« あっと驚くプログラム | Main | ホイベルガーの傑作「オペラ舞踏会」速報 »

January 05, 2008

理屈抜きに楽しいバレエ「Max und Moritz」

Img_1236_b_2

今、フォルクスオーパーで話題になっているバレエが「Max und Moritz」です。日本ではなじみのないお話なのですが、実はドイツでは知らない人がいないほど有名な絵本「マックスとモーリッツ」が元になっています。
絵本のお話なので、ドイツ語教材にも取り上げられることが多いと聞いたことがあります。

タイトルのマックスとモーリッツは、二人組の「悪ガキ」の名前で、次から次へと悪戯を繰り広げ、周りの大人を困らせるという、まぁ、単純なお話です。

最後は、悪戯のあげく、二人ともアヒルの餌になってしまうとか…ただし、かなり過激な悪戯が多いので、日本人には受け入れにくい…という見方もあります(実際、日本人の感覚だと悪戯の範疇を越えています。真面目に見てしまうと、いじめや暴力行為そのもの)。まぁ、こちらでは大人も、子供のころのワクワク感がよみがえるお話なのでしょう。

原作の作者はWilhelm Buschという方で、もともと新聞に掲載する漫画を描いていた人のようです(画家、漫画家、詩人というマルチタレント)。この物語は30ヶ国語に翻訳されているらしいのですが、何と日本でも明治時代に「腕白物語」というタイトルで出版されていたようです。もちろん、私も原本は見たことがありません。

で、フォルクスオーパーは、この「マックスとモーリッツ」を、ミュージカルではなく、バレエに仕立てたという訳です。
たまたま、昨年、フォルクスオーパーに言った時、ロビーのモニターで、「マックスとモーリッツ」のプロモーション・ビデオを流していました。なかなか派手で面白そうなので、Feriもチャンスがあったら観てもいいかな…と思っていました。

当初、2008年1月4日のフォルクスオーパー公演は、お正月の定番「こうもり」がリリースされておりました。昨年と同じく、国立歌劇場の「こうもり」と比較するのも楽しいので、4日の「こうもり」を楽しみにしておりました。が、11月の下旬、Webサイトを見てびっくり仰天。何と、「こうもり」が「マックスとモーリッツ」に変わっているではありませんか。フォルクスオーパーが発行している2008年1月分の月刊プログラムも、実は「こうもり」のままです。すごいショック。という訳で、へそ曲がりのFeriは国立歌劇場の「セビリアの理髪師」を振って、「マックスとモーリッツ」を観ることにしました(普通は、「セビリアの理髪師」ですよね)。

バレエですから、曲が不可欠なのですが、ロッシーニの曲をアレンジしながら、全編に使っています。ですから、耳なじみのある曲が多数出てきます。そのため、舞台上でははちゃめちゃな内容が展開されるのですが、ロッシーニの曲なので、浮ついた感じはしません。不思議なものですね。

オリジナル(絵本)の内容はよく知りませんが、周りの反応などを見ていると、概ね、オリジナルの章立て(7章からなっているそうです)に沿って話が展開します。休憩以外は暗転で、場面展開していました。舞台装置も絵本の章立てになっており、小道具・大道具もあらかじめ、舞台上にある各章のパーテーション前に置いてありました。そして、章が変わる都度、パーテーション前から、小道具・大道具を舞台中央に引っ張り出して、展開するという「絵本をめくる楽しさ」が味わえる工夫が見られました。

通常のバレエと異なるのは、ほとんどの出演者が扮装をして踊ることでしょうか。また、踊りの内容も、結構激しいもので、踊る皆さんには負担が多い演目のように感じました。

なお、途中、小さな子供さんが合唱と踊りで出てきますが、客席から大きな拍手が送られていました。いわゆる日本人がバレエに持つ優雅さ、美しさといったイメージとは、全く異なるパワフルな振り付けです(ただし、素人のFeriでも、かなり高度なテクニックは要求されることはわかりました)。

マックスとモーリッツの悪戯内容ですが、鶏に罠を仕掛けて殺してしまうところから始まり、寝ている大人にゴキブリの大群を仕向ける、音楽の先生をダイナマイトで吹っ飛ばしてしまうなど、だんだんエスカレートしていきます。さしずめ、日本だったら「よい子のみんなはまねしないでね」という字幕が出そうな内容です。しかし、大人も黙ってはいません。二人をパン焼きがまに入れて、人型パンにしてしまう場面もあります(しかし、パンから二人が出てきて、ベッカライの職人を逆にパン焼きがまに入れてしまうのですが…)。マックスとモーリッツですが、最後は、アヒルの餌を作る機械に放り込まれて、あえなく餌になってしまうというエンディングです(すごい話ですね)。しかし、こちらの子供はこんな絵本を見ているのですから、末恐ろしい…(写真はプログラムに入っている絵本の一部です。悪戯の内容が何となくわかると思います)。

Img_1241_b

街の皆さんが、悪ガキ二人がいなくなって、はしゃいでいるところに、サプライズが仕掛けてあります。
バレエなので、演奏と踊りだけで構成されているため、子供さんが見ても楽しめる内容になっていました。「ヘンゼルとグレーテル」よりも小さなお子さんがいらっしゃっていました。

フィナーレでは、出演者全員の踊りに合わせて、お客様の手拍子が入るなど、最近のフォルクスオーパーには珍しい盛り上がりを見せていました。お子さんも大満足といったところでしょうか。この手のお話は、「子供に悪い影響があるのでは…」のように真面目に考えるのではなく、理屈抜きで楽しむものでしょう。

なお、Feriが見た日は、Max役がMihail sosnovschi、Moritz役がIan Whalen Lindemanでしたが、カーテンコールでは花束が投げ込まれるなど、お客様の評価も上々でした(実際はダブルキャストらしいのですが、変装をしているため、同じに見えると思います)。

お正月で、子供さんもお休みであるために、客層を拡げる意味で、子供も楽しめるオペラとバレエを入れたのでしょう。ディレクターのRobert Meyerもやりますね。

Img_1228_b

なお、「Max und Moritz」は、1940年代にもフォルクスオーパーで、「キンダーメルヒェン」という副題をつけて上演していたことがあるようです(実際には、もっと古くからやっていたようですが)。プログラムには、当時のポスターや舞台の模様が出ていますが、舞台の感じは、今に通じるものがあります。このような背景を考えると「リメイク版」と考えた方が良いのかもしれません。

|

« あっと驚くプログラム | Main | ホイベルガーの傑作「オペラ舞踏会」速報 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« あっと驚くプログラム | Main | ホイベルガーの傑作「オペラ舞踏会」速報 »