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November 09, 2008

ウィーン国立歌劇場来日公演 フィナーレ

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10月21日から始まったウィーン国立歌劇場の来日公演も、11月8日の「ロベルト・デヴェリュー」をもって、無事終了となりました。最終日は、主演がグルベローヴァだけに大いに盛り上がりました(また、いたのか…という突っ込みはなしでお願いします )。

とくにカーテンコールは、千秋楽ということもあり、初回よりも盛り上がり、グルベローヴァを始めとする主要歌手の皆さんが何度も舞台に登場しました。

ちなみに、千秋楽のキャストですが、指揮は、フリードリツヒ・ハイター、エリザベッタ役がエディタ・クルベローヴァ、ノッティンガム公爵役がロベルト・フロンクーリ、サラ役がナディア・クラステヴァ、ロベルト・デヴェリュー役がホセ・ブロス、セシル卿役がペーター・イェロシッツ、グアルティエロ・ローリ卿役が甲斐栄次郎、執事役が伊地知宏幸、ノッティンガム公爵の親友役がマリオ・スチッラーという31日と同じ面々でした。皆さん、良いできでしたが、個人的にはサラ役のナディア・クラステヴァが、前回よりも良くなっていたような感じを受けました。

そうそう、オーケストラには、先日、ウィーン・クラシックスで見事なソロ演奏を披露したオーボエのミヒャエル・ウェルバも加わっていました。前日の7日が大阪フェスティバルホールでの公演でしたから、8日の朝、最終公演に合わせて戻ってきたのでしょう。皆さん、エネルギッシュですねぇ

それにしてもグルベローヴァの歌は、何度聴いても、ものすごいですね 。とくに「ロベルト・デヴェリュー」の第二幕終盤、ロベルトに死刑を言い渡す場面や、第三幕のフィナーレは、鬼気迫るものがありました。聴けば、聴くほどはまってしまうのが恐ろしい感じがします。

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当日は、千秋楽と言うことで、お開きの後、楽屋口で、フリードリツヒ・ハイター、エディタ・クルベローヴァ、ロベルト・フロンクーリ、ナディア・クラステヴァ、ホセ・ブロスによるサイン会も行われました。
サイン会ですが、マチネで、終演時間が早かったこともあり、100名くらいのファンが並んでいたようです。グルベローヴァも会心のできだったようで、終止ご機嫌でした。

余談ですが、サイン会の途中、来週のグルベローヴァ・リサイタルの指揮をするラフル・ヴォイケルトが突然、会場に現れ、本日出演した皆さんの労をねぎらっていました。恐らく、来週のリサイタルを前に、様子を見に来たのでしょう。

このほか、グルベローヴァが「ロベルト・デヴェリュー」で身にまとっていた衣装(三種類の衣装をお召しになっていましたが)は、芦田 淳氏のデザインによるものだそうです。

この後もグルベローヴァのリサイタルなど、関連する行事は残っていますが、ご本体はウィーンに引き上げていくことでしょう。と言うわけで、来日に関連する「こぼれ話」をご紹介しましょう。

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今回は、通算100回上演に加えて、来日期間中の11月3日に音楽総監督の小澤征爾さんが文化勲章を受章するなど、エポックの多い来日公演になりました。ホーレンダー総裁も、ホクホクでしょう。

ところで、今回の来日公演では、プログラムの組み方が上手だったですね。

まず、「皇帝」ムーティ指揮の「コシ・ファン・トゥッテ」(何と言ってもモーツァルトはウィーンの十八番ですからねぇ)でお客さまのハートをつかみ、二演目目の小澤征爾指揮の「フィデリオ」で通算100回上演を達成(プラス、小澤さんの文化勲章受章)。最後は、「ベルカントの女王」グルベローヴァの「ロベルト・デヴェリュー」で、お客さまに強い印象を与える。グルベローヴァが事実上主演の演目を最初に持ってくると、後のソプラノ歌手がやりにくくなりますから、最後に持ってきて大正解です。いずれも趣の違う演目であったので、楽しめましたね。ただ、懐には木枯らしが吹いていますが。

ところで、当ブログでもご紹介した冊子「ウィーン国立歌劇場 来日100公演記念」(THE VIENNA STATE OPERA IN JAPAN-THE JAPAN-TOURS FROM 1980 TO 2008)ですが、実は、現地(ウィーン国立歌劇場)でも「大々的」に販売しています

同劇場のPR誌「pro:log」最新号(№123、2008年11月号)には、日本公演の速報と一緒に同誌のPRも行われています。で、お値段ですが、実は7ユーロでした。日本での営業妨害になるといけないので、公演終了まで値段のお知らせは控えておりましたが、今回、日本でお買い求めにならなかった方は、現地で買った方がオトクですね 。今のレートだと1000円以下ですから。

ところで、プロローグの最新号は、10月下旬に発行されたのですが、それに21日の公演の模様が掲載されているというのは、オーストリアの(のんびりとした)風土を考えると驚愕に値します。さすが、ホーレンダー総裁、PRというか、ご商売は上手ですね

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また、現地の新聞でも、下の写真のように日本公演の模様が、大々的に報道されていました。

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ところで、今回の公演ですが、2004年とは、ずいぶん様変わりしたような印象があります。というのはチケットの売れ行きです。2004年の際は、「ドンジョバンニ」と「フィガロの結婚」というモーツァルト作品だけが、都合7公演上演されました。実は、この時、Feriはプリオーダーの抽選でチケットが買えなかったという「苦い経験」があります(そもそもFeriは「くじ運」が悪いのですよ)。最終的にはグルベローヴァとキルヒシュラーガーが出演する「ドンジョバンニ」だけは何とかチケットを入手することができました。しかし、今回は、指揮者に「皇帝」ムーティが加わったのにもかかわらず、「チケットの熾烈な争奪戦」は起こらなかったようです。

しかも、グルベローヴァの圧倒的な歌唱力を聴くことができる、数少ない演目である「ロベルト・デヴェリュー」でさえ、最後までチケットが余っていたようです(実際、当日もS席に空席がいくつかありました。ご招待の方がノーショーだった可能性がありますね)。

確かに、今回の「ロベルト・デヴェリュー」は、日本ではほとんど上演されない演目である上に、コンサート形式という「通好み」の内容でしたが、それでも景気の良かった頃ならば、即日完売の可能性があったと思います。

やはり、景気減速の影響による収入減少や格差の広がりなどで、高額な入場料が必要なオペラを“観たくても、観ることができない”“鑑賞する演目数を減らさざるを得ない”といった状況になっているのでしょう。確かに、これだけの規模のカンパニーを外国から招聘する場合、多額の費用がかかるのはわかりますが、感覚的にはS席で65000円は、購入に勇気のいる金額です

もともと「NBSが招聘するオペラは質が高いので、高額でも安心して申し込める」という評価が定着しているのですが、それでも、このような事態になっていますから、知名度の低いカンパニーの場合、状況はもっと厳しいと思います。企業からの支援についても、業績の急激な悪化に伴って減っているようですから、日本の招聘元も、今後、根本的な対応を迫られるかもしれません。

また、公演の最後には恒例の垂れ幕がおりてきましたが、そこには「2012年にまたお会いしましょう」の文字が…次回の来日では総裁と音楽総監督が替わりますから、新スタッフでの来日公演ということになりますね。さて、どんな演目やキャストで来日するのか、ちょっと楽しみですね(最も、移り変わりの時期なので、場合によっては、今年のフォルクスオーパーのように、前スタッフが準備した演目を行う可能性もありますが… )。

一方、フォルクスオーパーの来日公演についても、同劇場のPR誌「VOLKSOPER zeitung」最新号(2008年9月・10月号)で、紹介されていました。こちらは、ずいぶん遅いですね。

この記事によると、今回の日本公演では合計23244名のお客さまが鑑賞されたようです(その中には、当ブログの読者も多数含まれていることでしょう)。また、次の来日が2012年であることも公式に表明されています(来日時に、契約が行われたようです)。

となると、2012年は、またまた日本では「ウィーン・フェスト」ということになりそうです。さて、どのようなプログラムを持ってくるかが、興味深いですね。今度は、ロベルト・マイヤー色が前面に出た演目が選択されるでしょう。ただ、上記のような経済状況を考えると、来日の実現までには紆余曲折がありそうです。

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Comments

来日公演の様子が載っているpro:log誌最新号が届くのが、楽しみです。

《コシ》のチケットについては、仕事の都合で、全公演直前に求めることになったわたしの感覚では、極めて入手困難でした。
非常に高額な買い物なのに、座席を選べない形の販売ではたしていいのか。オークションのほうが座席を選べていい、という、非常に皮肉で口惜しい結果となりました。
それでも、行けなくなった方のチケットがオークションやチケット掲示板で買えて、わたしはとても助かりました。

それにしても、新聞評は出ない、放映放送はない(らしい)、ということで、ただただ消費しつくされるだけのクラシック文化、という実態をあらためて思い知らされました。

Posted by: ネッツァー | November 09, 2008 18:54

ネッツァーさま、コメント、ありがとうございます。

おっしゃるとおり、「コシ」が一番人気があったようです。

日本の場合、招聘元にマスコミが関係しているため、招聘元の「絶賛評」以外、でないのが実情のようです。

ご存じのようにNBSの公演は日本経済新聞が公演していますから、Y新聞、A新聞などがコメントはしないことが「暗黙のお約束」になっているようです。

現地の新聞評は、本当に辛辣ですからね。たとえば、グルベローヴァは絶賛でも、演出や共演者の評価が最悪というケースの方が一般的です。

ただ、これにめげるようでは、競争の激しい現地ではやっていけません。良い意味での緊張感が、高いレベルの公演が維持できるのだと思っています。

ところで、「ロベルト・デビュリュー」については、録音はしているようでした(マイクが立っていましたので)。ただ、これが放送されるのか、別の目的なのかはわかりません。

これからも、お気軽にお立ち寄りください。

Posted by: feri | November 09, 2008 20:06

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