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September 10, 2008

速報 「彼の地から来た従兄弟」レポート

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オペレッタファンの皆さん、お待たせしました。今日はフォルクスオーパーの話題です。

2008/2009シーズンのフォルクスオーパーで開幕を飾ったのは、エドゥアルト・キュネッケ作(Edurad künneke)のベルリン・オペレッタ「彼の地から来た従兄弟」(原題は「Der Vetter aus Dingsda」)でした。開幕にプルミエをもってこられるとは思ってもみなかったので、「彼の地から来た住兄弟」については、プルミエは観ることができず、3回目の公演を観ることになりました。

正直、2008/2009のプログラムが発表されたとき、「彼の地から来た従兄弟」とはなんぞや…というところからスタートしました。幸い、手元にある「オペレッタ名曲百科」(永竹由幸著、音楽之友社)には「あらすじ」を含めた詳細が掲載されており、大変助かりました。

1921年4月にベルリンのノエレンドフルプラッツ劇場で初演されたオペレッタです。

ベルリン・オペレッタらしくメロディーラインがきれいな曲が多く、ウィンナ・オペレッタとはひと味違う心理劇になっています。1920年代のオランダを舞台にした三幕のオペレッタで、キュネッケの最高傑作と呼ばれているそうです。ドイツの地方劇場では、比較的頻繁に取り上げられるようですが、これをウィーンに持ってきたロベルト・マイヤー氏の意図を知りたいところです。

お話は、巨額な遺産を相続している女性ユーリアを中心に進みます。今まで、後見人が遺産の管理をしていました。遺産相続人のユーリアが成人してしまったため、後見人(ヨーゼフとエゴン)が莫大な遺産を手に入れるためには、自分の子供と結婚させる以外に方法はありません(エゴンは自分がユーリアと結婚したいと迫ります)。

そこで、何とか、自分の子供と結婚させようと画策するのですが、そこへ7年前に行方不明になったユーリアの恋人ローデリッヒらしき人物が現れ、大騒動になる…といった展開です。

しかも、ユーリアが恋人の顔を忘れてしまっているため、本人かどうか確かめるすべがない…オペレッタらしい展開です。ところが、最初に現れた若者は、身分を隠したヨーゼフの甥アウグストだったのです。ローデリッヒだと思っていたユーリアはがっかり。その後、またまた「旅の若者」がやってきます。彼こそが、本物のローデリッヒだったのですが、ユーリアの友人ハイファンと恋に落ちてしまいます。さて、結末は…何と偽物ローデリッヒ(本当はアウグスト)とユーリアが、偽物アウグスト(実はローデリッヒ)がハイファンと結ばれ、めでたしめでたしというお話です。

お話の筋を頭に入れておけば、楽しいオペレッタなのですが、いきなり見ると、何が何だかわからないかもしれません(何しろ、正体不明の人物がたくさん出てきますので…)。

さて、当日ですが指揮はAlexander Drcarが務めました(熱演でしたね)。主な出演者は、遺産相続人のユーリア・デ・ヴェールト(Julia de Weert)役がRebecca Nelsen、ヨーゼフの甥アウグスト・クーブルト(August Kuhbrot)役がDaniel Prohaska、ユーリアの友人ハイヒェン(Hannchen)役がJohanna Arrouas、ユーリアが愛していた従兄ローデリッヒ・デ・ヴェールト(Roderich de Weert)役がBoris Pfeifer、ユーリアの叔父で後見人のヨーゼフ・クーブロト(Josef Kuhbrot)役がCarlo Hartmann、クーブロトの妻ヴェルヘルミーネ(Wilhelmine Kuhbrot)役がIsabel Weicken、ユーリアのもう一人の後見人エゴン・フォン・ヴェルデンハーゲン(Egon von Wildenhagen)役がDaniel Johannsen、召使いのハンス(Diener Hans)役がThomas Markus、召使いのカール(Diener Karl)役がStefan Cernyという面々でした。

が、実は出演者は、この9人だけ。オペレッタでおなじみの合唱団やバレエ団は、全く登場しません。なるほど、ドイツの地方劇場でよく上演さえる理由がわかるような気がします(大人数を揃えなくても上演できますからね)。

さて、今回の制作方針は非常にはっきりしていました。というのは、9人の出演者が、「踊って、歌って、お芝居をする」ということです。つまり、この三つの要素にバランスよく対応できる歌手(歌役者さんですね)が鍵を握ります。そのため、「踊って、歌って、お芝居をする」ということを前提にキャスティングが行われたようです。

たしかに、歌を単独で聴けば、声量不足という歌手の方もいらっしゃるのですが、踊りながら歌う場面も多々あります。さらに、食事の場面ではセンメルを切りながら、歌う(実際に召し上がっていました)という普通では考えられない場面があります。トータルで考えると、よくこれだけ三つの要素を兼ね備えた歌役者さんを揃えた…というのがFeriの率直な感想です。演出に関しては、「ベルリン・オペレッタにウィーン風の味付けをしたら、こうなりました」という地元の皆さんに大受けする内容になっています。

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舞台装置に関しては、フォルクスオーパー得意の回り舞台を上手に使い「場の転換」を図っています。場面としては「館の外」と「館の中」の二箇所ですが、「館の中」に関しては、状況に応じて寝室や居間に変わります。

物語では、「謎の若者」が現れるところから、この館は「おとぎ話の宿」になるため、庭にはディズニーにでも出てきそうな小人のフィギュア(こちらで言うところの「妖精」です )が並べられています。その中で、唯一一体だけが、プロンプターボックスの上にあっと驚く姿で横になっています。これは、劇場で「見てのお楽しみ」にしておきましょう。

本来、三幕構成ですが、時間の関係で、一幕(約50分)に続いて、暗転で二幕に入ります。そして、「謎の若者」がローデリッヒらしい(実は違うのですが)ことになり、出演者全員で歌い、踊る場面で二幕前半が終了となります。

休憩を挟んで、二幕後半から再開しますが、ユーリアとローデリッヒに扮した「謎の若者」が二人で、居間で、子供の頃を思い出しながら歌う場面があります。さて、ここの曲に注目ですね。どこかで聞いたようなメロディーで、二重唱が展開されます。これも聴いてのお楽しみ。本来は、ここでハッピーエンドになるところなのですが、エゴンが登場し、「謎の若者」はローデリッヒではないことを暴露し、周囲は大騒ぎになります(ここでは、「謎の若者」がアウグストであることは隠したままです)。

引き続いて三幕に入りますが、夕立が降る中、「謎の若者」だけが傘もなく歌う場面があるのですが、ここは印象的ですね(小人も小さな傘をさしています)。その後、もう一人の「謎の若者」(本物のローデリッヒ)が上空からパラシュートで登場します。本物のローデリッヒは、自分の名前を名乗るときに笑顔で「独特のポーズ」をつけるのですが、これが、また面白い。最後は、アウグストがローデリッヒになりユーリアと、ローデリッヒがアウグストになりハイヒェンと結ばれるてハッピーエンドになります。では、一人残ったエゴンはどうなるか…これも見てのお楽しみです。

ユーリア・デ・ヴェールト役のRebecca Nelsen、アウグスト役のDaniel Prohaska、ハイヒェン役がJohanna Arrouasの三人は本当に、よく踊りながら歌えるものだと思います。

また、ヨーゼフ役のCarlo Hartmannと妻ヴェルヘルミーネ役のIsabel Weickenの演技も見逃せません。この二人が、お芝居全体を引き締めていますね。まだ、歌が十分こなれていないところもありましたが、上演を重ねる毎に良くなっていくと思います。

この他、本来脇役である召使いの二人も見事なダンスと歌を披露してくれます。

合唱はありませんが、二重唱や三重唱が多く、メロディーもきれいなので、一度聴くと耳に残ること請け合いです。また、なかなか見事な振り付けだと思って、調べたところ、国立歌劇場のバレエダンサー(Gregor Hatala、ファンの多い方です)が振り付けに参加していることがわかりました。だから、決めポーズなども入っているのでしょう。

ただし、お芝居の部分が多いので、日本のお客さまは、あらかじめ「あらすじ」をよく読んで物語の展開を予備知識として入れておくと、楽しめると思います。そうすれば、言葉が十分わからなくても、楽しめます。プログラムにも、日本語の「あらすじ」が載っていますが、幕の区切りなどが入っていないなど、ちょっと不親切な点が残念です(実際に舞台を見てから「あらすじ」を書くわけではないので、やむを得ませんが)。

それにしても、フォルクスオーパーのお色気シーンは、下品になる寸前で引っ込めるのですが、このセンスは抜群ですね。Feriお勧めの「大人のためのオペレッタ」です

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