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November 25, 2006

オーストリア&オーストリー狂想曲

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今日は、ちょっと困った話題です。

2006年10月、在日オーストリア大使館から、「オーストリア」の新しい日本語表音表記を「オーストリー」に変更するという「重大な発表」がありました。日本語表記の変更は、「カンガルーがいる南半球のオーストラリアと間違われることが多いこと」が理由だそうです。

確かに私が日本で、色々な人にオーストリアの話をすると、時々、オーストラリアと勘違いされるケースがあります。ちなみに在日オーストリア大使館から発表された資料には、日本語表音表記変更の理由が以下のように紹介されています。

日本ではオーストリアはオーストラリアと常に混同されております。この違いを明確にするため調査を始めたところ、Österreich には以前は別の呼び名があったことが判明致しました。 Hungary(現在のハンガリー共和国)がホンガリーと呼ばれていた頃、すなわち19 世紀から1945 年までの間、Österreich はまさに「オウストリ」と表記されていたのです。 今日でも多くの日本人は「オウストリ」をÖsterreich として認識しております。 当時も今日と同様に、国名表記の標準化はありませんでした。

文献を紐解けば、1873 年に発行された地理誌「萬國地名往来」にもÖsterreich は「ヲウストリ」と表音表記されております。日本が参加した1874 年のウィーン万国博覧会においても、Österreich は「オウストリ」と紹介されております。

そこで、私たちは発音と表記を考慮し長音(ー)を入れ、Österreich の呼称を 「オーストリー」 と変更することで、オーストラリアとの違いを明確に致します。
オーストリー大使館、及びオーストリー大使館商務部の表示は現在変更中であり、名刺の表記は既に変更済みです。

より多くのオーストリー及び日本の機関、企業、個人の方にこの新しい表記を使用していただくことにより、 「オーストリー」 の名が広く速やかに浸透していくことと存じます。

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(オリジナルの記事は、ここで見ることができます)。

確かに、ご年配の日本人の中には、オーストリ(なまってオーストリー)と言う人もいらっしゃるようです。そういえば、その昔、漢字で「墺太利」(なかなか読めませんが…)と書いていたという記事を見たことがあります。

ただし、私個人としては、オーストリアに慣れ親しんでいたので、「ブログのタイトルを変えなければいけないのかなぁ。やれやれ」と思っていたところ、11月に入って、これまたびっくりする「新しいニュース」が入ってきました。

2006年11月17日、オーストリア政府観光局から発行された「オーストリア・トラベル・ニュース」には、「オーストリア政府観光局と在日ウィーン代表部では、オーストリアを継続使用する」という記事が掲載されているのです。では、その一部を抜粋してご紹介しましょう。

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メディアでこのところ騒がれております、オーストリアの日本語表音表記の変更についてのお知らせです。「オーストラリア」と間違えられないため、国名を「オーストリア」から「オーストリー」に変更するという趣旨のニュースが流れ、当観光局にも朝からたくさんの問い合わせが続いております。
日本では、1945年から現在の名称「オーストリア」が正式に使われており、既に定着しています。
日本の方がよく口を滑らせて「オーストラリア」とおっしゃいますが、頭の中ではウィーンやザルツブルクなど「オーストリア」のことを話題にされており「言い間違い」にほかなりません。既に日本中の本や学校の教科書が「オーストリア」と明記されており、日本人も子供の頃からこの名前に親しんでいます。
そこで私たちオーストリア政府観光局とウィーン代表部は、現在使われている通り「オーストリア」をこのまま使い続けることを皆様にお知らせ申し上げます。

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全文は、http://www.austria-connection.at/anto/travelnews/vol_111.htmlに掲載されています。

ということは、日本では、観光局と大使館(実際は商務部)で、それぞれ独自路線をとるようです。この手の話ですが、公式に発表された情報以外、水面下で様々な駆け引きがありそうです。

部外者の私は知るよしもありませんが、意外と、どろどろした権力争いがからんでいそうな気がします。さて、最終的には、「オーストリー」、「オーストリア」のどちらに軍配が上がることのでしょうか。

このほか、間違われる相手になっているオーストラリア大使館は、この日本語名称変更に、どのような関心を持っているか興味があったので、ネットで記事を調べてみました。すると、正直、「よその国の話にはあまり関心がない」といったような受け止め方をしているようです。

と、上記の記事をまとめて、「さて、ブログにアップしよう」と思っていた矢先、次のようなニュースが入ってきました。

以下、オリジナルから引用します。

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ペーター・モーザー 駐日オーストリア大使 メッセージ

「オーストリアの公式日本語表記は変わりません!」

オーストリアは最近日本のメディアをはじめ、一般市民から大きな注目を集めました。わが国の公式日本語表記 「オーストリア」 に代わり 日本国民が日常的に  「オーストリー」 を使用することを奨励する運動を私が始めたことによるものです。
このテーマにメディアと一般市民が大きな関心を寄せられていることを大変喜ばしく思います。「オーストリア」 と 「オーストラリア」が頻繁に混同されていますが、その回数が減ることに役立ったことであれば幸いです。日本では観光・文化立国「オーストリア」のイメージが確立していることから、これらの分野において混同される可能性は比較的低いものです。

ここで強調したいことは、オーストリア大使館が日本語表記の公式な変更を要請したものではないことです。それは専ら日本国の裁量下にあると認識しています。

わが国の日本語における公式表記 オーストリア は変わりません。しかし、オーストリア大使館は 以前既に長年使われた経緯のある オーストリー が広く使用されることにより、「オーストリア」が「オーストラリア」と混同される頻度を減らすことに役立つことを願っています。

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オリジナルの記事は、http://www.austria.or.jp/index-j.htmlでどうぞ。

ところで、面白いことに、日本では、政府に一度登録した国名は、「政変が起こるなどして国名が変わらない限り、公式には変更することができない」ことになっています。そのため、日本政府や官公庁が発行する資料や情報には、観光局が主張する「オーストリア」が継続して使われるようです。どうも、この一件があるため、急きょ、在日オーストリア大使館側が「折れた」ような雰囲気です。

当ブログの名称を、いっそうのこと「墺太利こぼれ話」とでもしようかな?と考えていた矢先、思ったより早く決着が付いてしまいました。さすが、「オペレッタ国家」だけのことはあります。
何やら、このドタバタを見ていると、本当にオペレッタの話みたいですね。

いずれにしても、オーストリア・ファン、ウィーン・ファンの皆様のご意見をぜひうかがいたいものです。コメントをお待ちしています。

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