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January 05, 2007

「こうもり」四方山話1 国立歌劇場編

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年末年始のオペレッタといえば、やはり「こうもり」になります。

年末年始のオペレッタといえば、やはり「こうもり」になります。何しろ、物語の設定が12月31日から1月1日にかけての話なので、とくに大晦日にはヨーロッパの歌劇場では定番となっているようです。そこで、当ブログでも、日本国内公演も含めた「こうもり」の話題を提供しましょう。まず、第1弾は、ウィーン国立歌劇場です。

なお、速報版は下書きをアップしてしまったので、間違いが多くて失礼しました。

「ウィーン国立歌劇場のオペレッタ」といえば、「こうもり」が代表選手です。一時期、「メリーウィドウ」を上演したこともありましたが、回数では圧倒的に「こうもり」でしょう(余談ですが、「メリーウィドウ」は日本公演の際にも上演されましたね)。
現在、上演中のものは、1979年12月31日のプルミエ版です。とういう訳で、正直、近代的な演出が主流になりつつある国立歌劇場では、「古い演出」(というか、オーソドックスな演出)の代表かもしれません。ちなみに、2007年1月の時点で、この演出での上演回数は120回を越えています(プログラムの出演者リストに上演回数が記載されています)。というわけで、カットの写真はプログラムですが、デザインが見るからに「時代物」です。
最近では、年始にも上演されるようになりましたが、もともとオペレッタを上演しない劇場ですから、年末スペシャルが「本番」で、年始の方は、「年末のチケットが買えなかったお客様向けの公演」と考えた方が良いでしょう。
というのは、このブログにも、時々、コメントをお寄せ頂く「はっぱさん」の日記によると、やはり年末公演では、サプライズが仕掛けられているようです。

詳しくは、当ブログにもリンクを張っていますので、「はっぱさんの日記」をご覧戴くとして、2006年12月31日版では、当日しか登場しないという出演者もさることながら、二幕の「オルロフスキー邸での夜会」のゲストとして、ガランチャ(ElinaGaranča。ある年明けの「セビリアの理髪師」ではロジーナ役を演じました)が登場し、本来、オルロフスキーやロザリンデのアリアをちょっと歌い、当の歌手をあせらせたようです(もちろん、そういう演出なのですが)。

という訳で、31日は、単純に値段が高いだけではなく、ちゃんとお客様を喜ばせる仕掛けが用意してあることがわかりました。はっぱさん、良いものを観ましたね。正直、オペレッタファンとして、うらやましい…。

さて、1月公演でも、出演者は全公演同一ではありません。私が見た日の、主要な配役は、アイゼンシュタイン役はJohanDickie、ロザリンデ役はIldikóRaimondi、フランク役はAlfredŚramek(2日の「セビリアの理髪師」ではバルトロ役を担当していた宮廷歌手)、オルロフスキー役がElisabethKulman、アデーレ役がDianaDamrau、ファルケ役がAdrianErödが、そして三幕の主役フロッシュはRobertMeyerつとめました。また、指揮者はBertrand de Billyでした(昨年は、エディタ・グルベローヴァの旦那さんであるフリードリッヒ・ハイダーさんでしたね)。

さて、演出が古い分、舞台装置や衣装も豪華絢爛で、「観光客」が多い、お正月公演にぴったりです(雰囲気が出ています)。さて、当たり前ですが、「年明けの公演」なので、サプライズはなく、普通の演出でした(^^;)
一幕のアイゼンシュタイン邸は、わずか45分ほどの場面なのに、ここまで凝ったセットにするか…といった感じで、居間が再現されています。左側に二階へ続く階段があり、これを上手に活用して、主要人物が登場します。とにかく、最近の国立歌劇場では考えられないくらい、舞台が明るいのが特徴です。

二幕は、ご存じ、オルロフスキー邸での夜会になります。ここは舞台が広い国立歌劇場ならではの「回り舞台」を上手に活用した演出です。つまり、ゲストを迎える玄関と、夜会が開かれる大広間を回り舞台で切り替えるようになっています。ここは合唱団やバレエ団も多数登場し、年越しの夜会らしい、華やかな雰囲気が再現されています。二幕の後半は「雷鳴と電光」のメロディーで、乱痴気騒ぎになるという、いつものパターンで、舞台を盛り上げます。

三幕は、刑務所の場面になります。「こうもり」は、通常、舞台装置が極端に違うため、休憩が二回入るのが一般的です(ビュフェやバーは大もうけでしょう)。この場面では、小道具が重要な役割を果たします。ストーブとやかん、ソーダサイフォン、ろうそくと中央に穴の空いた新聞(穴が空いている理由は、フランクが居眠りをする際、ここからくわえた葉巻を出すためですが)、そして、32日が出てくるカレンダーなどが定番のアイテムです。国立歌劇場版では、アルフレードが収容されている牢屋は、右側の階段を上がったところにある設定です。一幕が昼、二幕が夜、三幕が朝と、見事に照明が使い分けられています。

さて、私が見た個人的な感想ですが、アイゼンシュタイン役のJohanDickieは、歌、演技とも良かったのですが、女好きのイメージ(要するに女に目がないスケベなオヤジ)が弱い感じがした(これは無理な相談かな)。
ロザリンデ役のIldikóRaimondiはきれいに歌う歌手なので、一幕では結構良かったのですが、聴かせどころである二幕の「チャールダーシュ」が今ひとつでした。元々、声量で圧倒するタイプの歌手ではないので、この手の歌は苦手なのかもしれません。

アデーレ役のDianaDanrauは、かわいい歌手なので雰囲気はアデーレにぴったりでした。ただ、演技がちょっと過剰気味な感じがしました(要は大げさ)。オペレッタでは、演技も重要ですが、終始大げさな演技をすると、おかしくなってしまいます。微妙なさじ加減が必要なことがよくわかりました。また、三幕で、コロラチューラを披露する場面がありますが、まだ発展途上という感じがしました。予定では、5月に「ナクソス島のアリアドネ」でツェルビネッタを歌うようですが、オペラとは違うとは思いますが、どうでしょうね?以前、グルベローヴァのツェルビネッタを聴いていますが、比較するのは、やめておきましょう。

ファルケ役のAdrianErödは、歌はうまいのですが、舞台での存在感が弱く、ちょっとファルケとはイメージが違うように感じました。

オルロフスキー役の ElisabethKulman は、地声が低いようで、「男装の麗人役」にはぴったりです。しかし、長い髪を後ろひとつに束ねていたので、ちょっと残念でした。また、二幕で、オーケストラの演奏と、歌い出すタイミングが合わないシーンがありました。ちなみに、昨年はキルヒシュラーガーだったのですが、こちらの方が、「退廃的なロシア貴族の雰囲気」を上手に出していたように思います。ElisabethKulmanの場合、切れ味が鋭すぎて、退廃的な雰囲気が、あまり感じられませんでした。(逆にちょっと怖い感じがしましたが…)。

フランクのAlfredŚramekは、宮廷歌手らしく、歌だけではなく、演技も見事でです。特に三幕の演技は抜群でした。また、フロッシュのRobertMeyerは、アドリブ爆発で、観客から大受けでした(確か、この人はフォルクスオパーにも良く出ていたと思います。今回は、出張公演でしょうかね)。AlfredŚramekとRobertMeyerの掛け合いだけで、十分楽しめる三幕になっていました。

さて、その他、つまらない話ですが、オペレッタなので、指揮者がお休みとなる「台詞の場面」があります。その際、指揮者は椅子に座って待機するのですが、国立歌劇場の場合、実は指揮台に椅子が設置されています。そのため、指揮をしない時に、座っていても、一見すると立っているように見えてしまいます。ちなみにフォルクスオパーの場合、椅子が指揮台の下にあるので、座ると指揮者が客席の視界から消えるので、すぐわかります。最初は私も「台詞の場面も立っている立派な指揮者だ」と誤解していました。

なお、今回はオーケストラピットを良く見ていたら、三幕からコントラバスが6弦から5弦になっていました(名物奏者が消えていました)。また、バイオリンの一部が、三幕から席をチェンジしているのもわかりました。国立歌劇場でも、途中でこのような変化があるとは以外でした。しかし、フォルクスオパーのように、自分のパートが終わると、楽屋に引き上げてしまう楽団員は居ませんね。

それから、楽団員の皆さんが、演奏のない時、盛んに舞台を見上げていました。国立歌劇場では、余り見られない光景です(というか、オペラの場合は演奏し続けている訳で、見る余裕は無い訳ですが…)。楽団員にとって、初めての組み合わせという例も合ったのでしょう。また、指揮者がRobertMeyeのアドリブで、笑っているのが印象的でした。

全体的には、そつなく、楽しい舞台に仕上がっていましたが、「オペレッタの神髄」という観点で見ると、ちょっと違うような気がします。国立歌劇場では、いわゆる「歌役者」が少ないために、歌唱力を中心にキャスティングをしていると思います。そのため、オペレッタらしい、「ある種のいい加減さ」が少なく、「笑いのあるオペラ」のような印象を持っています。実に「オペレッタ」というのは奥が深いものですね。

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Comments

オペレッタにはまった男さん、
感想のアップ、ありがとうございます。
やはり同じようなイメージを持たれたようで
何となく嬉しかったりして(笑)

友人が1月1日の「こうもり」に行ったのですが
この時にオルロフスキーを歌った Sophie Marilley は
ほとんど声が通らなかったそうです。
それに比べると、Kulman は代役とは言え、そこそこ歌えていたと思います。
ただ、「退廃的」は全くなくて
完全にロシア・マフィアのコワイお兄ちゃんでしたね(笑)

今年もどうぞ、よろしくお願いします (^o^)ゞ

Posted by: はっぱ | January 05, 2007 18:27

はっぱさん、こんにちは、こちらこそ、よろしく。

ところで、フォルクスオパーの新生「こうもり」、現地新聞では評判が良いらしい…

フォルクスオパーの起死回生となるか。明日(あさってになるかも)をお楽しみに。

Posted by: オペレッタにはまっている男 | January 05, 2007 18:34

大急ぎで見たら、何と、今日1月5日がフォルクス・オパーの「こうもり」最終公演なんですね。
Kulman がオルロフスキー役とは。
また、恐いロシア・マフィアを演じるのか
演出で、ちょっと違うオルロフスキーになるのか
興味深々。
う~ (T.T)
エージェントとの打合せがなければ行くのに・・・・(号泣)

私の友人でも
「こうもり」はフォルクス・オパーの方が好き
と言う人がかなりいます。
多分、アドリブとか多いんだろうなぁ。
3幕が楽しそう・・・

本当に今年はオペラ・オペレッタに嵌まりそうです。
年の末には破産だわ。

感想を楽しみにお待ちしています m(__)m

Posted by: はっぱ | January 05, 2007 18:50

その後、日本で調べたところ、31日に上演した国立歌劇場「こうもり」は、スエーデンのインターネットラジオで、年明けに放送があったようです(私は事後知りました)。

この模様を聴いた方も、例のガランチャを話題にされておりました。

また、以前、当ブログでご紹介したDVD(1980年12月31日ライブ集録)と実は、演出は一緒(とは言っても、若干、手は入っています)なので、改めてみるDVDを見ると、味わい深いですな。

遊んでばかりいると、大変なことになるので、このあたりで。

Posted by: オペレッタにはまっている男 | January 10, 2007 17:20

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