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December 06, 2007

入魂のボリス

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オペレッタやオペラを見る場合、事前に大いに期待して出かけて、裏切られるケースもあります(演出にがっかり、出演者にがっかりなど)。逆に、あまり期待せずに出かけて、思わぬ「拾いもの」をするケースもあります。

今回、たまたま、今までご縁のなかったムソルグスキー作曲のロシアオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」を国立歌劇場でみる機会がありました。実は、これは「後者」でした。

「ボリス・ゴドゥノフ」は、イタリアオペラのように、男女の恋愛にまつわるようなお話ではなく、権力闘争が絡んだ暗いお話(舞台も本当に暗い)です。また、プロローグから始まって、四幕まで、場面転換が多く、かつ時間が長い、しかもメロディーも耳なじみがないし、美しいというにはちょっと(でも演奏者にとっては、テクニックを試すことができる挑戦的な曲のようですが)…という訳で、オペラ初心者には辛いオペラの代表かもしれません。

劇場に到着すると、今日のお客様は、「オペラ通組」と、他の公演チケットがとれずに「これになっちゃった組」の二極化がはっきりしている感じがしました。後者の皆さん、お疲れさまでした。これに懲りずに、またご来場くださいね。

さて、権力闘争に関する話なので、民衆(合唱団)も含めて、登場人物が多いという特徴もります。

まず、主な配役であるが、タイトルロールのボリス役がFerruccio Furlanetto、老僧ビメン役がRoberto Holl、グレゴリー役がMarian Talaba、ボリスの娘クセニャ役がLaura Tatuleccu、クセニャの弟フョードル役がRoxana Constantinescu、ポーランド貴族の娘マリーナにはElisabeth Kulman(今シーズン、国立歌劇場の「こうもり」でオルロフスキーを演じたお姉さんです)、シュイスキー公役にJorma Silvastiといった面々です。また、名優Alfred Šramekや日本人のEijiro Kaiも出ていました(出る場面は少ないのですが…)。

なお、演出は服装などからも、ドイツ風の近代的な感じがしましたが、お話の筋書きは、オリジナルに沿っているようでした。

この中で、入魂の歌と演技で、観客を魅了したのが、タイトルロールのボリス役を演じたFerruccio Furlanettoです。実は、このオペラ、ボリス役はタイトルロールのくせして、出番はプロローグ、二幕、四幕と、意外に少ないのです。しかし、存在感のある役どころす。Ferruccio Furlanettoは、皇子ドミトリーを暗殺して帝位についたことを、終始、悩む役柄なのですが、その悩みを全身全霊をかけて、見事に演じていました。とくに、四幕二場でボリスは錯乱状態になり、息子に別れを告げて、死んでしまうのですが、入魂の演技でしたね。

また、二幕で婚約者を失って悲しむボリスの娘クセニァを演じたLaura Tatuleccuも、良い演技をしていました。オーケストラの人数が多いオペラなので、ソリストは歌唱力が要求されるオペラだが、比較的レベルの高い歌手をそろえていたように感じました。

また、プロローグや四幕では、ロシアの民衆に扮した合唱団が大量に動員されるが、これが、すごい迫力でした。最近では珍しい「力業のオペラ」と言っても良いでしょう(こんなに動員数が多くても、なぜか料金体系はカテゴリーB)。

ただし、事前にある程度、話の筋をつかんでおかないと、登場人物が多いですから、混乱してしまうと思います。
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