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December 15, 2006

2006/2007シーズンの“メリーウィドウ”は…

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クリスマスシーズンを前にフォルクスオパーの改築が終わりました。外観はきれいになりましたが、さて、中身の方はいかがでしょうか。

2005/2006シーズンのリニューアルで、大幅に「改悪」されてしまったフォルクスオパーの“メリーウィドウ”ですが、2006/2007シーズンに入って、さらに手直しが行われたようです(2005/2006シーズンの内容からも変更されました)。
その内容を、ご紹介しましょう。

○出演者は…
2006年3月には、ゼータ男爵はヘラルド・セラフィン(Harald Serafin)を引っ張り出すという、奥の手を使いましたが、私が今回見た12月15日の公演では、CarloHartmannが登場しました。芸達者な歌手で、舞台を盛り上げていました。ダニロ役のモーテン・フランク・ラールセン(Morten Frank Larsen)は、プルミエ当時、「歌はうまいが、お芝居は下手」と酷評されたのですが、経験を積んだせいか、だいぶお芝居も上達してきました。ただ、かつてフォルクスオパーに登場したダニロ役と比べると、どうしてもスケールが小さい感じは否めません。

ハンナはUrike Steinsky、ベラシェンヌはRenéeSchüttengruber、ニグシュはSándorNémeth(この方は、フォルクスオパーの「チャールダーシュの女王」でフェリバチ役として登場しています)などが登場しました。全体的に歌手の人選が良くなっているように感じました。

○演出は…
経費削減の折から、舞台装置が抽象的になっているのが、今の傾向ですが、さすがにこの点だけはプルミエから変わっていません(変えてしまったら、それこそ、新々演出になってしまいます)。しかし、祖国国王の誕生記念パーティーという想定なのに、国王の肖像画もなくしてしまうのは、どんなものなんでしょうね。初めて見たら、このパーティーの意味が全然わからないような気がしますが…

第二幕、前半の聴かせどころである「ヴァリアの歌」は、本年3月公演と概ね同じ演出でした。ただし、今回は、「ヴァリアの歌」のアンコールが、またまた省略されてしまった点が残念です。ブランコを使って歌う点や、動物の「着ぐるみ」を着た人が出てくる点は、同じですが、庭に招待客がいる中で歌われるというオーソドックスなスタイルに戻っています。また、「森の妖精」が歌の最中バレエを繰り広げる(男女のペア)は、なぜか、庭の噴水にある彫刻が踊り出すようになっていました(突然、噴水の彫刻が動き出すので、ちょっとびっくり)。

さらに、第二幕で盛り上がる「女、女、女のマーチ」についても、3月公演のパターンが踏襲されていました。リニューアル前と同じく、二回歌うようになりました。それでも、以前よりは、オペレッタ全体のお芝居が中途半端なので、盛り上がりは今ひとつでしたが…

第二幕から第三幕は暗転で行われますが、第三幕が開く前、ゼータ男爵が緞帳の前で歌うシーンが追加されています。そして、ゼータ男爵がグリゼッティンに緞帳の裏に連れて行かれて、第三幕がスタートします。

第三幕のカンカンについては、ベラシェンヌが歌う「グリゼッティンの歌」に合わせて、バレリーナによるカンカンが始まるという形態は変わりません。ただし、全体のつながりが良くなり、プルミエ時よりも多少は改善されました。また、プルミエの時は、バレリーナが妙な花から登場したのですが、これは普通に舞台の袖から登場する形になっていました。ただし、如何せん、「天国と地獄」を使ってカンカンを踊る訳ではないので、観客の手拍子も盛り上がりません(私の性分には「天国と地獄」のテンポが合うようです)。
最後の聴かせどころ、「唇は語らずとも」の演出についても、3月公演と同じく、観客や踊り子を下げて、「二人の世界」を再現するようになりました。

○という訳で…
リニューアル前の公演を知らないで、現在の公演だけを見れば、それなりに楽しめるかもしれません。しかし、お芝居が大幅にカットしているため、「オペレッタ独特の世界」が再現されていません。前回もご紹介しましたが、出演者同士の駆け引きが感じられない点が最も残念です。例えば、どうでも良い部分ではありますが、第二幕でゼータ男爵、ニグシュ、ダニロの三人で、本国から来た暗号電報の解読を巡るギャグなどもなくなっています。

恐らく今の時代に合わせて時間を短縮し、スピーディーに見せようとしているのだと思いますが、それが逆にストーリーのつながりを壊す結果になり、完成度が低下しているような気がしてなりません。また、このような手直しが、頻繁に行われることから見ても、フォルクスオパー自体の「迷い」が感じられます。オペラの場合、大物を引っ張り出し、すばらしいアリアを聴かせると、これでOKということもあります(つまり、演出はブー、歌手はブラヴァ)。しかし、オペレッタの場合、お芝居の要素が強いだけに、見当違いな演出は、公演そのものの魅力を半減させてしまいます。

仮に、私が最初に見たオペレッタが今の「メリーウィドウ」だったら、ここまでオペレッタにはまった可能性は低いと思います。是非、再度、大幅な改訂を期待したいものですが、これは次期総裁に期待するしかなさそうです。

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Comments

16日深夜、NHK・BShi メトロポリタン・ガラコンサートは楽しかったですね。ここまで絢爛豪華となるとネトレプコが出ていないのが不自然に思えたほどです。
・・・でオペレッタは「メリーウイドウ」から「ヴィリアの歌」と「唇は黙しても」の2曲でしたが、K・マッティラは触れなば落ちんのお色気、T・ハンプソンはチョイ悪の遊び人の雰囲気があってとても良かったです。それに引き換えフォルクスオーパーでのU・シュタインスキーは色気に欠けるし、M・F・ラーセンはマッチョ気味で洒脱さに欠ける、と亦もや新「メリーウイドウ」の悪口になってしまいましたがお許しください。
ところで「メリーウイドウ」の映像ソフトとしては私はフォルクスオーパー初来日時ベータ録画した古いものとメルビッシュ版しか持って居りません。現在市販されているものがあるかどうか知りませんが何か情報があったらお知らせください。

Posted by: Unicorn(ユニコーン) | December 17, 2006 19:09

ユニコーンさま、コメント、ありがとうございます。

あいにく16日は、ウィーンに滞在しており、日本のテレビはご無沙汰です。
さて、「フォルクスオパー初来日時のビデオ」は、恐らく、演出、出演者も含めて、フォルクスオパー黄金期の「メリーウィドウ」かと思います。

とにかく、初来日の際、この上演を観て、オペレッタに対する見方が変わったという音楽ファンが大勢いらっしゃったと聞いています。

是非、大切になさってください。それにしても「メリーウィドウ」の決定版は、今ではライブで観ることが出来なくなってしまいました。悲しい限りです。

なお、17日はカールマンの名作オペレッタ「伯爵令嬢マリッツア」のプルミエが上演されます。さて、その仕上がりは…

Posted by: オペレッタにはまっている男 | December 18, 2006 00:22

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