飽きられてしまう可能性があります。かと言って、“メリーウィドウ”のように思い切った新演出にすると、大ブーイング大会となってしまいます。

たとえば、国立歌劇場でも外国人(とくに日本人)に大人気の“椿姫”などは、最近のウィーンでは珍しいほどオーソドックスな演出です(舞台がきらびやかで、これだけでも見たかいがあったという人もいます)。しかし、その他の演目についてはバイエルンほどではありませんが、かなり斬新な演出になっています。国立歌劇場の場合、観客の多くが外国人となる演目の場合、意図的に旧演出で行っていると推察されます。

フォルクスオパーの場合、実は現在はオーストリアの団体客で成り立っているところもあります。事実、3日には大型バスが5台横付けされていました。ご年配の方向けのオペレッタ・ツアーという訳です。
しかし、「興行的に成功すること=芸術家として満足すること」ではないので、この狭間で総裁や音楽監督、演出家は悩むのだと思います。

個人的には、ウィーンの雰囲気を残したオペレッタを上演し続けてもらいたいものです。

ところで、現在の総裁であるベルガーさんが、来シーズンで退任するようです(任期は、もう1シーズンありますが…)。劇場に対する助成金の問題などでご不満があるようだとのことです。どこの国でも、そうですが、歌劇にはお金がかかりますからねぇ(日本でも有名どころの歌劇場引越公演では、高額な入場料収入だけでは運営できず、スポンサーが数社が必要とのお話を伺いました)。

一方、国立歌劇場の総裁ホーレンダー氏は「ご商売が上手」で、大手のスポンサーが、ずいぶんついています(日本の大手自動車メーカーもスポンサーですね)。

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監視カメラ付きの地下鉄・路面電車が登場

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日本でも最近は鉄道車両内での事件が増えていますが、先日、ウィーンの地下鉄(U3で見ました)に乗ったところ、車内に監視カメラがついている車両がありました。天井に4台、全方位型のカメラがついています。また、「カメラで監視している」という注意書きも車内に設置されていました。ウィーンもそれだけ治安が悪化しているのかと、ふと心配になってしまいました。

また、路面電車にも監視カメラのついている車両があるようです(地下鉄と同じ「カメラで監視している」という表示がある車両を見かけました。18系統のトレーラー)。

おそらく試験的に導入しているのだと思いますが、カメラの画像は車両で録画しているのか、それともどこかに電送し、そこで監視しているのか、興味あるところです。

日本でも街頭に設置された監視カメラにより犯人が検挙されたという例も、報告されていますので、今後は、このような形になるのかもしれません。ある意味、日本よりも、治安に対する考え方が進んでいるのかもしれませんね。

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October 03, 2005

突然単線になってしまった地下鉄

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またまた鉄道の話題で恐縮です。
シェーンブルン宮殿へのアクセスとして観光客の利用も多い地下鉄U4ですが、最近、びっくりするような経験をしました。

カールスプラッツ駅からHütterdorf駅に向かっていたときのことです。シェーンブルン駅の手前、MeidlingHauptstrase駅を出た直後、列車が徐行し、何と反対側の路線に入ったのです。「おいおい正面衝突は勘弁してくれ」と思っていると、列車はそのまま加速してシェーンブルン駅の1番線(本来はハイリゲンシュタット方面の列車が使うホーム)に入りました。方向を間違えて乗車しないようにオーストリアの駅では珍しく、構内放送が繰り返されていました。

実はシェーンブルン駅で降りる予定はなかったのですが、興味があったので、途中下車することにしました。反対側の2番線を見ると、プラットホームの大規模改修工事を行っています。一部のホームを壊して、改めてコンクリートを打つという本格的な工事です。こちらにしては珍しく日曜日にも工事をしていまいた。

その後、再びU4に乗りHütterdorf方面を目指すと、次のHietzing駅で運転が打ち切りになっています。そして、Hütterdorf駅には、ここから乗り換えるようになっているのです(2番線がHütterdorf方面の臨時乗り場になっていました)。
つまり、シェーンブルン駅の工事にともなって、MeidlingHauptstrase駅とHietzing駅間は単線運転になっているのです。そして、列車のダイヤを正常に維持するため、Hütterdorf駅-Hietzing駅間は折り返し運転をしているのです。

国鉄では、線路の工事が頻繁に行われるため、複線の路線でも、事実上、単線を並べた形(単線並列方式)になっていることは知っていましたが、地下鉄まで同じ方式とは、正直びっくりしました。これが臨時なのか、どこの場所でもこのような対応がとれるのかは、わかりませんが、興味深い体験でした。しかし、Hietzing駅は乗換えのために、係員を配置して案内に当たらせるなど、こちらでもレアケースなのかもしれません。
写真はシェーンブルン駅の1番線に入るHietzing行きの列車です。向かいの2番線は工事中です。

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October 02, 2005

フォルクスオパー“ルクセンブルク伯”プルミエ速報

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フランツ・レハールのオペレッタ、“ルクセンブルク伯”が10月1日にフォルクスオパーでプルミエを迎えました。
前シーズン、“メリーウィドウ”のリニューアルで大ひんしゅくを買ってしまったフルクスオパーの雪辱なるかという、注目の初演です。と言っても、“ルクセンブルク伯”自体、上演頻度が少なく、何を持って「定番」というのかという、判断基準がはっきりしません。来年のメルビッシュでも“ルクセンブルク伯”を上演しますので、来年になると、違った意味で演出の優劣がつくかもしれません。実は、以前、ブダペストオペレッタ劇場で、“ルクセンブルク伯”を見る予定だったのですが、諸般の事情で、見ることができませんでした。私にとっては初めての演目です。
また、通常、フォルクスオパーの場合、ここ数年、オペレッタのプルミエは12月(クリスマスシーズン前)が多かっただけに、10月1日という期日も興味があります。

さて、プルミエですが、当初予定されていた出演者が大幅に変更されました。まず、タイトルロールのルクセンブルク伯がMehrzadMontazenからMiljienkoTurkに、相手役のアンゲリカがRenatePitscheiderから、AkikoNakazima(中嶋彰子さん)に、それぞれ変更されました。中嶋さんは当初、3日に出演する予定でした。なお、広告用の大型ポスターや月刊プログラムではMehrzadMontazenとRenatePitscheiderの写真が掲載されているので、予定外の変更だと思います(写真は月刊プログラムの表紙ですが、このお二人はプルミエには登場しませんでした)。いずれにしても主役2人の変更というのは、かなり珍しいことでしょう。

なお、指揮者はヨハン・シュトラウスⅡ世に似た風貌のAlfredEschwéでした。AlfredEschwéはオペレッタ指揮には定評があるので、期待が持てます。

1幕は、カーニバルの狂騒がクライマックスを迎える「薔薇の月曜日」という設定です。町の広場でルクセンブルク伯こと、ルネー・グラーフが仲間と騒いでいるシーンで始まりました。軽快な音楽で、テンポの良い展開です。その後、ルネー・グラーフの親友であるマンフレッド(EugernAmesmann)と、その彼女であるジュリーとのやりとりが、部屋の中で続きます。広場から部屋への転換は、フォルクスオパー得意の回り舞台を上手に使い、スピーディーに行われました。ジュリーは本来「スプレッド」と呼ばれる役のようで、今回はNatalieKarlが担当しました。おもしろい役なのですが、歌だけではなく表現力(特に身体表現)が問われるので、難しい役でもあります(個人的な感想では、ちょっとお上品かな…といった感じです)。ちなみにブダペストオペレッタ劇場が「ルクセンブルク伯」を上演している理由がわかる気がしました(ブタペストオペレッタ劇場は、オズワルド・マーリカをはじめ、スプレッド役の宝庫です)。

そこへ、ドラマのキーマンであるロシア領事バジール(HeinzZednik)が登場します。HeinzZednikは、演技、歌ともに良い味を出していました。バジールは、自分が愛人にしたい女性を、ルネーと偽装結婚させる企みです。高額な報酬に目を奪われたルネーは謎の女性(アポロ劇場の歌手アンゲリカ、中嶋彰子)との偽装結婚を承諾するのですが、このあたりはオペレッタらし、楽しい台詞のやりとりがあります。また、偽装結婚のシーンも、なかなか笑わせる演出になっていました。

第2幕は「カーニバルの火曜日」で、アンゲリカが出演しているアポロ劇場のホワイエが舞台となります。ここでアンゲリカを見たルネーは、彼女の魅了されるのですが、2人のデュエットが聞き所です。レハールらしい美しいメロディが雰囲気を盛り上げます。やはりレハールはワルツを基本としているので、フォルクスオパーは得意なのかもしれません。また、2幕でもマンフレッドとジュリー(アポロ劇場のバレリーナという想定)との「恋のやりとり」がありますが、ここではメリーウィドウの3幕で良く使われる「Ich hol dir vom Himmel das Blau」が、マンフレッドとジュリーのデュエットで歌われました。これは結構、良い演出だと思います。

ところで“ルクセンブルク伯”は3幕もののオペレッタですが、1幕と2幕が短いため、休憩を入れるタイミングが難しいようです。2回の休憩では多すぎるし、かといって1幕終了時では、早すぎる…といったところでしょう。そこで、今回はオリジナルの2幕を分割して、途中で休憩を入れるという方式をとったようです。具体的には、アンゲリカとルネーが、お互いを愛し合っていることを認め、そこへバジールが介入してきて、離ればなれになるシーンで休憩を入れていました。

休憩後の再開も、ちょっと前に戻ってからスタートしました。ちょうどテレビでコマーシャルの後に、前のシーンをちょっと流す手法と同じです。まぁ、そうしないと不自然な感じになってしまうからでしょう。
アポロ劇場のホワイエで、最終的にルネーがアンゲリカを愛していることを、集まった仲間の前で再度告白し、バジールを振り切り、2人でホテルへ出かけるシーンで2幕は終わります。

2幕から3幕へは暗転ではなく、回り舞台を上手に活用し、ホテルのシーンへと転換させていました。その際、バジールの妻、アナスタシア(RegulaRois)がタクシーに乗って登場するという形をとっていました。このタクシー(舞台には超小型車が登場します)には色々と仕掛けがあり、舞台を盛り上げてくれます。
3幕のスタートはアナスタシアがホテルに到着するシーンから始まります。気性の荒い女性という想定で、オーバーな演技で観客の笑いを誘います(これくらいが、ぎりぎりという感じ)。

ところで、最近のフォルクスオパーは3幕でこけるケースが多いので心配していましたが、今回はウィットに富んだ台詞が多いものの、比較的オーソドックスな演出でした。アナスタシアはホテルの従業員を部屋に連れ込んで、さっそくお楽しみ…という演出もありました。そこへマンフレッドとジュリーがやってきて、盛り上がりながら部屋へ入っていきます。さらにバジールがホテルへ戻ってきて、妻が来ていることを知り、びっくり仰天するという筋書きになっています。
これから先は、バジールが愛人の契約を解除し、軽快なエンディングに乗って、3組のカップル(ルネーとアンゲリカ、マンフレッドとジュリー、バジールとアナスタシア)の誕生を仲間が祝福するというストーリーでした。最後はオペレッタらしい楽しいエンディングでした。個人的にはフォルクスオパーの新演出では、久しぶりに「まともなオペレッタ」に仕上がっていると感じました。特に変にひねった演出ではなく、オリジナルのストーリーと音楽を大切にしながら、台詞で味付けをするといった感じです。

現地新聞評は月曜日になると思うので、そちらも楽しみです。

それにしても、タイトルロールではありませんが、中嶋さんのすばらしさが光った舞台でした。個人的には歌、演技とも申し分ありません。また、ルクセンブルク伯ことルネー役のMiljienkoTurkはフォルクスオパー初出演とのことですが、まずまずの出来だったと思います。今後、なれてくるとさらに良くなるでしょう。今日は席が中央ではなかったので、歌手の力量は必ずしも正確に把握することができませんでした。
久しぶりに、本来のフォルクスオパーらしいオペレッタに仕上がっていますので、機会があったら皆さんも是非、ご覧になったらいかがでしょうか。
なお、EMIで全曲版CDも販売されていますので、事前に予行演習をすることもできます。

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October 01, 2005

アンカー時計リニューアルオープン

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今日は、オマケの記事を一つ。
ウィーン名所の一つである「アンカーの仕掛け時計」ですが、リニューアル工事が完了し、10月から以前のようなデモンストレーションが始まりました。

9月下旬にはリニューアルオープンを知らせる横断幕が時計にかけられていました。

しかし、これを見る場所は意外と狭く、デモンストレーションが始まる12時前になると、向かいの歩道は人であふれてしまいます。私もリニューアル前に見たことがありますが、本当に「観光名所」という感じでした。
また、これで以前のにぎわいを取り戻すことでしょう。

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