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March 09, 2006

その後の“メリーウィドウ”は…

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2005年6月のリニューアルで、大幅に改悪されてしまったフォルクスオパーの“メリーウィドウ”ですが、3月8日、久しぶりに鑑賞する機会を得ました。
当たり前ですが、基本的な演出(構成)は、プルミエ当時のままですが、出演者や演出に手を加えて、再起を図ろうという姿勢が伝わってきます。その内容をご紹介しましょう。なお、開演前に、舞台上からハンナ役のUrikeSteinskyの説明がありました。内容は、ステージオーケストラと、舞台装置の改良にシュターツオパー・メンバーの協力があることのようでした。

○出演者の変更
昨年のプルミエでは、歌手の入れ替えが行われましたが、さすがに問題が多かったのか、今回見た公演では、プルミエの時に比べると、ダニロ役のモーテン・フランク・ラールセン(Morten Frank Larsen)は、そのままでしたが、ゼータ男爵はヘラルド・セラフィン(Harald Serafin)、ハンナはUrike Steinsky、ベラシェンヌはRenate Pitscheiderといった歌手に交代していました。
昨年は、「歌はうまいが、お芝居は下手」と酷評されたモーテン・フランク・ラールセンですが、この1年間、精進したのか、だいぶお芝居も上達してきました。ただ、以前にもご紹介したように、ダニロに必要な「退廃的な雰囲気」を醸し出すには至っていません。ただ、これは演出で、全体の時間を縮めていることも関係しているのかもしれません(演技を凝るには時間的余裕が少ないように感じています)。

○演出の見直し第二幕の「ヴァリアの歌」が、プルミエ時は半透明のスクリーン越しに歌われましたが、今回は、スクリーンを完全に明けた状態で行われました。また、プルミエ時には空中ブランコに乗ったまま歌っていたのですが、今回は、最初はブランコに乗っていたものの(高さもプルミエの半分くらい)、その後は降りて、舞台上で歌うように改められていました。さらに、「ヴァリアの歌」のアンコールも、ちゃんと行われるように「改め」られました。ただし、基本構成は変えていないので、動物の「着ぐるみ」を着た人が出てくる点、「森の妖精」が歌の最中バレエを繰り広げる(男女のペア)といったところは、変わっていません。まぁ、以前、指摘したように観客が歌に集中できるように、動きはだいぶ少なくなっている点は評価できるでしょう。

さらに、「女、女、女のマーチ」についても、基本構成は一緒ながら、最初から女性が登場しなくなり、かなり以前の雰囲気に戻っていました。ここは、本来アンコールで盛り上がるシーンですが、リニューアル前と同じく、二回歌うようになりました。それでも、お芝居が中途半端なので、盛り上がりは今ひとつでしたが…

このほか、プルミエでは舞台を降りて歌う場面が二箇所ありましたが、これは廃止されています。

第三幕のカンカンについては、ベラシェンヌが歌う「グリゼッティンの歌」に合わせて、ダンサーによるカンカンが始まるという形態は変わりません。ただし、全体のつながりが良くなり、プルミエ時よりも多少は改善されました。
また、プルミエでは最後の聴かせどころ、「唇は語らずとも」の時に、観客や踊り子など、周囲にたくさんの人がいたのですが、ここは今までのように「二人の世界」を再現するようになりました(周りの人はいったん引き上げます)。

○という訳で…
とにかく大御所セラフィンさんを引っ張り出してくる位なので、よほど危機感を持っているのだと思います。ただ、プルミエ時と同じく、お芝居を簡単にしすぎているため、オペレッタらしい、駆け引きが感じられない点が惜しまれます。私見ですが、オペレッタは「歌」「お芝居」「ダンス(バレエ)」が三位一体となり、初めて楽しい舞台を創り上げることができると思っています。時代を反映して、公演時間を短縮するという考えもわかりますが、時間を短くすることのみに意識が集中してしまうと、「お芝居」の部分を省略することになります。オペレッタの「お芝居」は、微妙なやりとりや、心理的な駆け引きが随所に見られ、これが魅力のひとつになっています(時にはアドリブもあるようですが)。

実際、オペラでは、ワーグナーの演目は5時間以上あるにもかかわらず、これを3時間に縮めようという人はいません(歌ばかりだからできませんが)。
今回、約1年ぶりに“メリーウィドウ”を見ましたが、「あのプルミエ」のまま、突っ走っていなかったことが、唯一の救いです。
ルドルフ・ベルガーさんが、フォルクスオパーから手を引いてしまうようですが、次の方には、再度、「オペレッタの原点」に立ち返って、復興を果たしてもらいたいものです。

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Comments

はじめまして!

>ゼータ男爵はヘラルド・セラフィン
私の記憶違いでなければ、その昔、東京公演でダニロを演じてらしたと思うんですよ。
あれから、かなり時間が経っているから不思議ではないのですが、イメージ湧きません。
いかがでしたか~?

メリー・ウィドウの新演出、試行錯誤のようですが、いつか前の演出を凌駕する出来になると良いですね。
前作、傑作でしたからなかなか大変だと思いますけれど。

Posted by: shanshan | March 12, 2006 00:45

コメント、ありがとうございます。
そうですね。セラフィンさんといえば、かつて、来日公演でダニロを演じました。
この方に、ダニロは、まさに「はまり役」といった感じだったようです。
さて、お歳を召したとは言え、オペレッタ役者としては、やはり最高です(とくに演技)。
昨年はメルビッシュでも、ゼータ男爵役を演じていましたので、安心して見ることができました。
ただ、演出の問題は、実力派歌手をもってしても、いかんともしがたいものがありますね。

Posted by: オペレッタにはまっている男 | March 12, 2006 15:57

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