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January 29, 2009

オペレッタ番外編 新国立劇場2008/2009シーズン“こうもり”

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2005/2006シーズンに日本の新国立劇場で上演された「こうもり」ですが、2008/2009シーズン、久しぶりに登場しました。好き者Feriも、1月の最後を締めくくる(という口実)ため、初日の1月27日に出かけてきました(ということは、日本にいる訳ですな )。

なお、本プログラムは、前回同様、ハインツ・ツェドニクの演出によるものです。ちなみにツェドニックさんは、現在、フォルクスオーパーで上演されている「こうもり」で演出改訂を担当していますが、ずいぶんと舞台のイメージが違います。しかし、改めてみると、現在のフォルクスオーパー版と、相通じるところがありますね。

さて、当日の指揮は、アレクサンダー・ジョエル(Alexander Joel)が務めました(新国立劇場初登場、ブラウンシュヴァイク州立劇場の音楽総監督を務めているそうです)。

主なキャストは、アイゼンシュタイン役がヨハネス・マーティン・クレンツレ(フランクフルト歌劇場、新国立劇場初登場)、ロザリンデ役がノエミ・ナーデルマン(新国立劇場初登場)、フランク役がルッペルト・ベルクマン(この人はフォルクスオーパーにも出ていますね。新国立劇場初登場)、オルロフスキー公爵役エリザベス・クールマン(おーっと、フォルクスオーパーやあちら国立歌劇場でもオルロフスキー役をやっていましたね。久しぶりのご対面です。もちろん新国立劇場初登場)、アルフレード役が大槻孝志、ファルケ博士役がマルクス・ブリュック(ベルリン・ドイツオペラ所属、新国立劇場初登場)、アデーレ役がオフェリア・サラ(新国立劇場には2回目の登場。前回は「ばらの騎士」のゾフィー役)、ブリント博士役が大久保光哉、フロッシュ役がフランツ・スラーダ(ウィーン生まれの俳優さん)、イーダ役が平井香織という面々でした。ちなみに2005/2006シーズンでは、アデーレ役で中嶋彰子さんが出演したのですが、今回はお預けでした(残念)。

新国立劇場も運営方針を巡って、ゴタゴタがあったようですが、このキャスティングを見てもわかるように、主演級は外国からの招へいし、公演水準を上げる方針が定着したことがわかります(要するに料金に見合った水準にするということですね)。

再演なので、基本的には前回の演出を踏襲していましたが、出演者が変わったことなどもあり、若干手を加えていたようです。

まず、第一幕は例によって、アイゼンシュタイン邸の中庭という設定でした。第一幕は、終始、お話が、この中庭で進みます。場所が適切かどうか(居間で演じられるのが一般的な訳ですが…)は別にして、改めてみると、ツェドニクさんの演出はやはり細かいところまで気を配っていることがわかります。

たとえば、アデーレが奥さまの衣装を拝借して邸宅を抜け出す場面では、わざわざ奥さまがフランクともめているタイミングを使って、玄関から堂々とドレスを抱えて出て行きます。フランクの部下に一瞬止められるのですが、その当たりもちゃんと話を付けているシーンが入っていました。

そして、第一幕でカーテンが降りるタイミングで、郵便配達人がロザリンデに手紙を渡すシーン(この手紙はファルケ博士からの「夜会への招待状」なのですが)が入っています。つまり、物語の流れに無理がない展開になっているという訳です。

ところで、アイゼンシュタイン役のヨハネス・マーティン・クレンツレですが、なかなかの熱演でしたが、この前、フォルクスオーパーでAdolf Dallapozzaを観てしまったFeriとしては、演技がやたら大げさに見えてしまいました。このあたり、好みが分かれるのかもしれませんが、FeriはAdolf Dallapozzaのように、何気ない仕草で心理描写を行う方が好きですね(これは贅沢ですねぇ)。

ところで、予算の関係もあるとは思うのですが、個人的には第一幕の舞台装置は、もう少しゴージャスにしてもらいたいところですね

第二幕では、久々にElisabeth Kulmanのオルロフスキーを見ましたが、やはり彼女は良いですね。例によってひげをつけて、後ろ髪を棒のようにまとめていましたが、切れ味抜群の怪しいロシア人を見事に演じていました。こうやってみると、歌もなかなか見事です(実際カーテンコールでも大きな拍手が出ていました)。

やはり惜しいのは、日本の場合、イーダ役の歌手が踊れないためか、イーダを交えたバレエ団によるバレエが省略されていることでしょうね(何と言っても、本来は歌って、踊れるのがオペレッタ歌手ですが、そんな人は日本にはほとんどいませんからねぇ)。

ロザリンデ役のノエミ・ナーデルマンですが、なかなか見事にチャールダーシュを歌っていました。ただ、妖艶さという点では、ちょっと弱い感じがしましたね。二幕の衣装ですが、ビーズを使った仮面(半透明のもの)を使っているのが特徴でしょうか。

今回、Feriが役のイメージと合わないと感じたのが、フランク役のルッペルト・ベルクマンです。体格がよろしいので、声量はあるのですが、「博士」というイメージとはちょっと違うような感じがしました(ワーグナー歌手を思わせる風貌なので、この人が「こうもり」の仮装をしたら怖そうです)。

第三幕の刑務所シーンですが、今回は正面後方の席だったので、舞台全体を観ることができました。フランクの机の上には、ソーダサイフォンやティーセットが置いてあるなど、現在のフォルクスオーパー版に近い形になっているようです(ただし、暗転で二幕から三幕になるため、家具や出入り口の配置は大幅に異なりますが… )。 ただ、せっかくのソーダサイフォンですが、後半、ロザリンデとアイゼンシュタインが夫婦げんかをする場面で、「武器」に使用する場面がなかったのが残念です(結局、フランクがろうそくを消火する時だけにしか使いませんでした。もったいない )。

三幕で興味深かったのは、フロッシュのお芝居です。例によってフランクのシルクハットを何回か壁に掛けるのですが、最初は落ちてしまいます。最後に掛かった時、両手を挙げて“やったー”と叫ぶシーンが入っていました。これは、居間流行っているアメリカの人気テレビドラマ「ヒーローズ」に出てくる日本人ヒロが行う「決めポーズ」なのですよね。スタイルも含めて、明らかに、これのパクリなのですが、当日会場にいらっしゃっていた方で、このドラマをご覧になっている方がどれくらいいたか…意外に盛り上がりませんでした(正直、凝りすぎです )。

ところで、三幕でフランクとイーダを引き連れて、歌うアデーレ役のオフェリア・サラですが、小柄な人で歌もなかなかうまいですが、役のイメージとはちょっと違うような印象を受けました(主観ですがかわいらしさが足りない感じです)。

さて、今回は、全体的に歌手の水準が高く、かつほぼ同じレベルであったので、安心して観ることのできる舞台になっていました。ただ、日本のカンパニーであるにもかかわらず、ソロの日本人が二人というのは、ちょっと寂しいですが、これはやむを得ないでしょう。

また、例によって、一部の単語を日本語に入れ替えて、笑いを誘う演出になっていました。また、日本語の台詞でやりとりする場面も少しだけ入っていましたが、今回は、あまり違和感はありませんでした。まぁ、ぎりぎりというところでしょうか…。

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えっ、オケについてのコメントはないのか…ですか? まぁ、現地で演奏慣れしているカンパニーと比較するのは、ちょっと酷な感じがしますので、控えておきます。

再演であったため、演出もこなれてきたように感じましたが、残念なことに2009/2010シーズンには予定されていません。日本でも、ウィーンのように年末・年始に「こうもり」を上演するのが一般的になると良いと思うのですが、難しいのでしょうかね。

そういえば、バレエの「アンナ・カレーニナ」が新国立劇場でも上演されていることを、初めて知りました。どんな演出なのか興味がありますが、ここまで手を広げると、本当に破産しそうなので、止めておくことにします

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