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July 19, 2007

シェーンブルンの「こうもり」

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このところ、夏になると各地でオペレッタが臨時上演されるようになりました。そのうち、「オペレッタは夏の風物詩」といったことにならないかと心配です。

さて、今回、たまたま機会があってシェーンブルン宮殿の宮廷劇場で上演されている「こうもり」を見る機会に恵まれました。

実は、通常、この時期、ウィーンにいることはないので、今までご縁がありませんでした。今年は、ヨーロッパ内で別の用事があり、その帰りにウィーンに立ち寄ったという訳です。

さて、シェーンブルン宮殿でのオペレッタ上演ですが、今年は7月13日から8月26日までの期間行われています。上演日は、水曜日から土曜日までと、指定日の日曜日(8月19日と26日)となっています。

シェーンブルン宮殿というと、町中でモーツァルトの格好をしたお兄さんが切符を販売しているお手軽コンサートが有名ですが、オペレッタの方は、由緒正しき宮廷劇場の方で上演されます(かつてマリア・テレジアが舞台に立ったこともあるとか…)。小さな劇場ですが、装飾は凝っており、なかなか立派です。
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さて、今回のメンバーですが、指揮者はHerbert Mogg、演出はVolker Vogelで、主な配役は次の通りになっています。
アイゼンシュタイン役はAnton Graner、ロザリンデ役がIngrid Habermannn、アデーレ役がAnna Steiner、アルフレード役がValeriy Serkin、ファルケ役がMarcus Niedermeyr、オルロフスキー役がCheista Ratzenböck、フランク役がAlois Walchshofer、フロッシュ役がGötz Kauffmannでした。

一方、オフシーズンだけにオーケストラは、臨時編成の混成チームです。若いスタッフが多いように感じました。で、大変失礼ながら、有名な序曲ですが、正直、「ウィーンでも、ワルツのリズムを外すような演奏があるのか」という演奏でびっくりしました。
一方、歌手は、予想以上にレベルが高く、劇場が小さいことと、オーケストラの編成がコンパクトなこともあり、声量も十分でした。
個人的な感想ですが、ロザリンデやアデーレが、なかなか良い雰囲気を出していました。「こうもり」と言えば、ゴージャスな舞台装置が「売り」ですが、こちらは予算の都合からか、非常にシンプルなものでしたが、工夫でそれなりの雰囲気を出していました。とくに第2幕では、背景にシェーンブルン宮殿の名所であるグロリエッテが描かれ、上演場所にふさわしいものになっていました(これだとオルロフスキー邸がシェーンブルン宮殿になってしまいます。本来、あり得ない設定ですが、突っ込みはなし)。

さて、演出ですが、通常通り3幕構成です。第1幕は通常と同じ、アイゼンシュタイン邸ですが、冒頭、アルフレードが屋敷の外から歌うというより、すぐ近くで熱唱していました(もちろん、姿は見せませんが)。アイゼンシュタイン役のAnton Granerは、ちょっと歳が若い感じがしました。そのため、頭の固い好色オヤジというより、女に目のないお兄さんという雰囲気でした。一方、ロザリンデ役のIngrid Habermannnは、アイゼンシュタインを愛しているものの、嫉妬深い女性役を見事に演じていました。アイゼンシュタインがハイテンションでオルロフスキー邸の夜会に出かける前、アデーレといちゃついているシーンを見たロザリンデが、フォークでアイゼンシュタインの手を指すという笑えるシーンがありました(当然、歌いながらですが)。アデーレ役のAnna Steinerは、雰囲気がぴったりでした。アルフレードがアイゼンシュタインと間違われて、刑務所に収監されるシーンでは、檻に入れられる演出になっていました。そういえば、ブタペストオペレッタ劇場の「こうもり」でも、こんな演出があったような気がします。
さて、第1幕の後、休憩が入ります。しかし、そ劇場内は空調がないため、暑くて大変です。

第2幕は、演出がちょっと変わっていて、冒頭、ファルケがオルロフスキー邸で、サクラの参列者に「アイゼンシュタインに対する笑いの復讐劇だから、皆、仮装で協力してくれ」といった台詞でスタートします。そして、皆、思い思いの衣装を選ぶシーンから始まります。女装をする男性や、男装をする女性が登場するなど、このあたりから「吉本風」になってきました。通常、第3幕まででることがない弁護士ブリントも、ここでは仮装して登場します。何とブリントは、オルロフスキーの家来であるイワンの仮装をしています。第2幕の曲目、曲順はオリジナルに近いものでしたが、時間短縮のため、若干省略されているシーンがありました(皆が、シャンペンで酔っぱらって踊り、倒れ込むシーンはありませんでした)。それ以上に、びっくりしたのは、台詞が下品ないこと… 下ネタ満載だったようです(私は十分理解できず、残念…)。

コンパクトにまとめられている第2幕ですが、バレリーナに扮したイーダが、ソロでバレエを披露するシーンが盛り込まれていました(伴奏が蓄音機なのが泣かせます)。ただし、合唱は入っていたものの、バレエ団は投入されていないようで、合唱団が踊りも行っていました。舞台が狭いため、これで十分でしょう。

さて、「こうもり」では、通常、第2幕終了後も休憩が入りますが、今日は暗転で第3幕に突入しました。暗転のため、舞台装置を上手に転用し、檻が牢屋のシンボルになっていました。フロッシュやフランクの一人芝居は、しっかり入っていましたが、全体的に時間を短縮するため、シンプルな演出でした。それでもソーダサイフォンを使った演出などは、入っていました(さすがに真夏の公演なので、例のスペシャル・カレンダーはありませんでしたが)。
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なお、通常、カツラを着けているブリントですが、今回はカツラなしだったため、アイゼンシュタインは、めがねとコートでブリントに化けていました。やっぱり、ここはカツラの方が、盛り上がるのですが…フィナーレは定番通りだったが、ロザリンデが、浮気を謝罪したアイゼンシュタインに対して変わらぬ愛を表明して終わるという形でした。このあたりは、なかなか、良い演出だと思います。上演時間は2時間30分でした(19時30分開演、22時終演)。

第2幕では、余り上品とは言えない演出でしたが、それでもポイントは押さえており、観客の大多数が外国人観光客であるにもかかわらず、外国人向けに媚びを売った演出でない点も好感が持てました。

ただし、今年は猛暑ため、事実上、我慢大会になってしまいました。実際、第2幕終了後、我慢できずに帰ってしまったお客様もいらっしゃいました。最も、オーケストラや舞台上の歌手の方が、もっと大変だったと思います。

上演する方も、観る方も、本当にお疲れさまでした(^^;)

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Comments

私も夏休みの期間は外しているものですから、シェーンブルンのオペレッタは観たことがありませんでした。しかし、オペッタにはまっている男さまの記事や、フラウ・ハッパさまの記事で一度覗いてみたくなりました。
来年にでも計画しようかと・・・

ところで、ウィーンのオペレッタに下ネタは付きもので、DVDなどの字幕でも実際には日本語に直せないでごまかしているものがよく見受けられます。
オペラにせよオペレッタにせよ日本では高尚なものとされ??ていますが、筋書きの多くは男女の愛のもつれ(それも不倫・不義)ですから、日本人の感覚から見ると決して健全?(そう信じている人が多い)な内容ではありませんよね。
オペレッタではとくにひどい??ようで、いたるところハチャメチャな会話や演出が出てきますが、人間の本質的な面をアッケラカンと表現して笑える現地の方々が羨ましい限りです。
そういった退廃的な文化・芸術?が根っこにあるあるウィーンが大好きで・・・・などと日本で言うと皆から変な顔で見られますが、オペレッタそにはまっている男さんなら解って頂けますよね。

Posted by: どてら親父 | July 22, 2007 10:14

どてら親父さま、お久しぶりです。

実は、シェーンブルン宮殿のオペレッタですが、私も見るまでは「観光客向けのお手軽公演」かと思っていました。

確かにオケに関しては、正直、ウィーンのレベルではないと思いましたが…しかし、演出や歌手の力量は、思った以上で、十分楽しめるものでした。

で、どてら親父さま、ご指摘のようにオペレッタの場合、アドリブ連発が許容されている芸術なので、オペラ以上に庶民的な感じがしますね。オーストリアに限らず、ヨーロッパでは、「実際の世界」でも恋愛ごとでははちゃめちゃなところがありますから、思わず納得…というシーンが多数あり、決して、見るに堪えない、聞くに堪えないという感じにならないところが、オペレッタらしいところなのかもしれません。

ところで、今年、メルビッシュは現地では生中継があったそうで、非常に評判が良かったとか…

こちらは、まだ見ていないので後日、ご報告します。

Posted by: オペレッタにはまってい男 | July 22, 2007 11:57

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