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February 27, 2008

「チャールダーシュの女王」再見

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さて、Feri得意のオペレッタものです

カールマンも私の好きな作曲家の一人です。2007/2008シーズン、フォルクスオーパーで上演されるカールマンものとしては、「チャールダーシュの女王」と「伯爵令嬢マリッツア」があります。

「チャールダーシュの女王」は、しばらく観る機会がなかったのですが、今回、スケジュールが合い、観ることができました。余談ですが、私がフォルクスオーパーで三演目目に観たオペレッタが、「チャールダーシュの女王」でした。

以前、「ウィーン何でも情報」の掲示板があった頃、レポートしたこともあったのですが、公演終了後、お客さまが本当に楽しそうにしていた姿が印象的でした。ちなみに前にフォルクスオーパーで、「チャールダーシュの女王」を観たのは2002年9月のことです。その後、ブダペスト・オペレッタ劇場、ドレスデン・オペレッタ劇場で観ています。

まず、配役ですが、シルヴァ役がUlrike Steinsky(この人も以前「メリーウィドウ」でハンナを演じていたこともあります。歌役者ですね)、エドウィン役がThomas Sigwald(「地獄のオルフェウス」のオルフェウスを演じていました。また、この前は「微笑みの国」のグスタフ中尉を演じていました。お忙しいことで… なぜか、最後はあこがれの女性と結ばれる役ですね)、ボニ役がMarko Kathol、フェリ・バッチ役がKurt Schreibmayer(名優ですね。「メリーウィドウ」のダニロははまり役でした。この前は「地獄のオルフェウス」でジュピターを演じていました)、スタージ役がDenise Beck、リッペルト侯爵役がHeinz Holecek、リッペルト侯爵夫人役がRegula Rosin(今シーズンは「オペラ舞踏会」でボービュイッソンの妻パルミラ役で出ていました。似たような雰囲気の役ですね)、オイゲン中尉役がFranz Waechterという面々でした。

また、指揮はMichael Tomashek(私の好きなフォルクオーパー指揮者の一人です。普通は合唱指揮を中心に行っているため、表舞台にはあまり出てきませんが、雰囲気がいいんですねぇ)が務めました。

当ブログ開設後、「チャールダーシュの女王」はご紹介していないので、ちょっと詳しくお話をしましょう。

まず、現在のフォルクスオーパー版は、「古き良き伝統を今に伝える古典オペレッタ」と言っても良いでしょう。

一幕は、ブダペストのオルフェウム劇場です(余談ですが、ここが現在のブダペスト・オペレッタ劇場です)。シルヴァのお別れ公演から始まりますが、最初から看板歌手の「最後の歌」になるので、正直、ここでシルヴァ役の実力がわかってしまいます(シルヴァ役は、最初から気が抜けません)。Ulrike Steinskyは、歌だけではなく、演技も上手なので、歌姫シルヴァの雰囲気を良く出していました。彼女の後援者を自認するボニとフェリ・バッチが、ここでのもう一つの主役です。フェリ・バッチ役のKurt Schreibmayerは、やはり、この手の役はうまいですね。雰囲気、抜群。ボニ役がMarko Katholも、意外と声量もあり、演技も上手でした。ところで、この一場、実はオルフェウム劇場の幕が途中で引っかかってしまい、最初に一番上まで上がらないというアクシデントがありました。

「チャールダーシュの女王」は、本来、一幕が一場から六場まであるのですが、現在のフォルクスオーパー版では、吊しものを上手に活用して舞台転換を行っています。エドウィンが遅れてやってくる場面は、オルフェウム劇場のロビーです。ここで、エドウィンが外されたシルヴァの看板を前にして歌うのですが、Thomas Sigwaldも気合いが入っていました。テンポ良く場面転換が行われ、次は劇場の楽屋になります。ここで、シルヴァ、ボニ、フェリ・バッチ、エドウィンが集まり、なじみ客同士で一杯やる場面も楽しいシーンです。

そこへ、エドウィンをウィーンに連れ戻すためにオイゲン中尉がやってくるわけですが、オイゲンとボニ、フェリ・バッチがオペレッタらしいやり取りを見せます。

ご存じのように、エドウィンは劇場に公証人を呼び、8週間のうちにシルヴァと結婚する約束を書面にし、彼女のアメリカ行きを断念させます。一幕では最も盛り上がる劇場関係者から祝福される場面ですね。エドウィンがウィーンに発ったあと、ボニがオイゲンから手に入れたエドウィンとスタージの婚約通知を、シルヴァに見せて、彼女が落胆し、アメリカ行きを決意する場面は、カールマンらしい感情の起伏が出てくるシーンです。

一幕の最後、一人劇場に残ったフェリ・バチがシャンペングラスを床にたたきつけ、シルヴァの不幸を嘆くシーンが、何とも言えないですね。フェリ、かっこいいぞ(私ではありません。Kurt Schreibmayerの方)。

二幕は、ウィーンのリッペルト侯爵の館です。
エドウィンの父、リッベルト侯爵が息子とスタージの婚約発表のパーティを間いているところから始まります。舞台装置は、一幕の劇場とは打って変わって大きなドーム状の大広間になります。基本的に照明を工夫することで、変化を出しています。

エドウィンはアメリカヘ行ってしまったシルヴァの本音を探り出そうと懸命です。彼はスタージに“彼女から連絡があるまでは結婚出来ない”と告げます。一方の、スタージもエドウィンが歌姫シルヴァに恋をしていることを、薄々感じているので、ここでの二人のやり取りが面白いところです。
そこヘシルヴァがボニと現れるわけですが、パーティに潜り込むため、形の上ではボニ夫人となっているため、慌てるエドウィン。一方、ボニもスタージとは幼なじみで、合った瞬間に、惚れてしまうと言うオペレッタらしい展開になります。

二幕のハイライトは、エドウィンとシルヴァのデュエット“踊りたいの”でしょうね。今回は、二人とも意気が合っていました。また、ボニとスタージのデュエットも楽しい曲で、お好きな方も多いでしょう(ダンスが入るので、私も好きです)。

結婚したくても、身分(要するに世間体)が邪魔をしてウィーンでは、シルヴァに結婚を迫れないエドウィン。いかにも、優柔不断な坊ちゃんという感じをThomas Sigwaldは見事に演じていました。結局、エドウィンが好きなのにも関わらず、態度が気に入らないシルヴァは、皆の前で、ブダペストで書いた「結婚を約束した書面」を破り捨て、ボニと一緒に立ち去ります。最後、シルヴァがエドウィンに駆け寄り、キスをしてリッペルト邸を後にする場面に、シルヴァの気持ちが集約されていますね。ドラマチックな演出です。

三幕はボニとシルヴァが泊まっているウィーンのグランドホテル(オパーリンクの近くにある、あそこ)です。舞台装置は、吊しものを上手に使って、ホテルのバーを見事に再現していました(もう閉店の時間ですが、責任者のマックスを抱き込んで、貸し切りです)。

シルヴァは、すぐにかっとなってしまう自分に落ち込んで、ホテルへ戻ってきます。そこへ、フェリ・バッチが登場します。フェリ・バッチは、事情を聞きシルヴァを慰めるため、バンドを呼んで“ヤイママン”を歌います。最初は、乗り気ではなかったシルヴァも歌姫の血が騒ぎ、結局、歌の輪に入り、三人で盛大に歌いまくります。

「チャールダーシュの女王」と言ったら“ヤイママン”です。最大の盛り上げどころなので、最近では少なくなったアンコール(リフレイン)も行われます。二回目はハンガリー語、三回目は英語と日本語(世界はボクのもの。いつまで生きるかわからない。金などいるものか)です。昔はもっと観客が盛り上がったのですが、今回観たときは、今ひとつですたね(昔は、手拍子は当たり前で、口笛が出たこともありました。ちなみにドレスデン・オペレッタ劇場で、この場面、手拍子をしたら、隣のおばさまに叱られました)。

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この後は、いかに二組のカップルを上手にとまとめ上げるかという「お芝居」になります。「お芝居」なので、台詞が多いのですが、実は、このお芝居が面白いのですよ。

まず、エドウィンがやってきてボニをなじり、シルヴァの部屋に向かいます。続いて、リッペルト侯爵がやってきて、ボニに詰め寄るのですが、エドウィンと同じような仕草なので、ボニは“この一家は、病気か”のようなジョークを言って、観客を盛り上げます。さらに、リッペルト侯爵夫人も来るのですが、ここで、フェリ・バッチとばったり。そう、リッペルト公爵夫人は昔、人気歌手で、かつフェリ・バッチあこがれの人だったことが、披露されます。この時のリッペルト侯爵のリアクションは見所ですね。

最後は、ボニが電話を使った大芝居で、シルヴァの本音を引き出し、二組のカップルが無事誕生してお開きとなります。最後のシーンは、シルヴァとエドウィン、スタージとボニ、リッペルト侯爵夫妻がカップルで、踊る中、フェリ・バッチ一人が、見えない相手をパートナーとして踊る場面になります。ちょっと、ホロッとくるシーンですね。でも、フェリ・バッチは粋なオヤジです。

前回、観たのがかなり前なので、記憶が定かではありませんが、若干、演出を修正しているように感じました。また、お芝居の部分を充実されるような指導(少なくとも、以前よりシルヴァとエドウィンのお芝居が充実しているように思います)がなされているかもしれません。今回、安心して観ることのできる歌役者さんの大量投入で、古き良きフォルクスオーパーのオペレッタを楽しむことができました。
現演出で269回を数える「チャールダーシュの女王」。6年経っても、いい味を残しているオペレッタ。是非、この形で、しばらくは続けて欲しいものです(ただ、上演回数が少なくなっているのが、残念無念)。


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