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December 29, 2007

今年のオペレッタを振り返って

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2007年最後の更新は、私が今年観たオペレッタの総括です。

私は、2007年、ウィーンを中心に日本国内を含めて、オペレッタを18公演鑑賞する機会がありました。もちろん、圧倒的に多いのはホームグラウンドと化しているウィーンフォルクスオーパーです(11回)。

多いか、少ないかは、まぁ別にして、印象に残った公演をまとめておきたいと思います。

最初に、今年1年、多くの方に当ブログをご覧いただき、お礼申し上げます。また、ハンドルネームが長い(確かに…)ために、コメントでご迷惑をかけております。
当ブログのタイトルはアクセスの関係があるため、変更いたしませんが、ハンドルネームはFeri(フェリ)にしたいと思います。前置きが長くなりましたが、それでは、今年のオペレッタを振り返っていきます。

○メリーウィドウ
何と言っても、最も印象に残っているのは、今シーズン、「こっそり、ひっそり、目立たず」に改訂された「メリーウィドウ」です。

事実上の「再改訂」であるにもかかわらず、表向きは、今までのまま…まぁ、色々と事情があるんでしょうが…
オペレッタ・ファンの私としては、第2幕「ヴァリアの歌」の演出が真っ当になったこと、第3幕で「天国と地獄のギャロップ」とカンカンが復活したことが、本当に嬉しいところです。しかも、事前に、「再改訂されているらしい」という情報を入手しておらず、「現地で観たら変わっていた」という良い意味でショックだっただけに、強く印象に残っています。そして、お芝居で他の歌手を食っていたRobertMeyer氏も、インパクトがありましたね。なお、RobertMeyer氏は、来日公演では「こうもり」にフロッシュで出演する予定です。

○DER KUHHANDEL
これは2006/2007シーズン中の公演でしたが、幸運にもゲネプロに潜入することができたということで、印象深いオペレッタでした。このオペレッタは情報がなかなか手に入らず、あんだんてさんにご協力をいただき、あらすじを手に入れることができました。

演出は、最近のフォルクスオ-パーらしい「近代版」でしたが、ツボを押さえた楽しいオペレッタに仕上がっていました。お話は、比較的単純で、「権力欲に取り憑かれると、ろくなことがないし、国民も不幸になるよ」というものです。とくに、一度聞くと耳に残るメロディが印象的でした。残念だったのは、2007/2008シーズンに引き継がれなかったことでしょう。そのため、評判が良かったにもかかわらず、公演回数が極端に少なかった点が惜しまれます。今シーズンは、ディレクターが変わったため、やむを得ない面もありますので、2008/2009シーズンでの復活に期待しましょう。

○地獄のオルフェウス
こちらは、2007/2008シーズンでプルミエを迎えた演目です。演出は、完全な近代版(とくに第1幕は集合住宅で話が始まります)ですが、天国も地獄も架空の産物なので、実際に観てみると、設定はあまり関係がないという印象でした。

普通のオペレッタよりも脇役がキーになるのですが、新ディレクターのRobertMeyer氏が役者を積極的に起用しているため、本当に楽しい舞台(お芝居で観客を魅了できる)に仕上がっています。
残念ながら語学力に乏しい私は、アドリブの全てを理解することができませんでしたが、かなり「きわどい話」(といっても、出し方がウィーンらしいですがね)も出ていたようです。とにかく、「人間の本質」を鋭くえぐったオペレッタなので、時代設定に関係なく、大いに笑える公演です。有名なギャロップをはじめ、演奏はフォルクスオーパー、お手のもの…といったところでしょう。また、日本でも東京二期会が、上演しましたが、初めてオペレッタを見るお客さま向けに、お話を簡略化してあったので、私としては、ちょっと不満が残りました。

○こうもり
今年は、例年になく「こうもり」を観る機会に恵まれました。当たり年でしたね。フォルクスオーパーについては、出演する歌手による差はありますが、安心してみていられる「安定感のあるオペレッタ」に仕上がっています。2008年の来日公演でも、日本のオペレッタ・ファンを魅了すると思います。「偉大なるマンネリ」という言葉がありますが、現在、フォルクスオーパーで上演されている「こうもり」にこそ、この言葉が当てはまるように思います。決して陳腐化しないように細かい工夫をしながら、オリジナルを守っている…これを「博物館に入ったオペレッタ」とは言わないと思います。実際、今回の改訂では、辛口で知られるウィーンの新聞各紙も絶賛しておりました。さらに、お客さまの反応も上々でした。

反面、自分としてはショックだったのが、ブダペスト・オペレッタ劇場による「こうもり」(来日公演)です。当ブログにも書きましたが、人物設定を大きく変えている上に、ウィーン情緒を完全に消し去った演出は、個人的には好きになれませんでした。

同カンパニーのオペレッタは、「チャールダーシュの女王」「伯爵令嬢マリッツア」など、カールマンものは、見事の一言に尽きます。来日公演では「メリーウィドウ」が上演されたこともありますが、こちらは、「こうもり」ほどは改変されておらず、楽しく観ることができました。それだけに、強い衝撃を受けた公演として印象に残っています。さらに、今まで同カンパニーを日本に招へいしていた会社が倒産し、当面、日本で観ることができなくなったことも二重にショックでした。

○ウィーン気質
2007年はメルビッシュで観たのが「ウィーン気質」です。メルビッシュについては、「屋外のイベント」なので、独特の味付けが毎回楽しみです。今シーズンに「ウィーン気質」は、一言で表せば「地元の方には大受け、外構人観光客には不評」といった公演でした。

というのは、ご存じのように「ウィーン気質」は、制作プロセスの関係から、他のオペレッタ以上にお芝居の部分が多くなっています。さらに、登場人物の相関関係が複雑なため、「あらすじ」が頭に入っていないと、舞台上で何が行われているのかがわかりにくい…という特徴があります。恐らく、こういう性格のオペレッタなので、外国人観光客には不評だったのだと思います。

私も、今までフォルクスオーパーで何回か「ウィーン気質」は観ていますが、良い意味で世界観の違いを感じました。

なお、私見ではありますが、メルビッシュについては、舞台が広いという特徴から、人間関係が複雑で、細かいお芝居が要求される演目は向かないと思います。ところが、テレビ放送を見ると、アップになるので、この点があまり気になりません。ということで、テレビで観た方と、現地で観た方では、印象が大きく異なるかもしれません。2008年1月にはNHK(ハイビジョン)で放送されますので、ぜひ、ご覧下さい。

○伯爵令嬢マリッツア
この演目についても、2007年はフォルクスオーパーだけで観ています。現在のバージョンは、ハンガリー色(というよりはブダペストオペレッタ劇場色)が強すぎるためか、地元マスコミの評判は良くありません。しかし、今のバージョンは、個人的に大いに気に入っています。という訳で、白状すると、今年、「伯爵令嬢マリッツア」を4回観ています。

個人的には、もっとハンガリー色を出した方が良いと思っていますが、ウィーンで上演するわけですから、まぁ、このあたりが限度かもしれません。

とくに、この演目では、アメリカ文化の影響を受けたリズム感のある歌とダンスがポイントですが、今までフォルクスオパーではあまりいなかった「歌って踊れる歌手」を探してきたことが、大きく評価できる点でしょう。実際、本年最後の公演は、地元在中のご年配の方を対象とした招待日でしたが、そのお客様の反応からも、まずまず成功しているだろうと感じています。個人的には、歌のレベルがもう少し上がれば、文句なし…といったところです。さて、2008/2009シーズンも継続上演されるかどうか、注目されるところです。

○おまけ
実は、当ブログにコメントを寄せていただいた中野さまから、「カイロで“メリーウィドウ”がアラビア語で上演されている」という注目情報を頂きました。
冷静に考えてみれば、日本でも日本人により「メリーウィドウ」が日本語で上演されている訳ですから、別にアラビア語の「メリーウィドウ」があっても不思議ではありません。
しかし、どの程度、エジプト流にアレンジされているのか、興味は尽きません。

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さて、私にとっての「2007年ベスト1オペレッタ」は、どの公演か? 「ウィンナ・オペレッタの王道」という観点から見れば、文句なしにフォルクスオーパーの「こうもり」です。とくに細かいお芝居が見事で、お話に必然性がある…見事な演出です。出演者によって、完成度に差が出てしまうのはやむを得ませんが、ウィーン情緒あふれる一品と言えるでしょう。

さて、2008年は、フォルクスオーパーが来日公演も含めて、どんなオペレッタを見せてくれるか、楽しみです。

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Comments

いつも楽しい情報をありがとうございます。

私もオペレッタは好きで来年のフォルクスオパーの来日公演を楽しみにしています。ただ私の語学力では字幕なしでセリフを理解することは困難で、以前フォルクスオパーでこうもりを観たときも周囲の観客は手を叩いて大笑いをしているのに一人薄笑いを浮かべるだけでした (^_^;

最近は海外の歌劇場でも字幕を流してくれるところが増えたそうですが、こうもりなどでは(特に3幕冒頭の看守のセリフなんか)アドリブが多くなかなか困難でしょうね。日本で日本人がオペレッタをやるのであればセリフは日本語、歌は原語がいいのかなと思っています。そういえば昔レーザーディスクで観たサザーランドの引退公演のこうもりはセリフ・歌共に英語でしたのでかろうじて理解できました。

またいつかウィーンでこうもりを観たいと思いますが、それまでにもう少しドイツ語の勉強をしないと・・

Posted by: ys | December 29, 2007 12:27

フェリさん(で良いのかな (^.^))
今年もお世話になり、本当にありがとうございます。
いつも、現地の我々にも耳新しい情報をいただき、感謝しています。

「マルタ」ですが Die Presse を読んだところ、何と、ヘルベルト・リッペルトが出演します。
リッペルトはリリック・テノールで、ものすごく上手な人(有名指揮者からオラトリオとか引っ張りだこ!)なのですが、国立オペラ座のホレンダーと喧嘩して、オペラやオペレッタから遠ざかっていた人。
私も、何も事前情報なしにコンサートで2回聴いた事があります。姿形は普通のおっちゃんですが(あら、失礼(^_^;))、声とテクニックはスゴイ。

私も何とか時間を取って・・・と思っていますが(昨日、行こうと思っていたのに、仕事が~仕事が~(悲鳴))、日本での公演、ぜひ行って、感想を聞かせていただければ幸いです。

どうぞ良い新年を!

Posted by: はっぱ | December 29, 2007 21:38

ysさん、コメント、ありがとうございます。「オペレッタにはまっている男」ことFeriです。

フォルクスオーパーの来日公演、楽しみですね。
「こうもり」に関しては、おそらく「現地バージョンのアドリブ」は入れてこないと思います。
yaさんもご存じのように、第3幕ではフロッシュの一人芝居がありますが、来日公演では、ハインツ・ツェドニクさんが出ますから、恐らく日本人受けするような「秘策」を入れてくると予想しています。何しろ、役者さんでサービス精神旺盛ですからね。

もちろん、私ももっとドイツ語の理解力があれば、現地でも原を抱えて笑えるのですが…

ちなみに来日公演では5月23日(初日)を観る予定です。来日公演では、ダブルキャストなので、どの日程を選ぶかが悩ましいところです。

それでは、来年もお立ち寄り下さいませ。

Posted by: Feri | December 29, 2007 22:04

はっぱさん、こんにちは。「オペレッタにはまっている男」ことFeriです。
先ほど、今年の年末年始は曜日の関係から、海外旅行者が史上最高とか言ってましたよ。
とくに一週間まるまる休みがとりやすいため、ヨーロッパ方面も多いとか(何のこっちゃ)。

さて、ヘルベルト・リッペルト(ライオネル役ですね)は、来日公演では、6月6日と8日に出演予定です(7日はメールザード・モンタゼーリだそうです)。はっぱさんからの情報に接して、焦りました。
幸い、私が予約しているのは、千秋楽の8日なので、一安心です。

それでは、はっぱさんも良いお年を!!

Posted by: Feri | December 29, 2007 22:08

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