« すてきなお城での「秘密の出来事」 | Main | ウィーン美術史博物館コレクション さて、現物は »

October 15, 2007

番外編 日本オペレッタ協会公演「微笑みの国」

2007_10_14b
今年、創立30周年を迎えた日本オペレッタ協会が、10月13日・14日の両日、東京都内(北区の北とぴあ)で「微笑みの国」を上演しました。

たまたま、休みがとれたので、観てきましたので、この模様をお知らせしましょう。

2日間限りの公演でしたが、なるべく多くの歌手に公演を経験させたいという主催者側の配慮だと思いますが、主要な役はダブルキャストでした。

私は、14日に鑑賞しましたが、主要なキャストは、リーザ役は山口道子(13日は佐々木典子)、スー・ホン皇太子役は田代 誠(13日はイー・ヒョン)、ミー王女は森 美代子(13日は針生美智子)、竜騎兵中尉グスタフ役は飯田裕之(13日は坂本秀明)、陸軍元帥フェルディナンド役は平野忠彦でした。いずれも日本オペレッタ協会の公演ではおなじみの皆さんです。

音楽監督と指揮は、ヴァーラデイ・カタリンでした。ご存じの方も多いと思いますが、ブダペスト・オペレッタ劇場を率いて、何回か来日しているハンガリーを代表する女性指揮者です(現在は、オペレッタ劇場を離れて、ハンガリー国立ミシュコルツ歌劇場音楽監督、主任指揮者に就任しているそうです)。

同協会恒例の日本語上演ですが、作品を知り尽くしている寺崎裕則氏らしく、演出はオーソドックスなものでした(3幕上演、1幕終了後に休憩)。

ただ、寺崎氏は、毎回、講演内容のブラッシュアップを図っています。今回の注目点は、第2幕の冒頭、スー・ホン皇帝の戴冠式の前に、皇帝だけに見せる「龍と鳳凰の舞い」を中国宮廷舞踊で実現したことでしょう(鳳仙功舞踊団の皆さんが踊ったようです)。本場、中国の舞踊ですから、雰囲気を盛り上げるのには最高の演出でした。

このほか、第3幕の後半、ミーの案内でリーザとグスタフが仏教寺院の地下を通って、脱出する場面で、京劇風の武打で、三人の行く手を塞ぐという演出を加えられました。この武打による、「立ち回り」は、市村潔子氏(台湾で京劇の闘技、武打の名手として知られる歌舞伎の市村萬次郎丈の夫人)が演じましたが、いわゆる抽象的な怪物が出てくる演出よりも、インパクトがありました。

作品を研究し尽くした寺崎氏ならではの、アイデアと言えるでしょう。

また、カタリン女史を指揮で、わずか30名強のオーケストラが、すばらしいハーモニーを醸し出していました(今まで、何回か同協会の公演を観ていますが、オーケストラの仕上がりは最高だったと思います)。永年、ブダペスト・オペレッタ劇場でオペレッタの指揮に携わっていたカタリン女史だけに、演奏家の潜在能力を上手に引き出していたようです。
また、歌手とのコンビネーションも抜群で、オペレッタにおける指揮者の重要性を再認識した公演でした。

考えてみると「微笑みの国」は、第2幕と第3幕は清国(中国)でのお話です。そのため、出てくる「西洋人」は、リーザとグスタフだけで、後は、皆、中国人です。通常、ウィーンなどではヨーロッパの皆さんが、中国人を演じている訳ですが、同協会の公演では、日本人が演じます。容姿や東洋的な礼儀や姿勢などは、日本人が演じた方が、自然に感じました。ちなみに同協会がハンガリーで「微笑みの国」を上演していますが、東洋人が東洋人役を行うことを考えると、人気が高かった理由がわかるような気がします。

私はフォルクスオパーの「微笑みの国」を観たことがないので、一度、見比べてみたいと思っています。

同協会の強みを生かした公演だったのですが、やはり日本語で歌うというのは、難しいようです。というのは、セリフから歌へ入る場面で、最初の歌い出しが歌詞の関係で不自然に感じる場面が、何カ所かありました。これは、ドイツ語と日本語の母音・子音が違うためだと思いますが、どんなに意訳をしても難しいのでしょう。

日本語上演に対する「こだわり」は、よくわかるのですが、歌の部分は言語で上演した方が、歌手の皆さんも実力を発揮しやすいと思います。

さて、作品を作ったときは、レハールも東洋人が「微笑みの国」を演じるとは思ってもみなかったでしょう。さて、当のレハールが、東洋人が演じている「微笑みの国」を観たら、どんな感想を持つでしょうね。

しかし、「磨き上げ方式」を採用し、歌手の皆さんのレベルが上がっているにもかかわらず、わずか2公演というのが、日本のオペレッタ市場の実態を表しているようで、残念でなりません。

さて、同協会の次回公演は、2008年2月に「ジェロルシュタイン大公殿下」(オッフェンバック作曲)が予定されています。

|

« すてきなお城での「秘密の出来事」 | Main | ウィーン美術史博物館コレクション さて、現物は »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« すてきなお城での「秘密の出来事」 | Main | ウィーン美術史博物館コレクション さて、現物は »