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December 22, 2006

オペレッタ番外編 シュタットオペレッタ・ドレスデン(その2)

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以前ご紹介した「オペレッタ番外編」シュタットオペレッタ・ドレスデン(ドレスデン・オペレッタ劇場)ですが、12月にカールマンの名作、「チャールダーシュの女王」を見る機会に恵まれましたので、その模様をご紹介しましょう。

まず、今回の公演ですが、開演は19時30分、終演が22時ということで、3幕構成ながら、若干短縮していることがわかります。さて、注目の演出ですが、前回ご紹介した「メリーウィドウ」と異なり、時代設定も含めて、オーソドックスなものでした。ただし、物理的に舞台が狭いこともあり、バレエと合唱を同時に行うことが難しいようです。そのため、フォルクスオパーのように、合唱団とバレエを同時に展開する演出は、かなり困難だと思われます。

さて、全体的な印象としては、カールマン特有の「躍動感あふれる舞台」になっていないように感じました(あくまでも私の私見です)。これは、歌手が踊りを得意としていない人がいることと、演出によるものだと思います(歌手の特徴にあわせて、無理な演出を避けているきらいがあります。ただし、ワルツは皆さんそつなくこなしていました)。

とくにシルヴァ役のMarianneEienbaumは、一生懸命にやっている姿勢は伝わるのですが、今ひとつ「チャールダーシュの女王」という雰囲気ではありませんでした。具体的には、歌や踊りの際、チャールダーシュのリズムが、完全に消化し切れていない感じがです。また、主役の特徴となっている、感情の起伏も十分表現されていない感じがした。
フェリバチ役のHans-JürgenWieseは、地元でも人気のある歌手のようです。事実、歌、芝居とも魅せるものがありました。しかし、こちらも踊りが若干苦手なようで、この点、物足りなさを感じました。ただし、現在のドイツで、歌、踊り、芝居の三つを兼ね備えた「歌役者」を探すのは、非常に難しいかもしれません。
また、バレエのシーンも数多く入れていますが、もっとチャールダーシュのリズムを取り入れた方が、舞台が際だつと感じました。

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演出では、1幕、シルヴァとエドウィンの結婚式シーンは、バレエ団だけの参加となったため人数が少なく、ちょっと寂しい感じがしました。

2幕のウィーンのリッペルト公爵邸ですが、舞台装置が簡素な割には、雰囲気を出していました。ここでは、ボニ(FrnkOberüber)とスタージ(MaritinaHaeger)の掛け合いが、ひとつの山場になりますが、こちらは楽しい舞台になっていました。しかし、踊りは控えめな感じがしました。

さて、3幕の注目は、ヤイママンですが、歌だけで、踊りを十分取り入れていないため、日本人の私としては、今ひとつ盛り上がりに欠けてしまいました。また、ジプシー楽団もバイオリン1名だけと、この点でも寂しい感じがします。3幕は、芝居の部分が多いだけに、ヤイママンでもっと盛り上げて欲しかった気がします。なお、フェリバチとリッペルト公爵婦人がグランドホテルで、偶然再会する場面は、通常、歌はありません。しかし、シュタットオペレッタ・ドレスデンでは、「伯爵令嬢マリッツア」で使われる「シミーでダンスを」を二人で踊りながら歌うという趣向でした。こリッペルト公爵夫人は、かつてチャールダーシュの女王(歌手)だったわけですから、これは効果的な演出でした。全般的に、踊りが重要なファクターとなる「チャールダーシュの女王」は、ドイツ系の歌手では難しいかもしれません。

シュタットオペレッタ・ドレスデンの場合、カンパニーの規模の問題からか、どうしても自前の歌手を使わざるを得ません。そういう意味では、演目に得意、不得意がはっきりしているように感じました。
実際、今シーズン、プルミエを迎えた「乞食学生」に関しては、テレビで予告をちょっと見ただけですが、良い味を出していました。

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なお、観客の多くは地元(もしくはドレスデン周辺)の方のようで、遠路、鑑賞にくる人は珍しいようです(実際、劇場は市の中心部から離れていることも、外国人観光客を誘致するにはハンデキャップになると思います)。そのため、全般的にドイツ人(というか、ドレスデンに住んでいるドイツ人)に的を当てた演出になっているのかもしれません。

しかし、忘れてはならいのが、料金です。一番良い席でも22ユーロです。フォルクスオパーの約3分の1の値段で、この水準のオペレッタを見ることができることを考えると、東ドイツ時代ならばいざ知らず、現在の物価を考えると驚嘆に値します。そういう意味では、本当に良くやっていると言えます(チケットの料金が安いということは、当然、出演者への報酬にも影響があると思います。さらに、舞台装置などに投入できる費用も制限されると思います)。

前回もご紹介しましたが、フォルクスオパーやブダペスト・オペレッタ劇場もオペレッタの上演回数が、激減する傾向にあります。そのように考えると、全公演の3分の2をオペレッタで占めるシュタットオペレッタ・ドレスデンは、貴重なオペレッタ劇場と言えるでしょう。それだけに、特徴を活かしたオペレッタに期待したいものです。

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Comments

いつも楽しく拝見しています。
このブログの情報でドレスデン国立オペレッタのホームページを見てヨハン・シュトラウス作曲(女王のレースのハンカチーフ)を上演していることを知り(これは昨年61年ぶりにドイツコークブルグで演奏会式演奏された事は知っていたのですが、実際ドレスデンで上演されている知り)どうしても見たくゴールデーンウィークを利用し行って参りました。
そのほかに、乞食学生(これも初めて見ましたが)とウィーン気質もみましたが、ドレスデンで見るウィーン気質もなかなかと言うより、わたし的には、ドレスデン気質と題名を変えたほうが・・・・と思いましたが。
でも、開演前のひとときシュランメルをホールで演奏をして雰囲気を盛り上げていたようです。22時に終演し観客の方が三々五々と言うよりはあっと言う間に皆さん帰宅していたようで、地元(それもお年寄りの)方が多かったようでした。3公演見ましたが、乞食学生が一番地元のかたに受けていました。観光客の多かったのはウィーン気質(観光客がバスで3台位)来ていましたし、女王のレースのハンカチーフはドイツのヨハン・シュトラウス協会とイギリスのシュトラウス協会の方が見に来ていました(なぜ判ったかって?シュトラウスのシルエットのバッチをつけていましたので)
とりとめもない事を書いてしまいましたが、このブログの情報で楽しい一時を過ごさせて頂ありがとうございました。今後とも貴重な情報と楽しい体験記を毎日期待しております。

Posted by: 鈴木 秀明 | May 11, 2007 20:31

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