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December 05, 2007

思い出の多い「トスカ」

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今日は、オペラ「トスカ」に関わるお話です。

プッチーニの代表的なオペラである「トスカ」は、「歌に生き愛に生き」の名アリアが有名ですが、私にとっても個人的に思い出の多いオペラです。

というのは、私が、ウィーン国立歌劇場で初めて観たオペラが、この「トスカ」だったのです。当時、最初から「トスカ」を観るつもりだった訳ではなく、オペレッタを観る予定でウィーンにやってきました。オペレッタのチケットは確保してあったのですが、こちらに来てから「トスカ」をやっていることを知り、急きょ、観ることにしたというものです。
今は、博物館になってしまっている場所にあった公立劇場連盟ブッキングオフィスへ行き、当日の朝、「トスカ」のチケットを入手しました。

幸い、2月でチケットは残っていたのですが、最も下のクラスしか空いていませんでした。当時の記録を調べたら、お値段は日本円で1000円ほどでした。「敷居の高い、国立歌劇場で、立ち見以外にもずいぶん安いチケットがあるものだ」とびっくりした記憶があります。

で、会場に行って、二度びっくり。席はバルコンの1、かつ前から三列目だったのです。席に着くと、見えるのは反対側のバルコンのみ。舞台は全く見えません。立ち上がって、ちょっと乗り出すと、ほんの少し、舞台が見える…という席でした。

日本では、どんなに安い席でも、全く舞台が見えないという席は販売しませんから、当時は「こちらの常識」を疑ったものです。

さて、公演が始まって、二度びっくり。というのは、全く舞台が見えない席であるにもかかわらず、すばらしい音だったことです。個室の奥なのに、こんなにすばらしい音が聞こえる…これには正直びっくりしました。どうやら立派な舞台装置に見事な衣装で演じている雰囲気は伝わってくるのですが、如何せん、見えないので、判断ができません。頭の中で、想像しながら歌や演奏を聴くしかありませんでした。

さすがに、三幕では我慢できなくなって、前のお客様の迷惑にならない範囲で、立ち上がって、舞台を垣間見た思い出があります。トスカが、最後に城から飛び降りるシーンが、ちらっと見えたような記憶があります。
この経験から、「こちらのオペラやオペレッタは、舞台が見えない席があるので、ある程度の金額を張り込まないと来た甲斐がない」という教訓(大げさですが)が生まれました。

それ以来、是非、機会があったらちゃんとした席で「トスカ」を観たいと思っていました。「トスカ」は500回以上上演している定番中の定番ですが、不思議なことに私のスケジュールと合わないのです。もちろん、「トスカ」だけを目当てに来れば、そんなことはないのですが、わがままな私は、滞在期間中、最も効率よくオペレッタやオペラを観ることができるようにスケジュールを組むため、どうしても、「トスカ」が外れてしまうケースが多かったのです。
今回、幸い、大好きなオペレッタとも重ならない「空白の1日」に「トスカ」が上演さえることがわかりました。で、1ヶ月前にCulturallでチケットを購入し、待望の「トスカ」鑑賞になった次第です。

前置きが長くなりましたが、今回、鑑賞した「トスカ」ですが、主な配役は、トスカ役がAmarilli Nizza、ガヴァラドッシ役がJosé Cura、アンジェロッティ役がJanusz Monarcha、スカルビア役がMarco Vratognaだった。また、指揮者はスキンヘッドのPaolo Carignaniでした。

500回を越えるロングラン公演の「トスカ」なので、さすがに舞台装置は、イタリアオペラらしく、リアリティあふれる見事なものでした。とくに一幕の「サンタンドレア・デッラ・ヴァッレ教会」の内部(大聖堂)は、よく作り込んまれていました(これを観ただけでも、大満足)。二幕の「ファルネーゼ宮のスカルピアの部屋」についても、それなりの雰囲気が出ていました(小道具がなかなか立派でしたね)。三幕の「サンタンジェロ城の屋上」は、場所が場所だけに難しいのだが、立派な像を置いたり、背景に大聖堂を入れるなどの工夫が見られました。古き良き時代の「イタリアオペラ」といった感じがします(観光客の皆さんは、「まさにオペラ」という感じがすると思います)。

さて、「ノルマ」では、実力派女性歌手、二人に圧倒されてしまい、今ひとつだったホセ・クーラですが、当日は、一幕、三幕は(二幕はほとんど出番がありません)、なかなか見事な歌いぶりでした。また、演技の方も、なかなか良いものがありました。逆に、タイトルロールのトスカ役Amarilli Nizzaは一生懸命歌っており、演技もがんばっているのですが、今ひとつ、私の心に残りませんでした。要するに、きれいな方なのですが、印象が弱いのです。いわゆる「華がない」のかもしれません。とくに一幕では、教会の聖堂に現れた時、「えっ、これがトスカなの?」と一瞬とまどってしまいました。改めて、舞台上で存在感を示すのは、難しいことがよくわかりました。

全体的な仕上がりは良く、歌手も一定の水準なのですが、冷静に見ると国立歌劇場では「普通のオペラ」でしょう。しかし、その割には、お客様からのブラヴァが多く発せられました。以前、「ドン・カルロ」でも経験したのですが、イタリアオペラの場合、どうもイタリア人観客が誘導している節があります。まぁ、目くじらを立てるほどの話ではありませんが、自分の心に強いインパクトが残らなかった公演で、ブラヴァがたくさん出ると、逆にしらけてしまうので不思議です(あくまでも個人的な感想であることを、お断りしておきます)。

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