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August 21, 2006

メルビッシュ2006の“ルクセンブルク伯”

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今年も恒例のメルビッシュ・フェスティバルを見てきました。今年の出し物は、レハールの“ルクセンブルク伯”です(7月13日から8月27日まで開催)。昨年、フォルクスオパーでも“ルクセンブルク伯”のプルミエがあったので、そういう意味では、比較できるという楽しみがあります。セラフィンさんも、最近は意図的に同じような演目を上演し、良い意味で、内容を競っているのかもしれません。なお、ORFでは、8月14日に放送されたようです。

舞台装置は、パリの街角をイメージしているようで、ルネー・グラーフのアトリエ(今回は、貧乏画家という設定)は、カフェがある建物の屋上に設定されていました。前半は、ここでお話が進むことになります。

さて、1幕は、カーニバルの狂騒がクライマックスを迎える「薔薇の月曜日」です。予想通り、派手な山車が登場し、カーニバルの雰囲気を盛り上げます。このあたりは、野外劇ならではの演出と言えるでしょう。当然、カーニバルに参加している人の数も多く、華やかなオープニングとなります。ルクセンブルク伯こと、ルネー・グラーフは派手な仮装で、仲間を引き連れて登場します(MichaelSuttnerとThomasPiffkaのダブルキャスト)。なお、フォルクスオパー版では、ルクセンブルク伯は「売れない作家」という設定だったのですが、メルビッシュ版では、売れない画家になっていました。

<下に続きます>

その後、ルネー・グラーフの親友であるマンフレッドと、その彼女であるジュリーとのやりとりが、屋上の部屋で続きます。

そこへ、ドラマのキーマンであるロシア領事バジール(HaraldSerafinとAlfredSramekのダブルキャスト)が、本物の自動車で、派手に登場します(このあたりの派手な演出はメルビッシュ風でしょう)。なお、AlfredSramekは、華やかさに欠ける部分があり、ちょっと存在感が薄い印象でした。

バジールは、自分が愛人にしたい女性を、ルネーと偽装結婚させる企みです。高額な報酬に目を奪われたルネーは謎の女性(アポロ劇場の歌手アンゲリカ。GesaHoppeとRuthOhlmannダブルキャスト)との偽装結婚を承諾するのですが、このあたりはオペレッタらし、楽しい台詞のやりとりがあります。ただし、野外劇なので、どうしても細かい演出は、正直よく伝わってきません。また、偽装結婚のシーンも、画家という想定を活かして、絵に穴を開けて、指輪を交換するという、なかなか笑わせる演出でした。

ストーリーはオリジナルに沿っているのですが、第1幕は基本的に「部屋の中でのお話」、しかも密談風な展開なので、野外劇ではどうしても雰囲気が盛り上がらない感じがします。実際、舞台左側にあるカフェの2階に部屋(回転式で、屋内と屋外を切り替えることができる。画家のアトリエ)があり、ここで物語が進行するのだが、如何せん、ちまちましていて、話の展開がよくわかりません。さすがに、ここだけで物語を展開することに無理上がるのは、承知しているようで、歌いながら町中へ出てくるというシーンが随所にありました。
この後、見知らぬアンゲリカを思って、ルネー・グラーフが歌うシーンが第1幕のハイライトになります。そして、開き直って「金が入ったから、皆で騒ごう」という形になるのですが、その間にダンスシーンが入っているため、ちょっと、間延びした感じがしました。全体的に冗長な感じがします。なお、メルビッシュ版では、ここで休憩を入れていました(フォルクスオパー版では、第1幕をテンポ良く進め、第2幕の途中まで引っ張るという演出でした)。

第2幕は「カーニバルの火曜日」で、アンゲリカが出演しているアポロ劇場が舞台です。フォルクスオパー版では、アポロ劇場のホワイエでしたが、さすがメルビッシュ、劇場のステージを再現して、派手な踊りなどで盛り上げます。とくにアンゲリカは、日本の紅白歌合戦も真っ青な派手な電飾衣装で舞台に登場しました。公演のシーンが終わると、その後は、舞台裏、楽屋で話が展開します。ちょうど、裏表が逆転した感じで、ここの演出は効果的でした。千秋楽なので、パトロンのバジールがパーティーを開きます。

ここでアンゲリカを見たルネーは、彼女の魅了されるのですが、なぜか、ルネーが正装で登場するので、第1幕の貧乏画家とのイメージが重なりません(お金が入ったので、服装も整えたのでしょうかね)。当然、ここは2人のデュエットが聞き所です。レハールらしい美しいメロディーが雰囲気を盛り上げます。最後は、ルネーがアンゲリカを連れ出してしまうという展開は、オリジナル通りです。

2幕から3幕へは暗転で、ホテル(グランドホテルとなっていた)の場面へと転換しました。この場面転換は、ホテルの従業員がダンスをしているうちに行うようになっており、観客を楽しませる工夫が見事です。フォルクスオパー版では、バジールの妻、アナスタシアがタクシーに乗って登場するという形をとっていましたが、ここはオーソドックスに正面玄関から、堂々と登場する形でした。

3幕のスタートは、アナスタシアがホテルに到着します。アナスタシアは、気性の荒い女性という想定なのですが、今回は、野外劇にしては、個性の出し方が弱い感じがした。アナスタシアは歌いながら、ホテルの従業員を突き飛ばしたりするのですが、洗練されすぎていて、オペレッタらしい「毒々しさ」に欠けている感じがしました。その後、ルネーとアンゲリカがホテルに到着し、チェックインを済ませるシーンへと移行します。
バジールがホテルへ戻ってきて、妻が来ていることを知り、びっくり仰天するという筋書きはオリジナル通りです。その後、アナスタシアがバジールに詰め寄るシーンは、なかなか笑わせる演出になっていました(セラフィンさんの時は、爆笑の渦でした)。

これから先は、バジールが愛人の契約を解除し、軽快なエンディングに乗って、3組のカップル(ルネーとアンゲリカ、マンフレッドとジュリー、バジールとアナスタシア)の誕生を仲間が祝福するというストーリーです。最後は、メルビッシュおなじみとなったルクセンブルク伯のメドレーに乗って大花火大会となります。

今回は、舞台そのものは派手で、舞台装置も凝っているのですが、オリジナルのお話が、こぢんまりとしているためか、今ひとつ、野外劇にはフィットしないように感じました。さて、フォルクスオパー版とメルビッシュ版を比べた場合、最近はメルビッシュ版の方が遙かに良かったのですが、今回は、フォルクスオパー版に軍配を揚げましょう。やはり野外オペレッタの場合、演目による向き、不向きがあるようです。

なお、来年は、メルビッシュ50周年ということで、“ウィーン気質”(7月12日から8月26日まで)が予定されています。さて、台詞が多い、このオペレッタを、どのように料理するかが楽しみです。

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Comments

久し振りのオペレッタ・ネタを楽しく拝見!
「ラ・ボエーム」にも似たintimateな愛しさを感じさせる「ルクセンブルグ伯爵」をメルビッシュで派手に上演する事の是非論は当然あるかと思いますが、メルビッシュ湖上祭は興行的には大成功とのことで、つまり世間が受け入れたわけですから「レビューオペレッタ」とも言うべき新しいジャンルが生まれたと納得すべきかと思います。独断と偏見を承知で言いますと私はメルビッシュ版はテレビで見たほうが良いような気がします。
私は15年前に「ルクセンブルグ伯爵」をVOPで観ました。オペレッタにしてはちょっと陰影のある舞台でした。あのミス・カンカンのM・ホリデーが意外としっとりとしてとても良かったし、気が利かなそうなキャラクターのH・クレーマー(バジル)が身軽に踊ったりしたので感心しました。伯爵はA・アイヒホルン(顔忘れました)。外にF・ヴェヒター、L・ライトナー等。あの頃のVOPはまだ良かったなあ・・。
「オペレッタにはまっている男さん」
 肩書きにふさわしくオペレッタの話題をもっと沢山 お願いします。
 それからお好きな歌手は?


Posted by: Unicorn (N.S) | August 23, 2006 00:16

ご愛読、感謝いたします。私ももっとオペレッタものを掲載したいのですが、如何せん、現地ウィーンでもオペレッタの上演が減っております(^^;)

なお、メルビッシュは、集客については、非常に努力しております。具体的には、多くの旅行会社と提携し、団体客や旅行会社手配個人客を集めているようです。確かに、メルビッシュ流というスタイルを確立したのは事実ですし、一定の地位を確保したことには、頭が下がります。

ただ、集まっているお客様の多くが、1シーズン1回の鑑賞ですし、なおかつ、「夏の風物詩」となっているため、フォルクスオパーなどに比べると、厳しいコメントは少ないようです。

また、セラフィンさんのキャラクターによるところが大きく、現地のプルミエ評でも「セラフィン・ショー」という記述が見られました。

それにしても、オペレッタ文化が衰退していくのは残念でなりません。

Posted by: オペレッタにはまっている男 | August 23, 2006 22:11

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