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March 16, 2009

番外編 バイエルン国立歌劇場「ルクレツィア・ボルジア」

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15日は、日曜日にもかかわらず、多数のアクセス、ありがとうございました。

さて、今日は昨日に引き続き、「オペラの話題」です。バイエルン歌劇場で上演されたドニゼッティのオペラ「ルクレツィア・ボルジア」にグルベローヴァが登場しました。「ルクレツィア・ボルジア」への出演は、確かスペインのバルセロナに続いて二番目だと思います。という訳で、行ってきましたミュンヘンへ…

さて、3月15日の指揮はBertrand de Billyがつとめました。キャストは、ルクレッィア役がEditaGruberova、フェラーラ大公役がFrancoVassallo、傭兵隊長ジェンナーロ役がPavolBreslik、士官オルシーニ役がCarmenOprisanu、JeppoLiverotto役がBruno Ribeiro、Don ApostoGazella役がChristian Rieger、Ascanio Petrucci役がChristopherMagiera、Oloferno Vitellozzo役がErikÅrman、Gubetta役がRobertoAccurso、Rustighello役がEmanuele D'Aguanno、Astolfo役がChristian Van Hornといった面々がつとめました。

ところで、このオペラ、女性の出演者はグルベローヴァ分するルクレツィアとズボン役のオルシーニ(今回はCarmen Oprisanu、メゾソプラノ)の二人だけという珍しい演目です

当初ルクレッィアは「稀代の悪女」と言われていたそうです。しかし、その後、19世紀後半に「知的な芸術愛好家」に評価が変わったと言われています。
まぁ、いずれにしても個性的な女性であることは事実で、グルベローヴァ向きの役だといえるでしょう。ちなみに、今回の演出では、「稀代の悪女」の趣がありました

ところで、バイエルン国立歌劇場なので、演出は、いわゆる「現代演出」です。出演者はスーツを身にまとい、舞台装置は事実上、何もありません。また、第二幕では合唱団も妙な衣装で登場します。Feriは、個人的に、この手の演出は大嫌いです 。歌舞伎をスーツやドレスで上演するようなものですから…(ただ、芸術的にどうかという意味ではなく、単なる私の好き嫌いの問題なので、誤解しないでくださいね)。

プロローグは、ヴェネチア・グリマーニ館です。オリジナルではヴェネチア大使の随員として赴く青年達が仮面舞踏会を楽しんでいる場面ですが、なぜか、皆さん普通のスーツで集まっています。一人酔っぱらって寝ているジェンナーロのそばにグルベローヴァ分するルクレツィアが登場します。まず、ここでアリア「なんと美しい」が歌われますが、グルベローヴァの本領発揮です。感情を込めた歌でお客さまを魅了します。ちなみに、ジェンナーロはルクレツィアが不倫の末生んだ子供なのですよ。

しかし、グルベローヴァの実力が遺憾なく発揮されたのは、第一場第二場でしょう。ここでは、宮殿の紋章にあるBORGIAの「B」を取ってしまった(ORGIAは破廉恥という意味になるそうです)犯人を捜し、処刑するようにツクレツィアが夫のフェラーラ大公に依頼します。ところが、大公はルクレツィアがジェンナーロを愛していることを知っていて、その上で、ジェンナーロを素早く犯人として捉えます(まぁ、真犯人なのですが、事前に内定しているのですよ)。

当然、動揺するルクレツィア。このとき、実は歌を歌わずにグルベローヴァは演技だけで、愛する人が処刑されるという揺れ動く女心を表現します。これは、見事でしたね。何しろ歌わずに演技だけで、深層心理を表現できるオペラ歌手はそういないと思います 。その後、ジェンナーロの助命を大公に嘆願する場面も聴かせどころでした。まさしく真に迫る迫力がありました。結局、毒薬で処刑されるものの、ルクレツィアが解毒剤を差し出し、一命を取り留めます。休憩を挟んで、第二幕になりますが、一幕のカーテンコールはありませんでした

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第二幕の見所、聴き所は、最後の場面でしょう。ルクレツィアが青年達に受けた屈辱を晴らそうと酒に毒を盛っているのですが、こともあろうにジェンナーロまでも、この「毒入りの酒」を飲んでいるのですよ。一滴だけ残っていた解毒剤を差し出すルクレツィア。しかし、ジェンナーロは、友を見捨てるのは忍びないと解毒剤の服用を拒みます。しかも、ジェンナーロは、ルクレツィアを道連れにと、剣を向けます。窮地のルクレツィアが発した言葉は“私こそ、おまえの母親”。最後のアリアは、グルベローヴァお得意の感情の起伏が激しい歌なので、最高に盛り上がりました。

このオペラは、グルベローヴァ分するルクレツィアが登場する場面は比較的少ないのですが、感情の起伏が激しいので、印象に残るシーンが多々あります。それにしても、グルベローヴァは色気云々ではなく、「女の情念」を表現させると、怖いくらいに気持ちが伝わってきますね

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なお、今回、そのほかで良かったのは フェラーラ大公役のFranco Vassalloでしょうか。なかなか迫力ある歌と、絶妙な演技でしたね。とくに妻の不貞に気づき、ジェンナーロをあらかじめ捉えておくあたりのお芝居は、見事でしたね(「フフフ、妻め引っかかったな」という感じの表情がいやらしかったですなぁ。もちろんお芝居のお話ですよ)。
また、ジェンナーロ役のPavol Breslikも、なかなかがんばっていましたね(イケメンのお兄さんでした)。

途中のカーテンコールがなかったため、最後は怒濤の拍手とブラヴァの嵐となりました 。とくに最後は、演奏終了後、グルベローヴァは舞台袖に引き上げ、舞台が真っ暗になり、幕が下ります。その後、幕が開くと、舞台中央にはグルベローヴァが一人だけ立っているという「凝った演出」でしたから、異様に盛り上がりましたね

歌もさることながら、抜群の演技力を再認識した公演でした。今日は16時開演、19時前のお開きだったので、恒例の「グルベローヴァのサイン会」がロビーで行われました。大勢のファンが列を作っていたのは言うまでもありません。グルベローヴァ本人も今日の演技に満足していたのか、終始ご機嫌でした。ちなみに下の写真は、サイン会の行列です

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さて、グルベローヴァのウィーン公演ですが、5月下旬に「ランマムーアのルチア」が予定されています。そう、この前ネトレプコが演じた役ですね。こちらも大いに楽しみですね

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