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March 27, 2006

「出待ち」あれこれ

SABBATINI

オーストリアでは、夏時間になりましたね。 さて、今日は、オペラファンのお話です。 劇場の楽屋口で、ごひいきの歌手や役者が、公演を終えて出てくるのを待つことを「出待ち」と言います。また、逆に、公出演するため、劇場に入るのを待つことを「入待ち」と言うそうです。日本の劇場や音楽ホールでも、熱心なファンは、昔から「出待ち」、「入待ち」をして、ごひいきの歌手や役者にプレゼントを渡したり、サインをもらったりしているようです。いわば、ファンとの数少ない「交流の場」というこになるでしょうか。

実は、ごく最近まで、私は、このような言葉すら知りませんでした。また、無縁の存在でした。それが、今では、ウィーンに行くたびに、国立歌劇場の楽屋口で、待つようになるとは… 人生はわからないものです(大げさですが)。

一般的には、「入待ち」は、公演を前にして、出演者は神経質になっていることが多いので、待っているファンも気を遣うようです。それに対して、「出待ち」の方は、良い公演ができた場合は、出演者も上機嫌で、ファンの要望に応えてくれるケースが多いものです。ただし、公演で特定の歌手にブーイングが出たような場合は、ファンと顔を合わせず、裏口から、さっさと帰ってしまう場合もあるようです(これは、来日公演でも、時々あります)。

この「出待ち」ですが、歌手の人柄をかいまることができ、おもしろいものです。このほか、「出待ち」をするファンの人数で、歌手の人気をうかがい知ることもできます。来日公演の場合、楽屋で関係者との挨拶などがあるため、実際に楽屋口から歌手が出てくるまでに、1時間以上かかるのが一般的です。しかし、ウィーンの場合、特別な公演(プルミエなど)を除き、カーテンコール終了後、20分ほどで出てきます。

「出待ち」ファンの多くは、ごひいきの歌手からサインをもらうこと、写真を撮ること、お話をすることなどを目的にしています。まず、サインですが、サイン帳(日本人のファンは色紙を用意している方もいらっしゃいます)にもらうのが一般的なようです。そのほか、サイン用に、当日の公演ポスター、プログラム、持参の写真などを持ってくるファンもいます。特に熱心なァンは、ごひいきの歌手と一緒に撮影した写真を持参し、その写真にサインをもらっています。また、歌手によっては「自分のポートレート」を準備しており、そこにサインを書いて、渡してくれる場合もあります(写真のサバッティーニさんから、いただいたポートレート)。日本でも「出待ち」はありますが、来日公演の場合、招聘元の社員が、かなり制限を加えているため、残念ながらウィーンのような「ファンとの交流」には至りません。

とくに「出待ち」で興味深いのは、「素顔の歌手」を間近で見ることができることでしょう。実際、舞台では存在感のある歌手が、間近で見ると、意外と小柄だった…ということもあります。このほか、おもしろいのはファッション(私服)です。必ずしも豪華なファッションに身を包んでいる訳ではなく、ダウンジャケットを羽織って、歩いて帰っていくという歌手もたくさん見かけます。

私がごひいきのグルヴェローバさんは、ファンを大切にする方なので、特別なケースを除いて「出待ち」のファンの要望に応えてくれます。「出待ち」ファンの数が多い場合、サインも立って行うのではなく、守衛所の窓口に座って対応しています(楽屋口のテーブルを使う場合もあります)。本来、公演直後で疲れていると思うのですが、大変丁寧に一人ひとりのファンに対応している姿を見ると、ますますファンになってしまう…という感じです。

ウィーンの場合、集まっているファンも、国際的です。しかし、皆、一様にうれしそうな表情をしているのが、印象的です。日本では、一列に並んで、順番にサインをもらうのですが、ウィーンでは、「並ぶ」という習慣ないのか、楽屋口はごった返しています。それでも、ぎすぎすした雰囲気になりにくいのは、すばらしい公演に満足し、心にゆとりがあるからなのかもしれません。


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Comments

コメントが入れにくくなったとか。

Posted by: 成田の近くの住人 | March 29, 2006 08:14

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