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November 19, 2007

おすすめDVD ユニテルの「メリーウィドウ」

Operetta_18_b
今日はDVDソフトのお話です。

今では、毎年メルビッシュのオペレッタは、公演後、すぐに映像が発売されるようになりました。しかし、以前の作品は、意外と映像が提供されていません(そもそも、録画していなかったのかもしれません)。

その中で、1993年に上演された「メリーウィドウ」が、唯一、ユニテルのオペレッタ映画シリーズにリリースされています(コのシリーズは、原則としてオペレッタをモチーフとした映画なのですが、なぜか、これは舞台映像です)。
先日、ホイベルガーの「オペラ舞踏会」と一緒に購入しました(実は、三本買うと割引なるというキャンペーンに引っかかってしまいました。あと一本は、ないしょ)。

2005年は「メリーウィドウ100年」だったので、メルビッシュでも「メリーウィドウ」が上演され、こちらはライヴで見る機会がありましたので、1993年版と比較することもできます。10年間で、メルビッシュがどのように変貌したか…そんな視点で見ると、これまた楽しさ倍増です。

まず、興味深いのは出演者です。当時は、夏休み中のフォルクスオパーのメンバーが、多数出演していたようです。そのため、歌手は、今よりもハイレベルです(もちろん、今でもレベルの高い歌手を選抜していますが、どちらかというと「登竜門」みたいな感じになっていませんかね)。

ちなみに1993年版の主な配役は、ハンナ役がエリザベート・カーレス(やっぱり、ハンナがはまる歌手ですね)、ダニロ役がペーター・エーデルマン、ヴェラシェンヌ役がマルティナ・ドラーク(今もフォルクスオパーに出演していますから、息の長い歌手さんですね。この時は、若いのでかわしらしい感じがします)、カミュ役がローレンス・ヴィンセント、ツェータ男爵役がギデオン・シンガー、ニグシュ役がタッデウス・ポドゥゴルスキーと、蒼々たるメンバーが並んでいます。

また、合唱・オーケストラは現在と異なり、ブラティスラヴァ・フィルハーモニーが担当しています。指揮は、コンスタンティン・シェンクです(この人もフォルクスオパーと契約をしていた方です)。そして、演出はアメリカ人のマイケル・モラーとなっています。

2005年版と比べると、まず、舞台装置の違いに驚かされます。最近は、資金的にも余裕があるのか、凝った舞台装置(たとえば、人が実際に入ることができる巨大な建物など)を使う傾向にありますが、1993年版は、極めてシンプルな舞台装置です。

しかし、シンプルともチープではありません。というのは、中央のバックにパリのシンボル・エッフェル塔を配して、パリの遠景(夜景)を見事に再現しているのです。実際、映像作品なので、舞台のアップが出てきますが、背景はエッフェル塔だけではなく、様々な建物が周辺に配置されているようで、意外と凝っています。映像で見ても、印象的な舞台装置です。

さて、1993年版では、メルビッシュ名物の大階段は、左右に設置されています。向かって右側の階段上部には大きな門(ポンテヴェドロ国大使館の入り口)が設置されており、手前が大使館構内(中庭)といった趣になっています。一方、左側の階段は大使館の大広間(または中庭)への入り口といった趣です(馬にまたがった国王の巨大な像が設置されています)。また、第一幕では、舞台中央奥に、ポンテヴェドロ国の国旗が翻っています。
正に、野外オペレッタ劇場の強みを十分に生かした舞台装置で、センスの良さが光りますね。

衣装は、メルビッシュらしくゴージャスですが、舞台装置がシンプルなだけに、逆に目立つような印象を持ちました。

では、見所をご紹介しましょう。
2005年版では、序曲がオリジナルのメドレーでしたが、1993年版では、現在、多くの劇場で行われている一般的な入り方でした。

第一幕の見所は、何と言っても、ネタバレになってしまうのですが、ハンナがノイジードラーゼーから船で登場するシーンでしょう(舞台前の水路ではなく、舞台後ろの湖に、通常ノイジードラーゼーで運行されている連絡船を横付けし、そこから上陸します)。これは、2005年版よりも、風情があって良いですね(パリの大使館に船着き場があるのか…という突っ込みはなし)。一方、ダニロは、クラシックカーを大階段上の正門に横付けし、そこか大使館に戻ってきます。また、ニグシュは、第一幕では自転車にまたがって舞台に登場します。

第一幕の衣装ですが、ハンナは「定番」の黒いドレスで、なかなかよく似合います。

さて、第二幕の衣装は、架空のポンテヴェドロ国の民族衣装らしいデザインで、楽しませてくれます。2005年版の衣装とどちらが良いかは、個人の好みでしょう。比べてみると興味深いものがあります。

第二幕冒頭、ハンナがゴージャスなティアラをかぶって「ヴァリアの歌」を歌います(バランスをとるのが難しいのか、歌いにくそうに見えましたが、雰囲気が出ています)。さて、その時、舞台手前の水路には、何とボートを漕いでいるガーデン・パーティー参加者が…ある意味、今の演出よりもメルビッシュの特性を活かしているような気がします。もちろん、第二幕の重要なアイテムである「あずまや」も、舞台中央に登場します(それっぽい造りで、雰囲気が出ていますね)。第二幕で、民族舞踊を踊る想定になっている皆さん(バレエ団)の服装は、白と黒を基調とした民族衣装風のデザインになっています。

第二幕の「お馬鹿な騎士さんか」のデュエットは、今よりもゆったりとしたテンポで歌われます。また、歌の途中、馬は出てきませんが、ダニロが自転車を二人乗りして庭を走り回るシーンがあります。このほか、第二幕では、「例の扇子」を巡って、浮気相手を探すため、参加している奥様方とダニロのやり取りがあるのですが、1993年版では、ていねいなお芝居が印象的です。

「女、女、女のマーチ」は、定番の男性コーラス7重唱で披露されます(途中からニグシュが入って8重唱プラス男声合唱団、バレエ団)。ただし、こちらも今の演奏に比べると、全体的にテンポがゆっくりしているように感じます。また、ここは盛り上がるためリフレインで二回以上歌われるのが一般的ですが、本公演では、一回だけ。で、ニグシュが一人で二回目を歌い始めたところで、皆さんがいなくなって、舞台の袖へ引っ込むという演出でした。

この当時、噴水を使った演出は行われていないようです。また、最近では、途中、舞台上で派手な電飾が「定番」となっていますが、1993年版では、派手な電飾で奇をてらうことなくオペレッタの王道をいくような演出になっています。

第三幕は、1993年版では、舞台装置をほとんど代えず、大使館の門の上に「マキシム」の電飾を掲げ、大使館の中庭をキャバレー風のパーティー会場にしています。
「グリゼッティンの歌」ですが、ヴェラシェンヌを演じるマルティナ・ドラークが良い味を出していますね。この人は、踊りも上手なので、はまり役です。さて、1993年版では、最近は、組み込まれなくなってしまった「天国と地獄」が、しっかりと入っています。ここでは、バレリーナが20名ほど登場し、迫力ある舞台になっています。やっぱり、この演出の方が好きですね。なお、「天国と地獄」の場面では、花火も打ち上げられ、華やかさに拍車がかかります。エッフェル塔の後ろに花火が上がるので、パリムード満点ですね。

有名な「唇は語らずとも」のデュエットの場面は、広い舞台を完全に二人だけで独占して、雰囲気を高めています。

DVDで残念なのは、盛り上がるカーテンコールの部分が省略されている点です。キャスティングのエンドロールのバックに、カーテンコールのミュージックが流れるだけに、ここも映像で見たかったところです。

全体的に見て、演出は、極めてオーソドックスなもので、安心して観ることができます。演奏に関しては、全体的にゆったりとしたテンポのようです。個人的には、歌手の力量を考えると、1993年版の方が、完成度が高いような気がします。オペレッタ・ファンにはお勧めの一枚と言えるでしょう。

オペレッタを頻繁に観ることができない私にとって、禁断症状が出てきたときには、DVDは心強い味方です(*^_^*)

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Posted by: みんな の プロフィール | November 25, 2007 22:23

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