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February 25, 2009

番外編 オペレッタ・フォーラム開催

2009_02_24_operette

2月23日に、財団法人日本オペレッタ協会さんの主催で、「21世紀オペレッタ・ドナウの流れ オペレッタ・フォーラム」という行事が開催されました。会場は、東京の新国立劇場中劇場です。

同協会のWebサイトを見ると、「各国のオペレッタの特質について」(講演)、「21世紀に於ける各国のオペレッタの状況、役割と展望」(パネルディスカッション)、「オペレッタ・ガラコンサート」といった興味深い内容です(私だけかもしれませんが…)。と言うわけで、「はまっている」Feriも出かけてきました。

まず、「各国のオペレッタの特質について」では、ミヒャエル・トマシェク氏(フォルクスオーパーの指揮者ですね。主に合唱指揮を担当されています)が「ウィーン・オペレッタの特質」を、ヴァーラディ・カタリン氏(以前、ブダペストオペレッタ劇場の主席指揮者でしたが、現在は国立ミシュコツル劇場の音楽監督に転身しているそうです。知りませんでした)が「ハンガリー・オペレッタの特質」を、クラウス・ミヒャエル・ヒンツ氏(ドイツの音楽評論家)が「ドイツ・オペレッタの特質」を、寺崎裕則氏が「日本・オペレッタの特質」を、それぞれオペレッタのハイライトを映像で紹介しながら講演を行いました。

なお、第一部と第二部の司会は上田浩二氏(現ケルン日本文化会館館長)が務めました。

なお、第一部と第二部は、ドイツ語での説明が多くなるため、同時通訳(イヤホンガイドを活用)が行われました 。この点は、なかなか配慮が行き届いていました(ただし、運営側の段取りが悪く、端末を受け取らなかった人が多数いて、開演中に混乱がありました)。

オペレッタの映像は、比較的古いものが多く、Feriには興味深いものでした。意外だったのはトマシェクさんですが、てっきりフォルクスオーパーの模様をDVDで紹介すると思っていたのですが、「こうもり」の作品に限定し、他の劇場での様子が紹介されました(昔のベルリン・コーミッシュオパーや、グルベローヴァが出ていた国立歌劇場など)。

また、カタリンさんは、昔のメルビッシュ(彼女が振った公演だとか)、ブダペストオペレッタ劇場時代の公演(どうやら海外公演。懐かしのマリカ嬢が出てきました)に加えて、現在、音楽総監督を務める国立ミシェコツル劇場のガラコンサートを紹介していました。このガラコンサートが非常に興味深く、かつてのブダペストオペレッタ劇場を彷彿させる雰囲気でした。今度、ぜひミシェコツル劇場にも行ってみたくなりましたね。

さて、日本代表の寺崎さんは、ご自分が主宰している日本オペレッタ協会の活動方針をPRされました。寺崎さんが強調していたのは、「オペレッタは現地語での上演が絶対必要である」というものでした(これは寺崎さんの持論ですね)。

ただ、説明の時間が十分とれなかったことも関係していると思いますが、各国のオペレッタの違いが明確にならなかったことが非常に惜しまれます。ここは、せめて司会者が、各国のオペレッタの特徴を一言でまとめるくらいの配慮が欲しかったところです。一応、当日配布されたプログラムには、講演の要旨が記載されていましたが、この内容が実際には講演で十分紹介されなかったことが残念でなりません。

さて、第二部は第一部スピーカーによる「21世紀に於ける各国のオペレッタの状況、役割と展望」と題したパネルディスカッションでした。Feriは、ここを一番期待していました。

とくに、カタリンさんとトマシェクさんは、実際のオペレッタ上演に携わる実務家ですから、その視点でのお話を楽しみにしておりました。

ディスカッションの中では、オーストリア、ハンガリーともオペレッタ上演に適した歌役者が枯渇していること、歌役者の養成システムが不十分なこと、近代演出への疑問、オペレッタへのミュージカル歌手起用(カタリンさんは、これは問題であると提言していました)、現地語上演へのこだわりなどが紹介されました。また、寺崎さんが、「日本におけるクラシック歌手の育成時に日本語で歌わせないのはおかしい」という持論を展開されていました。

非常に興味深い内容で、Feriは背景も含めてもっと詳しく知りたいところがたくさんあったのですが、残念ながら時間の関係で、中途半端なものになってしまいました。

ゲストスピーカーも話したりなかったようで、トマシェクさんなどは、時間を気にしながら早口で話しており、気の毒でした(司会者にもっと話をしたいというシグナルを送っていましたね )。

Feriとしては、「オペラも含めて、なぜ近代演出に流れる傾向があるのか」、「近代演出に対する観客の評価はどうなのか」、「歌役者を養成するシステムが、なぜ整備されていないのか」、「昔はオペレッタを経験してからオペラに行く歌手が多かったが、なぜ、オペレッタをスルーするようになったのか」、「伝統芸能と興業(ご商売)の狭間で実務家が悩んでいることは何なのか」などを聞きたかったところです。

ちなみにプログラムを見ると、オーストリアでは1970年代に比べるとオペレッタの評価が下がったため、音楽大学などでオペレッタに関する教育が疎かになっているというトマシェクさんの見方が紹介されています。では、なぜ、オペレッタの評価が下がったのか、その理由を、実務家であるトマシェクさんからうかがいたかったところです(質問したかった…)。フォルクスオーパーなどでは、このところ舞台装置が、どんどん簡素化されていますが、これに対する現地観客の評価を制作者側がどうとらえているか等もうかがいたかったですね。

それから、ブダペストオペレッタ劇場は現在、ミュージカル主体に変わっていますが、地元の評価はどうなのかなどをカタリンさんからうかがいたかったところです(ブダペスト市民が満足しているのかどうかという視点ですね)。
とにかく、第二部は完全に中途半端なパネルディスカッションになってしまい、カタリンさんやトマシェクさんは欲求不満だったのではないかと思います(わざわざ、お越し頂いたのですから、十分お話をさせてあげたかったですね)。

このほか、Feri個人としては評論家のヒンツさんは立場が違うので、ご参加はどうなのかな…という気がしています 。やはりオペレッタ上演の第一線で活躍する実務家の視点で語り合って頂きたかったところです(評論家が入ると変な遠慮が出やすいので)。

ところで、来場したお客さまの多くは、第三部のガラコンサートを聴きに来たようで、このシンポジウム部分はかなり戸惑っていました。というのは、専門家の話を理解する前提となるオペラとオペレッタの違いなどがわからない方も多かったようです。このような状況で、2時間もお話が続いたら、ちょっと飽きてしまうでしょうね。ちなみにFeriは、第二部だけを3時間くらいやって欲しかった方です。その際、ぜひ、参加者からの質問も受け付けて頂ければ、充実した一時になるでしょうね(そんなものに喜んで来るのはFeriだけでしょうかねぇ )。

第三部はオペレッタ協会おなじみの歌手の皆さんによる「ガラコンサート」(当然、全曲、日本語歌詞)でした。まぁ、こちらはいつも通りと言うか…ただ、非常に興味深かったのは、ピアノ伴奏にカタリンさんとトマシェクさんが起用されたことでしょう

最初はお二人の連弾(これには驚きました)、その後、カタリンさんが中心の伴奏を務めました。カタリンさんは、もともとピアニスト出身なので、ピアノはお手のもの。特にカールマンのメロディなどは、ハンガリー色が全面に出ていて見事でしたね。また、トマシェクさんは、普通、練習の時などは、ピアノを弾くこともあるのでしょうが、公開の場で弾かれるのは珍しいと思います。これが一番驚きました。

寺崎さんは、日本語上演に対するこだわりが強いことはよくわかりましたが、正直なところ、聞いていても歌詞がわからない曲もあります。そこまでして、日本語で歌う必要があるのかという疑問が払拭できませんでした(とくに「こうもり」のチャールダーシュなどは代表例でしょうね)。日本語でないと、気持ちが伝わらないという考えは理解できますが、現実に、オペラは言語上演でも素晴らしい歌手が歌うと、歌詞が十分理解出来なくても、心に強いインパクトを与えますからねぇ。

第三部で気になったのは、「ご贔屓筋」による過度な応援です。ガラコンサートで、しかも伴奏が一流の指揮者です。せめて、拍手やかけ声は伴奏が完全に終わってからにしてもらいたいものです(遠来の客人に失礼な気がしますね)。また、オペレッタのアンコールでもないのに、手拍子を強要するのもどうかと思いますね。

本来、一番、オペレッタを愛しているのが協会の皆さんだと思います。それだけに、鑑賞姿勢も他の見本となるようなものを実践していただきたいものです。実は、オペレッタ協会さんの場合、「身内だけの盛り上がり」と誤解される行動が、一般のお客さまに違和感を与えている可能性があります。

ご熱心なのはわかりますが、あくまでも「身内だけの演奏会」ではないことをお考えいただきたいと思います。これが逆に日本でのオペレッタの普及を妨げているとしたら、こんな残念なことはありません。

ちょっと辛口の内容になってしまいましたが、素晴らしい企画だけに、より素晴らしい内容にしていただきたいという思いが強いもので

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