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January 04, 2009

オペレッタ「愉快なニーベルンゲン」続報

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2008年12月20日にプルミエを迎えたフォルクスオーパーの「愉快なニーベルンゲン」ですが、追加の情報をお伝えしましょう。

○地元の新聞評から
ウィーンにお住まいの方から、地元の新聞評を教えていただきました。

「クリーエ」では、全体評価5点満点の「3点」でした。演出に関しては、「マイヤーが大健闘。楽しく仕上がったが、作品そのものの弱点を覆い隠すことはできなかった」。また、出演者は「みんな及第点」でした。一方、指揮andreas schuellerは「落第」だとか…(本来のオケの音が引き出せないためだそうです 厳しいですねぇ)。

おおむね私が感じたような評価でしたが、プルミエの時は、席の関係からオケの方まで気づきませんでした。個人的には、オーケストラも結構良い音を出していたように感じたのですが…これは、今後の演奏が楽しみです(悪くなることはないですからね)。

○既存メンバーで出演者を固めた強力な布陣
従来のフォルクスオーパーでは、新演出にあたって、長期間、歌手を拘束する必要があるため、タイトルロールや、それに準じた歌手には新規メンバーを投入するのが一般的でした。

ところが、今回は、主演者の中に「フォルクスオーパー初登場の歌手がいないこと」が、注目されます(初出演は お犬さまだけ)。つまり、フォルクスオーパーでオペレッタに慣れている既存メンバーを、長期間拘束して、演技を磨き上げたということです

これは、本公演に賭けるロベルト・マイヤーの意気込みがよくわかります。実は、これが一番良い方式なのですが、如何せん、主役級を長期間拘束するとなると、スケジュール調整や費用の面でもたいへんです。今回、あえて、この「磨き上げ方式」を採用したことが、成功の要因であると思っています。

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ちなみに写真は、フォルクスオーパーで休憩中にモニターで上映されているメイキング映像です(これのフルバージョンを見たいですね )。

セカンドクルーの出来は?
今回、「グンター一族」は今のところ一組で上演されていますが、ジークフリートとブリュンヒルデにはセカンドクルー(Jörg Schneider(Barbara Payha)がいます。セカンドクルーのジークフリートとブリュンヒルデも歌唱力、演技ともファーストクルーと同等レベルでした。

ただ、ジークフリート役のRobert Wörleは「インパクトの強い容姿」(役が立っているという感じですね)なので、Jörg Schneiderでは印象が薄い感じがします。Jörg Schneiderは「普通のワーグナー歌手」のような感じなので、不自然さはありませんが、逆にオペレッタの役としてはインパクトが弱いようです(何しろ、Robert Wörleは強烈に太っている上に、めがねをかけて、髪をばしっと分けているのですから、印象が強すぎます。まるでらつ腕バンカー )。

一方、ブリュンヒルデ役のBarbara Payhaは顔がちょっと角張っているので、「強さ」が強調されていました。また、お芝居もなかなか上手で、Birgid Steinbergerとは甲乙つけがたい感じですね。ただ、全体の雰囲気からするとBirgid Steinbergerの方が、このオペレッタのブリュンヒルデにはイメージに合っているような気がしました(ポスター等で出ているためかもしれません。あくまでも個人的な印象です)。ただ、実際にはファーストクルーが予定されていても、諸般の事情で、当日、キャスティングが変更になる場合があるので、これだけは行ってみないとわかりません。下の写真はセカンドクルーの皆さまです。

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○細かいお芝居にも手を抜かない演出
ロベルト・マイヤーらしく、細かいお芝居が随所に盛り込まれています。例えば、子供の世話をするベビーシッターがいるのですが、実はスカートにフラスコを忍ばせていて、時々、一杯やっています。また、グンターが琴を弾きながら歌っている場面で、意図的にしゃっくりをしていました。

この他、王様の回りに一族郎党が集まってブリュンヒルデ対策の話をしている時、給仕の皆さんが食卓の上に残っていたワインなどの お酒を、こっそり飲んでいました。要するに、この「頼りない国王グンター」を頂く「この国」では、酒でも飲んでいないとやっていられない…というイメージを作っているのだと思います。何しろ、国王は最初のうち、「青い鳥」のぬいぐるみを抱えているのですから… つまり、こういった細かいお芝居の積み重ねで、お客さまにイメージを持ってもらおうという考えているのでしょう。

○オペレッタ風の味付け
オペラ「ニーベルングの指輪」は、シリアスな内容ですが、こちらはオペレッタですから、逆にコミカルな味付けを意図的に行っているようです。

例えば、グンターとブリュンヒルデの「決闘」シーンですが、さすがにオペレッタ。日本で流行っている総合格闘技のようにしていました。実際、決闘シーンになると、突然、場内に特設リンクが設けられ、ハーゲンがリングアナウンサー兼ジャッジを勤めるという設定になっていました。城にいる人々が観客という訳で、ハーゲンがブリュンヒルデを紹介すると、一斉にブーイングが出る(逆にブリュンヒルデの部下達は、グンターに対してブーイングをします)というわかりやすい展開になっていました。

また、ブリュンヒルデが、見えないジークフリートに押さえられてダウンしたとき、ジャッジであるハーゲンのカウントも7から始まるなど、オペレッタらしい展開でした。

この他、3幕で出てくる小鳥が、自分の命と財産を狙われているジークフリートに“これはオペレッタだから、余り深刻に考えなくてもいいよ”と耳打ちする当たりは、面白いですね。

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○時代性にマッチした内容
本オペレッタは「ニーベルングの指輪」をモチーフにしていますが、内容はやけに「生々しい」ところに特徴があります。ジークフリートが「銀行に預けて資金運用」している「ラインの黄金」の話になると、一族郎党が急に盛り上がってくるところからも、「この国」は財政破綻しかけているのでしょう。なにやら、景気の減速により国や企業が傾いている「今の世相」を妙に反映しているようにも思えます。本作品を取り上げた頃は、まさか世界規模の不況になるとは、誰も思っていませんでしたでしょう。株が暴落して、ジークフリートの資産が目減りしたというお話が、現実になってしまった訳で、苦笑いといったところでしょうか。

○予期せぬ動きを見せるテイッツエルとタッツェル
1幕の前半でジークフリートとともに登場する若い竜役のテイッツエルとタッツェルですが、意外と演出側が期待したような動きをしてくれません。動物プロダクションに所属している犬だとは思うのですが、二頭を移動させながらジークフリートが歌う場面が「難所」です(見ている方は、歌以上に見所になります)。

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実際、一頭が動かないこともあります。また、勝手に動いてしまい、歌っているジークフリートの足の間に入ってしまうと言うケースもありました。ただ、ジークフリートと一緒に動いてもらわないと進行上、困るため、「秘密兵器」が用意されているのです。実はジークフリートは「餌」を隠し持っていて、動かない場合は、餌をまいて、テイッツエルとタッツェルを誘導すようになっています。

登場する時間は短いですが、なかなか楽しい(やっている方は冷や冷やでしょうが)場面ですから、お見逃しなく。しかし、普通に歌うだけでもたいへんなのに「犬の演技」まで受け持つのですから、ジークフリート役はたいへんです。

○おまけ プライスの不思議
実は、当オペレッタはプライスA(75ユーロ~)なのですが、フォルクスオーパーから発表されているスケジュールを見ると、一部プライスB(61ユーロ~)で開催される日があるのです。プログラムを見る限りでは、出演者等も同じなのですが、なぜ値段が違うのでしょうかね。不思議です。

実は、年末、日本のCS放送で「ニーベルングの指輪」の映画(オペラ映画ではなく、純粋なドラマ)を放送していました。その一部を見たら、思わず、腹を抱えて笑ってしまいました。というのは、かっこいいグンター王も、やはり初夜の晩はブリュンヒルデに縛られてしまうのですね。そして、翌朝、かっこいいジークフリートにブリュンヒルデを服従させるための相談をする…本来はシリアスな場面なのですが、如何せん、オペレッタのイメージが強いので、つい吹き出してしまいました。

このように考えると、当オペレッタの場合、ある程度、オリジナルのあらすじを知っていると、おもしろさが倍増することが、再認識できました。

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