« 番外編 ウィーン国立歌劇場来日公演「コシ・ファン・トゥッテ」 | Main | ご商売熱心なウィーン国立歌劇場 »

October 25, 2008

番外編 ウィーン国立歌劇場 来日公演、ゲネプロ潜入記

2008_10_24_01_2


いよいよウィーン国立歌劇場の日本公演が始まりましたが、今回、NBS(日本舞台芸術振興会)が、同会に寄付をした人を対象に、ゲネプロ招待を実施しました。前回のフォルクスオーパーの来日公演では、招待者は1名でしたが、今回は2名と大盤振る舞いです。と言うわけで、10月24日、神奈川県民ホールで行われた小澤征爾氏指揮の「フィデリオ」のゲネプロを観てきました。潜入記と書きましたが、ちゃんと招待券を持っていますので、潜り込んだわけではありません

公演内容については、本公演を観ずにコメントするのは失礼なので、ここではゲネプロの模様をご紹介しましょう。

当日は16時開演で、30分前に開場となりました(オーケストラの皆さんは、前日は「コシ・ファン・トゥッテ」、今日は「フィデリオ」と大変ですねぇ)。このあたりは、通常公演と変わりありませんね。今回、NBSから、通常公演と同じ立派なチケットが送られてきました(冒頭の写真)。写真では座席番号を消してありますが、当然、座席指定制です。座席については、前方の10列くらいと中央ブロック、2階はバックステージ・パスを持った関係者用に当てられていました。今回は、日本のマスコミ関係者は少なかったようで、関係者席はガラガラでした。

今回のゲネプロですが、「舞台総稽古」という説明があり、舞台装置や衣装、進行は基本的に本番と同じ。オーケストラは私服(関東地区は、10月下旬というのに暑いため、男性奏者は半袖シャツの方が結構いらっしゃいました)というパターンでした。指揮者の小澤征爾さんも私服で指揮を行っていました。

ちなみに、今回客席で観ていた人は、NBSの招待者を含めて200人程度だったと思います(チェックした訳ではないので、もっと少なかったかもしれません)。

演奏が始まって、まず感じたことは、「お客さまがある程度は言っていないと、音が変わる」と言うことでした。よく考えてみれば、当たり前なのですが、人は音をある程度吸収しますから、椅子だけしかない場合とでは、残響なども違ってくる訳ですね。

このような少人数で、ウィーン国立歌劇場を観るという機会は、ほとんどないので、良い経験になりました。本番の公演と比較すると、また色々と音の違いもわかることでしょう。楽しみです。

当日、配布された出演者リスト(ご参考までにPDF化したフェイルを置いておきます)には、「舞台総稽古なので、内容、進行、歌手の発生などが本番どおりでない」旨の記述がありましたが、進行はほぼ予定通り進み、途中で、演奏やお芝居を止めて、指導する場面はありませんでした。
「2008_10_24_FIDELIO.pdf」をダウンロード

2008_10_24_b

興味深かったのは、招待のお客さまが、拍手をして良いのかどうか迷っているようで、1幕では、ほとんど拍手がありませんでしたね。さすがに終わりの時には、「盛大に」というのには語弊がありますが、ある程度の拍手が送られました。
まぁ、本来、練習で、修正箇所もあるわけですから、この拍手は「お疲れ様でした」というようなニュアンスなのでしょうね。

このほか、興味深かった点が二点あります。

まず、一つが、第2幕第2場、囚人達が国王の恩赦により開放され、刑務所で家族と再会するシーンがあります(ご存知の方も多いと思いますが、ベートーヴェンらしい歓喜を爆発させるシーンですね)。ここは、合唱団の人数が必要なのですが、今回、その他公演の関係から、来日した合唱団の人数が少なかったようです(まさか、ここだけのために合唱団のフルメンバーを連れてくるのもねぇ。それでも60名弱の合唱団メンバーが来日しているのですよ)。そのため、このパートのみ、藤原歌劇団合唱部メンバーが加わり、日墺混成で舞台が進行します。

人数も多く、喜びを歌い上げる場面ですが、ここで、演出指導担当者(どなたかは確認できませんでしたが、舞台進行監督さんかもしれません)が、客席中央から、合唱団の動きに大きなジェスチャーで指示を出していました。どうも、ドン・ピツァロが逮捕され、舞台後方に連行されてからの合唱団の動き(フォーメーション)にご不満だったようです

本来、解放された囚人と家族が、喜びを爆発させながら、レオノーレ達を取り囲むのでしょうが、動きが悪かったようです。大きなジェスチャーで“早く中央に集まれ”という指示を出していましたが、混成の合唱団には指示が良く伝わりません。業を煮やした担当者、やおら舞台袖から盛り上がっている舞台に上がり(当然、私服)、合唱団のリーダーらしき人のところに歩いて行き、合唱中に耳打ちをしていました。その後、合唱団の後ろを通って、舞台袖から客席に戻っていきました。まさしくゲネプロらしい場面を初めて目撃しました。

なお、ゲネプロ終了後、幕の後ろから、演出指導担当者が合唱団に指導している声が聞こえてきました(藤原が劇団合唱部のメンバーが入っているため、日本語の通訳さんが指導内容尾訳していました)。やはり、混成でやっているため、合唱はそこそこ良かったのですが、舞台上の動きまでは徹底できなかったのでしょうね(だからゲネプロがあるわけですが)。さて、本番では、スムーズな動きが実現するでしょうか。

もう一つは、演奏終了後、小澤征爾さんが、オーケストラ・メンバーに指導を始めたことです。どうやら第2幕第1場と第2場の間、恒例により演奏される「レオノーレ」(序曲第3番)の一部がお気に召さなかったようです(弦が立ち上がる部分というでしょうかね)。最初は、口頭でオーダーを出していましたが、その後、何とビックリ、そのフレーズ部分をオーケストラに演奏させて、確認をとっていました。帰りかけたお客さまも、突然始まった演奏に立ち止まっていました。

若手中心のオーケストラなどでは、このような指導は良くあるようですが、相手が、プライドの高い、天下のウィーン国立歌劇場管弦楽団の皆さま…ちょっと心配になってしまいました 。と言うのは、以前、現地でこういった指導に反発した楽団員がいらっしゃというウワサ話を聞いたことがあるものですから(あくまでもウワサ話ですよ)。一部とは言え、演奏を求められたメンバーも、何やら苦笑い…という風にFeriには見えましたが…

Img_8502_01

今まで、ウィーンではフォルクスオーパーのゲネプロは何回か観る機会があったのですが、プルミエ前のマスコミ向け公演という性格が強いので、終了時、お客さまがいるときに指導をするという場面は見たことがありません。そういう意味では、貴重な経験でした。さて、本番では、制作者側の希望に添った公演になるでしょうか。

|

« 番外編 ウィーン国立歌劇場来日公演「コシ・ファン・トゥッテ」 | Main | ご商売熱心なウィーン国立歌劇場 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 番外編 ウィーン国立歌劇場来日公演「コシ・ファン・トゥッテ」 | Main | ご商売熱心なウィーン国立歌劇場 »