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January 21, 2009

番外編 ハンブルク歌劇場「メリーウィドウ」プルミエ(その2)

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さて、今日は、休憩を挟んでの後半の模様をお届けしましょう。

2幕では、いきなり「ヴァリアの歌」でスタートです。恒例のバレエ団によるバルカン風の踊りは“当然”、省略されており、ハンナも、なぜか高級ホテルのプールサイドで歌います(冒頭の写真が、そのシーンです)。

面白いのは模擬撮影クルーが舞台上を動き回っているため、出演者も模擬カメラを意識してお芝居をしている点です(いわゆる「カメラ目線」ですね)。なお、「ヴァリアの歌」に続いて、鞍馬の上に乗って「お馬鹿な騎士さんか」が歌われます。ここでもダニロは、ハンナに対する下心見え見えの演技をします(とにかく表現が直球勝負 )。

また、背景に南国の風景(ただし、なぜかパリの象徴であるエッフェル塔だけは入っているのですが)が出てくる場面が何回かありました。恐らく、本演出の元になっている「メリーウィドウ」映画をモチーフにしているのだと思うのですが、Feriは、「メリーウィドウ」の映画について、詳しくないので、その点を解明できなかったのが残念です(プログラムにも挿入写真として、映画の撮影風景も入っていました)。

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面白いのは「女、女、女」の八重唱です(二枚目の写真)。何と、映画では化粧室で歌う想定になっています(この化粧室は数少ない大道具です)。歌い終わったタイミングで、洗面台の上の鏡が開いて、女性陣が男性陣を懲らしめるという演出でした。

ここは、珍しくリフレインが行われました(男女が揃って歌う演出でした)。なお、この前にダニロがパーティに参列している女性に、「例の扇」の持ち主を確認する場面がありますが、ここは女性の化粧室でした(ダニロは鏡を開けて出てきます)。

とにかく「 お金がすべて」という演出なので、四阿もハート型で、外側は巨大なお札です(これも大道具)。ユーロを模したお札なのですが、なぜかお札のイラストは裸の女性。そして、通常ユーロの旗が印刷されている場所には、似たような旗が印刷されているのですが、中央がハート型でした。芸が細かいこと…

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2幕は通常通り、ダニロが、有名な“俺はマキシムに行く”という捨て台詞を吐いて、出かけるところで終わります。ちなみにテンポがよいため、2幕の45分弱です。通常は、暗転で3幕ですが、ハンブルクでは幕が下りず、そのまま3幕へ入ります。なぜなら、舞台装置を作る必要がないからです。

3幕のスタート、「グリゼッティンの歌」は、通常の場合、マキシムの踊り子を集めて想定ですが、ここはハンブルク。ハンナが“レーパーバーンから来てもらった”と言っていました。ネズミちゃん達は、男たちに馬乗りになり、集金にせいを出します。当然、このお金はポンテヴェドロ国のために使われる…という想定です。お金を払うのをためらっていた男性は、身ぐるみはがされましたね(全裸にはなりませんでしたが )。

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なお、「天国と地獄のギャロップ」は入らず、「グリゼッティンの歌」のリフレインにとどまりましたが、会場は大いに盛り上がりました(ドイツ人らしく手拍子大会 )。もちろん、模擬撮影クルーも舞台上を動き回っています(ごていねいにキャメラは3クルーも準備されているのですよ)。

さて、3幕の山場、「唇も語らずとも」ですが、最初は電話でハンナとダニロが話をします。その後、通常通り、お互いが抱き合いながら歌うのですが、背景には各国のお札が映し出されます。日本円は1000円札が出てきました。

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最後、ダニロがハンナに“愛している”と告白する場面では、映画のポスターのようなかち割りから主要なメンバーが顔を出して、見守るという展開でした。例の扇にまつわる誤解もここで解けるようになっていました。

フォルクスオーパー版などでは、ハンナが結婚すると無一文になるとわかると、ツェータ男爵がハンナに求婚するのですが、そういった細かい話は省略。何しろ3幕は20分しかありません。

フィナーレは「女、女、女のマーチ」を出演者全員で合唱して、「メリーウィドウの映画完成 」となりました。

最後の場面ではハンナ、ダニロは再び迷彩服姿になり、ジープの上に立っていました(このジープの後ろには、結婚をお祝いする缶がぶら下がっていました)。ここで、現実の世界でもハンナとダニロが結婚することが決まったような展開なのでしょうかね。上演時間は25分間の休憩が一回入って2時間05分と、今のフォルクスオーパー版よりも、さらに短時間です(途中、お芝居を大幅に削っていますからねぇ)。

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さて、プルミエですから、カーテンコールでは当然、演出チーム(制作はHarry Kupfer、脚本はHans Schavernoch)も登場します。予想通り、強烈なブーイングとブラヴァが交錯していました

歌手の皆さんは、一定以上の仕上がりでした。ただ、劇場の構造上の問題からか、残響が少ないように感じました。そのため、歌手の皆さんの歌に厚みが出ないように感じました(劇場の詳細は後日、お届けします)。

正直、演出家も相当悩んだことと思います 。普通に「メリーウィドウ」をやっても、全然受けませんからね。そういう意味では、「新しいメリーウィドウの映画を作ろう」というコンセプトは奇抜ですが、よく思いついたものだと思います。少なくとも、フォルクスオーパーの中途半端な改訂よりは、コンセプトがしっかりしています(まぁ、大胆ではありますが… 下の写真、中央が、今回指揮をつとめたKaren Kamensekです )。後ほど、調べたところKaren Kamensekは、同歌劇場、初出演だったようです。それもあって、オケとも十分な準備を重ねたのだと思います。

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さて、このオペレッタ。正直、好みが極端に別れると思います。ウィーンのお年寄りでしたら、間違いなく1幕で、帰ってしまうことでしょう。

では、Feriの評価ですが、演奏は思ったよりも良いでき、歌手はそれなりの水準、演出は奇抜すぎて心に届かなかった…というところでしょう。それから、映像を上手に使って、舞台に変化をつけるという演出には感心しました。大道具の代わりに映像を使ってもチープに見えないのですから、たいしたものです。

ただ、わざわざハンブルクまで来た甲斐があったのは、紛れもない事実です。それくらいインパクトがありました。ある意味、「映画版メリーウィドウへのオマージュ」といったお話でしたね。もし、映画版について詳しい方がいらっしゃったら、ご教授いただければ幸いです。

では、結論。自費でまた見たいか。“今回だけで、十分堪能しました  ”というところでしょうね。やはりFeriにはウィーンの空気があっているようです

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Comments

こんにちは、楕円球です。

ハンブルグのDie Lustige Witweレポート、楽しく拝読しました。ありがとうございます。しかしクプファーがオペレッタの演出をするのですか!?驚きました。相当にトンだ演出だったようで、これはこれで楽しめそうですね。ハンブルグはトンだ演出が好きなようですので、その筋の方にはいいところと思いました。

音響ですが、私の記憶でもデッドだったと思います。ワルキューレとジークフリートを聴いたのですが、オケの強奏が実音でギンギン来ました。現代建築なのに・・、と思ってちょっと不思議でした。

Posted by: 楕円球 | January 21, 2009 03:14

楕円球さま、コメント、ありがとうございます。
同カンパニーですが、私は初めて観ましたので、他の演目との比較はできませんが、確かに奇抜な演出を「得意」としているようですね。

ただ、今回の演出に関しては、妙に近代版ではなく、映画撮影をモチーフにするという「癖玉」だったので、楽しめました(初心者にはお勧めしませんが…)。

劇場については、後日、改めてご紹介したいと思いますが、確かに音響は良くありませんね。

Posted by: feri | January 21, 2009 06:53

Feri さま
ハンブルクのレポート、すごく面白く拝見させていただきました。
いつも興味深い情報を、ありがとうございます。

オーストリアの新聞 Die Presse にも批評が載っていました。演出については、ちょっと「疑問」という感じ。
クプファーの意図した効果は出ていなくて、多少「俗悪」になった、というような書き方でした。
指揮者についてはベタ誉め(笑)

ハンブルクでは、1930年代以降、メリー・ウイドゥは上演されていなかったとの事。その意味では、今回の上演は歴史的なものなのでしょう。

Posted by: はっぱ | January 22, 2009 11:22

はっぱさん、こんにちは、新聞評、感謝。

私も、カレン・カマンスキーが指揮でなかったらば、どうなったかと思いましたね。そういう意味で、ハンブルクも勝負をかけつつ、キモは押さえたという感じがします。

なお、未確認ですが、公演終了後、劇場からホテルへ徒歩で移動する際、ロベルト・マイヤーのような人物が私を追い越していきました。一瞬ですから、本人かどうかは、わかりませんがね。

これを観てつくづく思ったのは、ドイツ人とオーストリア人のメンタリティの違いですね。私は…

Posted by: feri | January 22, 2009 11:55

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