メルビッシュ・フェスティバル「白馬亭にて」 その3
語りはセラフィンさんです。これは、「セリフが省略されているため、オペレッタの進行がわかるように…」という配慮でしょう。確かに「白馬亭にて」の場合、同じ曲が何度も出てくるので、解説が入った方がわかりやすいかもしれません。ちなみに、「語り」はドイツ語です。
CDのキャストですが、レオポルド役はMartias Hausmann(本番では出演しなかった歌手)、ヨゼファ役はIngeborg Schöpf(さすがに歌だけですからZabine Kapfingerは起用できなかったのでしょう)、ジードラー役はMarco Jentzsch、ギーゼケ役がKlaus-Dieter Lerche、オッティリエ役はAnja-Katharina Wigger、ジギスムント役がSerge Falck、クレールヒェン役がIna Nadine Wagler(ヒルゼルマン教授はお芝居だけなのでCDでは出番なし)、カイザー・フランツヨーゼフⅡ世役はAlbert Rueprecht、ピッコロ役はRafael Schuchterです。CDとDVDで出演者が違うというのも興味深いですね(2本買わせようという魂胆でもないとは思いますが…)。
もう一つは、プルミエの模様を収録・編集したDVDです。実は、以前は、公演が安定した8月に入ってからORFが録画し、編集の上、放送をしていました。当然、DVDも、そのコンテンツを使っているため、発売は秋になってからでした。
ところが、最近では、無謀にも野外公演のプルミエをORFが「生中継」するようになりました。現地からは、生中継なので、コマーシャルが終わる前に二幕が始まってしまい、慌てて、二幕を仕切り直しした…などというエピソードも伝わってきます。
普通は、このようなリスクを防ぐために、時間差生中継(数分遅らせて中継を行う手法で、なので、突発的な事態にも対応が可能です)を行うのが一般的なのですが、ORFは自信があるのか、突発的な事故があっても「ごめんね」で済ませてしまおうと考えているのでしょうかね。
余談が長くなりましたが、プルミエを録画しているため、DVD作品の方も、公演後半にはメルビッシュ・フェスティバルの会場で、発売できるようになりました(もしかしたら、会場での発売を意識して、プルミエを録画するようにメルビッシュ側から要請した可能性があります)。
なお、通常はPAL版とNTSC版の両方が発売されるのですが、現地ではPAL版しか発売されていません(何しろ、制作から販売までの時間がないですからね)。また、字幕はドイツ語、英語、フランス語、イタリア語、スペイン語の選択式で、ドルビーデジタル5.0仕様、ハイビジョン録画
となっています。おもしろいのは、キャプチャー選択画面で、カーソルの位置を示すアイコンが「白馬」になっていることでしょうか。ちなみにお値段は33ユーロでした。
今回、DVD版で登場するのは、レオポルド役はRainhard Fendrich、ヨゼファ役はZabine Kapfinger、ジードラー役はMarco Jentzsch、ギーゼケ役がKlaus-Dieter Lerche、オッティリエ役はAnja-Katharina Wigger、ジギスムント役がKlaus Eberhartinger、ヒルゼルマン教授役がErik Göller、クレールヒェン役がIna Nadine Wagler、カイザー・フランツヨーゼフⅡ世役はHarald Serafin、ピッコロ役はRafael Schuchterです。いわゆるファーストクルーですね。実は、後半、ヨゼファ役はZabine Kapfingerが出なくなり、Ingeborg Schöpf一本になってしまったため、現地でZabine Kapfingerを見ることが出来なかった方は、このビデオが唯一…と言うことになります。
また、最近ではNHKでの放送もいつになるかわからないので、Feriは買ってしまいました
。
で、実際に観てみると、テレビ映像ならではの映像演出が随所に見られます。今年は、客席上空を移動するカメラを使った映像が含まれていました。また、会場では絶対不可能な歌手のアップもふんだんに盛り込まれており、色々な発見があります。とくに会場では、わかりにくかった出演者の表情やお芝居が大変よくわかります。例えば、オープニングで白馬亭から鳩が飛び出してくるところや、白馬亭の前で神父さん(恐らくウォルフガング教会の神父)が地元の有力者とおぼしき人物と、歓談しているのですが、そういう場面もしっかり入っています。
しかし、生放送の割には、映像作品の仕上がりがよいのには感心します(最近流行の短いカットをつなぐ演出です)。なお、以前の作品では、カーテンコール後の「花火大会」まで収録されていたのですが、今年の「白馬亭にて」では、花火大会が全く入っていませんでした。メドレーの演奏に合わせて打ち上がる花火、あれが良いのになぁ。残念。
で、Feriが現地で観ることが出来なかったZabine Kapfinger扮するヨゼファですが、確かに雰囲気はぴったりですね。元々チロリアンバンドのボーカルだった人らしく、民族衣装姿は決まります。ただし、クラシック出身の歌手ではないため、クラシック的な発声が十分身についておらず、正直、歌(ソロの歌)は下手です(外された理由も納得できます)。お芝居については、かなり頑張っているので、まぁ、合格水準と言っても良いでしょう。
ただ、彼女が、唯一歌で光る場面があります。それは、今回の演出で採用された二幕前半、レオポルトが解雇され、ギーゼケが不満そうにする場面で、雰囲気を変えるためヨゼファが「ザルツカンマーグートの歌」を歌う場面があります。この後半、実はヨーデルのパートが入っているのです。チロリアンバンドのボーカルは、必ずヨーデルを歌うので、ここは手慣れたもので、Zabine Kapfingerは見事なヨーデルを披露しています。恐らく、Zabine Kapfingerの起用を前提として、ここにヨーデルを入れる演出を考えたのだと思います。
一方、Feriが現地で観たIngeborg Schöpfは、普通の歌はZabine Kapfingerよりも遙かにうまいのですが、唯一、ヨーデルは「超苦手」なようで、本人もかなり苦しそうに歌っていました。まぁ、普通のオペラやオペレッタでは、ヨーデルは出てきませんからね。気をつけないと、喉を痛めてしまう恐れもあるので、無理をしなかったのでしょう。
しかし、Zabine Kapfingerのヨゼファが、イケメンのジードラーMarco Jentzsch に熱を上げていて、Rainhard Fendrichのレオポルドに、最初、全くつれない…という展開は、Rainhard Fendrichが「いいを歳したおっちゃん」なので、すごくしっくりきますね。実際、若い未亡人が、おっちゃんの給仕長に思いを寄せられても、困ってしまうでしょうね。一方、Rainhard FendrichがかわいらしいZabine Kapfingerに夢中になるのは、すごく頷けます。そういう意味で、雰囲気を考えて、このキャスティングがベストと考えたのでしょう。
ちなみに「白馬亭にて」のオペレッタ映像は、本メルビッシュ版が「初」(映画版は何本か出ています)なので、オペレッタ・ファンは必見の一本と言えるでしょう(別にセラフィンさんから何ももらっていませんが… 本当は、こんなに日本語で宣伝しているのですから、CDでもくれませんかねぇ)。
なお、CD・DVDの両方とも、アルカディア・オペラショップのWebサイト(http://www.arcadia.at/index.htm)などから、購入することができます(DVDは、まだリストに載っていないようです)。





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