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November 16, 2008

オペレッタの思い出 「伯爵令嬢マリッツア」

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11月は「生のオペレッタ」を観る機会がないので、今日は「オペレッタの思い出」をお届けしましょう。「思い出シリーズ」第一段はカールマンの名作「伯爵令嬢マリッツア」です。

今シーズンもフォルクスオーパーで継続上演されている「伯爵令嬢マリッツア」ですが、実は、この前のバージョンは、正直、オドロキの珍演出でした。なお、当時はブログを開設していなかったため、実質的には初めてのご紹介ですね

今、上演されているバージョンは、ブダペスト・オペレッタ劇場との提携による演出で、Feriとしては気に入っている作品です。

そこで、今日は、前のバージョンについて、ご紹介します。前のバージョンは、出演者云々の前に、演出が奇抜過ぎました。

Feriは、プルミエ(2002年12月)を観る機会があったのですが、開演前にフォルクスオーパーの玄関前で、キューバを連想させる衣装のカリビアンバンドが、カリビアン風にアレンジした「伯爵令嬢マリッツア」の曲を演奏をしていました(Feriはキューバに行ったことはないので、あくまでもイメージですが)。この段階で、何やら嫌な予感が…
下の写真が、謎のカリビアンバンド(実は、後で舞台にも出てきました)です

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さすがに、演奏はオリジナルどおりでしたが、実際にオペレッタが始まって、びっくり仰天。

まず、第一幕は、本来、ハンガリーにあるマリッツアの農園(通常は館の前にある庭)です。ところが、序曲の演奏中に幕が開くと、そこには大きな壁が…そして、難民のような人たちが、うつむきながら、壁に設けられた扉から中に入っていきます。まるで、強制収容所のようです。その中で働いている人たちからは、楽しさや明るさは感じられませんでした(哀愁を帯びた雰囲気ではなく、暗い雰囲気だったのが、いただけません)。どうやら設定が、カリブ海の「どこかの島」(人民を抑圧しているような感じでしたね)のような感じでした。

やがて、この壁が上がって、「農場の中」となるのですが、寂れた農業倉庫といったイメージです。結局、1幕、2幕とも、この農業倉庫らしい場所でお芝居が氏すみます。音楽の順番は、基本的にオリジナルどおりだったので、違和感が抜けませんでした。

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また、2幕の冒頭、タシロが農場でくつろいでいる、リッチなご婦人達の世話をする場面がありました(タシロは、シャワーを浴びているご婦人にバスタオルを配っていました。おいおい、そういう仕事はチコの仕事でしょう)。通常の演出では、2幕の冒頭は、立派なマリッツア邸なので、導入部分とは言え、しっくり来ませんでした。

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事実、1幕終了後、この演出に我慢できず、席を立ち、そのまま帰ってしまったお客さまもいらっしゃいました

最もビックリしたのが、3幕です。3幕ではウィーンから大金持ちでタシロの叔母様であるボツニア伯爵夫人がやってきて、借金を帳消しにしたことなどを伝え、マリッツアとタシロの仲を取り持つ名場面です。ただ、お芝居が多い(逆に言うと歌う場面が少ない)という面で、演出が難しい幕でもあります。そのため、叔母様のお供として登場するお供ペニツェクに、芸達者な歌役者を配すケースが多いようです。最近ではルドルフ・ヴァッサーロフなどが起用されています。

また、今の演出ではタシロの親友カールが、ジュパンに化けてマリッツアの前に登場するのですが、当時はカールとジュパンは別の人物という想定でした。

さて、当時は、何とビックリ、テレビのワイドショーのような演出でした。具体的には、テレビカメラ(本物)が舞台の上に2台置かれ、その映像がプロジェクターで舞台上の大画面に映し出されます。さらに舞台上には観覧者席が設けられており、そこにショーを見る人たちが座っています。

さらに、テレビのワイドショーよろしく、訳のわからない司会者が登場し、インタビュー形式でお芝居が進行します。ボツニア伯爵夫人は舞台中央に設置された飛行機のタラップから、颯爽と登場しました(余談ですが、ボツニア伯爵夫人を演じたMirjana Iroschは、2006/2007シーズンの改訂版でも、同じ役で出演していますが、どちらの演出の方が良かったが、ご本人に聴いてみたいものです)。当然、照明も「今風」。これが一番がっかりしましたね。ちなみに冒頭の写真が、問題の第3幕です。お芝居は、司会者のインタビューに観覧者や当事者がこたえる形で、進むのですが、退屈なこと、この上なし 。ちなみに下の写真は、フィナーレです。

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この時期、フォルクスオーパーのオペレッタは、妙な演出が流行っていたのですが、この「伯爵令嬢マリッツア」ほど、Feriから見てめちゃくちゃな演出はありませんでした。

その後、ディレクターに就任したルドルフ・ベルガーが、“「伯爵令嬢マリッツア」は何とかしなくてはいけない”といった趣旨の発言をしたので、すごく嬉しくなったことを覚えています。その後、2006/2007シーズンで、現在の演出に全面改定されました。

地元の新聞などでは、“ハンガリー色が強すぎる”と余り評判は良くないのですが、本来の楽しい舞台になっており、Feriは気に入っています。2002年12月当時、「メリーウィドウ」はバリバリの旧演出でした。それを観た後に「伯爵令嬢マリッツア」の珍演出に出くわしただけに、そのショックは想像以上でした

ご参考までにプルミエの出演者リストもご紹介しましょう

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Comments

Feri 様
2002年12月のフォルクスオ-パ-の上演を私も見て大変失望したのを覚えています。この時期の「ジプシ-男爵」の演出もひどいもので、途中で席を立ちたくなるほどでしたが、日本からの修学旅行生の団体が見ていたので、オペレッタを嫌いになるのではないかと心配したことがありました。Grafin Mariza は私の好きな演目で今年3月のブタベスト・オペレッタ劇場公演を連続して3回見ましたが、日本公演時と変わらない優れた舞台に感銘を受けました。マリッツァがおなじみのカロチャイ・ジュジャとサファ-ル・モニカのダブルキャストでしたが、見事な歌唱力で観客の大喝采を受けていました。フォルクス・オ-パ-では今年から来年1月にかけて6回の上演が予定されていますので、現在の演出による公演を是非見てみたいと思っております。

Posted by: ジョヴァンニ | November 16, 2008 16:49

ジョヴァンニさま、コメント、ありがとうございます。

私も以前、ブダペストまで出向いて「チャールダーシュの女王」を見たことがありますが、相変わらず楽しい舞台でした。とにかく同カンパニーは「楽しくなければオペレッタにあらず」と、サービス精神旺盛なので、思い出深い一夜になりました。

ところで、同カンパニーですが、総裁が替わってから運営方針に大きな変更があり、オペレッタからミュージカル中心にシフトしてしまったことが残念です(それから、行っておりません)。

また、日本の招聘元が倒産したため、来日公演が中断している点も残念です。

ところで、フォルクスオーパーで現在上演されている「伯爵令嬢マリッツア」ですが、共同制作という事情もあり、かなりブダペスト色の強い演出になっています。ブダペストでご覧になっていると、「あれ、そういえばどこかで見たような…」という場面もあります。ご期待ください。

Posted by: Feri | November 17, 2008 07:32

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