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December 26, 2008

オペラ「ヘンゼルとグレーテル」、こぼれ話

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さて、今日26日、オーストリアは祝日(聖ステファンの日)でお休みです。

フォルクスオーパーで上演しているオペラの一つに、「ヘンゼルとグレーテル」があります。ご存じのように、この作品はドイツの作曲家フンパーディンクの作曲によるもので、原作は有名なグリム童話です。

このプログラムは、ちゃんとした舞台を使った正式のオペラなのですが、一応、子供さん向けという位置づけになっており、最近では、主にクリスマス前後と年始に上演されています。今年、1月4日の当ブログでは、「ヘンゼルとグレーテル」の変わった公演プログラム(飛び出す絵本方式になっています)をご紹介しました。今回は、出演者にまつわる「こぼれ話」をご紹介しましょう。

Feriはアドヴェント3週目の週末である12月19日に観ました(この日、国立歌劇場では「神々の黄昏」をやっていましたので、そちらを蹴ってフォルクスオーパーにやってくるオペラファンは少ないでしょうねぇ)。

実際、会場は子供さんの数が圧倒的に多く、開演前は、なにやら学校のような変わった盛り上がりを見せていました。大人は基本的に子供さんの引率者が中心で、純粋に大人だけで来ている人は少なかったようです(お若い日本人の観光客グループを見かけましたが、さぞや戸惑ったことでしょう 。いつもは、こんなに賑やかではありませんからね)。

さて、当日のキャストですが、指揮はAlfred Eschwé(子供向けのオペラに、重鎮を持ってくるところが、すごいですね)、ヘンゼルとグレーテルの父ペーター役がSebastian Holecek、ヘンゼルとグレーテルの母ゲルトルート役がUlrike Steinsky(先日は、「伯爵令嬢マリッツア」でリッチな伯爵令嬢をつとめていましたが、今日は一転、貧しい家庭のお母さん役です。でも、見事にはまっていました。さすがオペレッタ歌手、器用ですね)、ヘンゼル役がAdrineh Simonian、グレーテル役がDaniela Fally(今年の日本公演では「こうもり」でアデーレをつとめた歌手です。今日は全く雰囲気の違う男の子役でした)、魔女役がAdolf Dallapozzaでした。

で、実は、この中で注目すべき人物がAdolf Dallapozzaです。古いオペレッタファンの方ならば、ご存じかもしれません。かれは、かつてフォルクスオーパーで大活躍したオペレッタ歌手なのです。ちなみに、「メリーウィドウ」のダニロ(1982年から54回)、「小鳥売り」のアダム(1974年から85回)、「オペラ舞踏会」のジョルジュ(この役が一番出演回数が多いようです)、「白馬亭にて」のレオポルトなどを演じた歌役者さんです。

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Feriが、なぜこのことを知ったかというと、「Kammersänger Adolf Dallapozza zum 50jährigen Bühnenjubiläum」と題したミニ写真展がフォルクスオーパーのロビーで開催されていたからです(熱心に見ている人は少なかったですが)。

もちろん、Adolf Dallapozzaはオペレッタだけではなく、フォルクスオーパーで上演されたオペラ(セビリアの理髪師など)やミュージカル(「ウエストサイドストーリー」のトニー、1960年代後半)にも出演していた歌手(歌役者さん)です。

で、現在は、「ヘンゼルとグレーテル」に、何と特殊メイクをした上で、魔女役として出演しているのです。普通、かつてタイトルロールを張ったような歌手が、このような役を引き受けることは少ないと思うので、意外な感じがしました。

実際、オペレッタに長年出演していただけあった、お芝居は抜群にうまく、皆さんからの拍手を浴びていました。まさに「怪演」と言っても良いでしょう。

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はじめは、すばらしい演技をしても、お客さま(とくに子供たち)から、カーテンコールの時にブーイングが出てしまうので、ちょっと気の毒に思っていたのですが、今回、改めて彼の演技を観て、逆に、この役を楽しんで演じていることがよくわかりました。というのは、カーテンコールの「出方」が、いかにも「はい、よい子の皆さん、悪い魔女の登場ですよ」という雰囲気がムンムンなのですよ。このブーイングも「愛されるヒール役」に対する反応なのでしょう。このオペラ、魔女が面白くなかったら、お話が台無しですから、3幕にしか登場しないとは言え、重要な役です。


しかし、この人のダニロ(下の写真)やレオポルト(写真展のタイトル写真)は、観てみたかったですね。今の魔女姿からは想像できませんが、きっと、粋な男性を演じていたことでしょう

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このように、かつての名優が、形を変えて出演しているところに、フォルクスオーパーの伝統を感じることがあります。もし、機会があったら「Adolf Dallapozzaの魔女役」を、是非一度ご覧ください。楽しい一時を過ごすことができると思います

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Comments

Feriさん、こんばんは。
クリスマスコンサートでのMinichさんの登場、お元気そうな様子がうかがえて、何よりでした。
Dallapozzaさんも懐かしい名前です。
Volksoper最初の来日(1979年)で『こうもり』のアルフレートを歌った時から好きな歌手でしたが、次の来日(1982年)では『ヴィーン気質』のツェドラウ伯爵を歌い(ライヴCDにもなっています)、私にとっての同役の基準はDallapozzaさんになっています。
2年ほど前、NHK-BSでヴィーンの3歌劇場(3つ目はTheater An der Wien)を取り上げた番組がありましたが、その中で『ヘンゼルとグレーテル』魔女役の稽古の場面が出て来ました。まさに怪演(を予想させるもの)で、是非観てみたいと思っていました。年に十数回もヴィーンに行かれるFeriさんは、いろいろな機会に遭遇され、うらやましい限りです。
またお会いできるといいですね。ちなみに私は、1月初めの『ばらの騎士』(もちろんGaranca目当て)を聴きに行く予定です。

Posted by: Steppke | December 27, 2008 05:09

Steppkeさま、年末のお忙しい中、コメント、ありがとうございます。

本当にウィーンでは、ベテランの方が、形を変えて出演する公演も多いと感じている次第です。個人的には、最近オペレッタに出演する歌手の皆さんが、だんだん小粒になってきたというか…ウィーンらしさが弱まってきているような気がするのが、ちょっと残念です。

ところで、Garancaですが、30日の国立歌劇場公演「セビリアの理髪師」に一夜限りの出演をしますね。その後、年明けに「バラの騎士」2公演に出演が予定されていますが、こちらも注目ですね。

Posted by: Feri | December 27, 2008 08:07

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