« ジークフリートがちょっとだけイメージチェンジ? | Main | まもなく千秋楽、今シーズンの「マリッツア」 »

January 16, 2009

フォルクスオーパーの「こうもり」でサプライズ

Img_1058_001

今日も「オペレッタ」のお話です

よく、“Feriさん、「こうもり」や「メリーウィドウ」を何回も観て、飽きませんか?”というご質問を受けます。確かに、「こうもり」や「メリーウィドウ」は「フォルクスオーパーの定番オペレッタ」ですから、たまに観れば良さそうです。もちろん、Feriも、こちらでは都合10回ほどしか観ておりません(2000年からの通算ですが)。おおむね1シーズン1回か2回といったレベルです。

なぜ、「定番オペレッタ」を何度も観るのか…というと、実は、「定番オペレッタ」ならではの違いがあるのです。これは、「指揮者を始め、主要な歌手に色々な人が登場する」ということなのです。

最近、プルミエを迎えた演目の場合、準備の都合もあって、指揮者や歌手を固定するのが一般的です。その点、定番に関しては、先日の「阪さん登板」のように、予期せぬ方にお会いできるチャンスが多いのです。しかも、フォルクスオーパーの場合、発行されている月間のプログラムに一応、主な出演者は掲載されていますが、当日(普通は前日)にならないと、本当に誰が出るかわからないという面があります(だから、国立歌劇場のように出演者を特定しての鑑賞は、事実上不可能です)

さて、前置きが長くなりましたが、1月14日の「こうもり」は、数日前から、指揮者にエリザベス・アットル(Elisabeth Attl)が起用されることがわかっていたので、注目していました。最近、色々なオペレッタの指揮に登場するだけに、どのように料理をするかが楽しみでした。ちなみに、今回は通算320回目の公演です。

ところが、当日、劇場到着後、出演者リスト(最近は、これしか買いません。すみません )を購入して、びっくり仰天。何と、当ブログでも昨年12月に「ヘンゼルとグレーテル」でご紹介した歌役者Adolf Dallapozzaが、こともあろうにアイゼンシュタイン(実質的には主役ですよね)に起用されているのです。もう、Adolf Dallapozzaが出演するオペレッタは観ることができないだろうと思っていただけに、これにはたいへん驚きました。まさにサプライズです(まるで、私のブログを見て、キャスティングしているような錯覚を覚えました まぁ、そんなことはないでしょうが…)。

この他のキャストですが、ロザリンデ役がIngeborg Schöpf(フォルクスオーパー初出演)、アデーレ役がBernarda Bobro、イーダ役がDagmar Bernhard、オルロフスキー役がDaniela Sindram、ファルケ博士役がMathias Hausmann、アルフレード役がLadislav Elgr、イワン役がStefan Tanzer、フランク役がおなじみのJosef Luftensteiner、フロッシュ役がGerhard Ernst(昨年12月と同じ)、ブリント役がThomas Markus(昨年12月と同じ)という面々でした。キャストは昨年12月に観た公演から、かなり変わっています。

Img_1057_001

さて、演奏で興味深かった「裏話」から。まず、序曲演奏中、力が余ったのがアットルが振っていた指揮棒が飛んで行ってしまい、演奏終了後、チェリストが手渡していた(いつも以上に、最初は力が入っていましたね )。

また、序曲では、もう一つびっくりしたことがありました。それは、コンサートマイスタリンが、一箇所、演奏に入るタイミングをずらしてしまったことです(早く入ってしまいました)。もしかしたら、アットルの呼吸をまだ、十分つかみ切れていないのかもしれません。一瞬、「やばい」という表情をしていましたが、その後は何もなかったかのように平然と演奏に当たっていました

アットルの指揮ですが、今回はオーケストラに対する細かい指示は出さず、演奏全体のテンポを調整することを重視しているようでした。例によって、自分で口ずさみながら歌う指揮スタイルです。しかし、小柄な女性なので、最初に楽屋からピットに出てくると、誰も「指揮者が出てきた」と思わないため、拍手が遅いのが気の毒ですね(ちなみに上の写真、一番左側が指揮のアットルです)。

Img_1054_001

さて、注目は、もうオペレッタの主演級では見ることができないと思われた往年の歌役者Adolf Dallapozzaのアイゼンシュタインです。やはり、今まで自分が見た「こうもり」のアイゼンシュタイン役の中では、お芝居がダントツに上手です。Adolf Dallapozzaは、最近のオペレッタ歌手のように「大げさな演技」で笑わせるタイプではなく、さりげない演技で、アイゼンシュタインの心模様を表現するタイプなのですね。第3幕で浮気がばれてからのロザリンデとのやりとりでは、過度に卑屈になることはなく、「あら、ばれちゃったのね。シャンペンのせいにしたら許してくれるよね」といった、ある意味、軽い感じで終わっていたのが印象的でした(本来は、こういうニュアンスなのでしょうね)。
ただ、地元の皆さんは、Adolf Dallapozzaをよくご存じでしょうが、今日、たまたま来た人はすごさに気づかなかったかもしれません。

また、上演前は歌唱力の衰えがあるのではないかと心配しましたが、それは思い過ごしに終わりました。聴かせどころでは、十分な歌唱力を披露してくれました。やはり、存在感がありますね。また、第2幕、オルロフスキー邸で行われる偽フランス人同士の会話シーンでは、ちゃんとした発声で「ラ・マルセイエーズ」の一節を歌っていました(ここは会話の延長で口ずさむ程度が一般的ですね)。

今回は、Feriが今まであまり聴いたことのない歌手が多かったのですが、全体的にレベルが高いような印象を受けました。

Img_1047_001

初出演のロザリンデ役Ingeborg Schöpfは歌唱力もあり、第2幕では妖艶なハンガリー婦人を上手に演じていました(1幕と2幕の差が歴然としていたのが良かったですね)。また、アデーレ役のBernarda Bobroは歌だけではなく、お芝居もうまいので、存在感がありました(この人も、細かいお芝居が上手 )。

今回、良かったのはオルロフスキー役のDaniela Sindramでしょう。Feri好みの「切れ味鋭い 謎のロシア人」を見事に演じていました。また、声もよく出ており、久しぶりに迫力あるオルロフスキーを見ることができました。

第3幕の主役であるフロッシュ役のGerhard Ernstは、昨年同様、お芝居がうまく、アドリブ連発で、会場から大きな笑いが起こっていました。途中、ちょっとだけアルフレードと競い合って歌う場面がご愛敬です(昨年はなかったような…ノリノリだったのでしょうかね)。

全体的に、歌手のレベルが高く、当初、予想していた以上に見事な舞台でした。なお、エリザベス・アットルは、この後も数回、「こうもり」を振る予定になっています。しかし、Adolf Dallapozzaについては、予定を見ると「こうもり」どころか、今シーズンはオペレッタに登場する予定がありません(まぁ、突然、出てくる可能性は充分にありますが)。

そういう意味では、Feriにとって「フォルクスオーパーからのお年玉」になりました。マイヤーさん、ダンケ。しかし、こういった経験をしてしまうと「定番オペレッタ」を侮れませんねぇ。

Img_1046_001


|

« ジークフリートがちょっとだけイメージチェンジ? | Main | まもなく千秋楽、今シーズンの「マリッツア」 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« ジークフリートがちょっとだけイメージチェンジ? | Main | まもなく千秋楽、今シーズンの「マリッツア」 »