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March 20, 2009

偉大なるマンネリ

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今日も「オペレッタの話題」をお届けしましょう。4月の中旬になるとフォルクスオーパーの「2009/2010シーズン公演プログラム」が発表されると思いますが、今から絶対に入っていると断言できる演目が、ご存じ「こうもり」(もちろんオペレッタ版の方 )です。2009年3月11日現在で、上演回数324回を数えており、おそらく400回も夢ではないと思います。

「こうもり」に関しては、途中、HeinzZednik氏が演出に若干手を入れましたが、逆にお芝居の要素が充実し、非常に見事な作品に仕上がっています。「メリーウィドウ」が新演出化にともなって、舞台装置が貧弱になってしまったのに対して、「こうもり」は現在も立派な(写実的な)舞台装置を使っている点も見逃せません。

当然、出演者の衣装や小道具も立派です。ある意味、「オペレッタの王道 」と言えるでしょう。ちなみにFeriは、オペレッタの場合、立派な舞台装置の中で、ゴージャスな衣装を身にまとった歌役者の方が、「真剣(真面目)に、ばかばかしいお芝居をする」ところが、最大の魅力だろうと思っています。その点、現在、フォルクスオーパーで上演されている「こうもり」は、まさにその通りの舞台になっています。もちろん、ほかにも、このようなオペレッタは存在するのですが、毎年、必ず上演される演目と言えば、「こうもり」しかありません。しかも、年末・年始以外にもコンスタントに上演されています。

3月にFeriが観た(また観たのかという突っ込みはなし )公演では、指揮は安心感抜群のAlfredEschwéがつとめました。当日のキャストは、アイゼンシュタイン役がThomasSigwald、ロザリンデ役がElisabethFlechl、アデーレ役がNatalie Karl、イーダ役がKlaudiaNagy、オルロフスキー役がAndreaBönig、ファルケ役がMathiasHausmann、アルフレード役がAlexander Pinderk、フランク役がJosefLuftensteiner、フロッシュ役がGerhardErnst、ブリント役がChristianDrescherでした。

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皆さん、勝手知ったるメンバーなので、基本を外さず、当日の雰囲気でアドリブなどを入れるという見事な舞台でした。ThomasSigwaldも、正直、以前はアイゼンシュタイン役としては物足りない感じがしたのですが、公演を重ねるごとに役(というかアイゼンシュタインという人物)に対する理解が深くなっているようで、表情やお芝居からもアイゼンシュタインの心理変化を上手に表現していました。ロザリンデ役ElisabethFlechlは声量も十分あり、二幕のチャールダーシュは特に見事な歌いぶりでしたね。そうそう、久しぶりに観た オルロフスキー役のAndreaBönig ですが、相変わらず切れ味抜群のオルロフスキーを演じていました(この人は背が高いので、迫力がありますね。アデーレやイーダと並ぶと、二人が子供のように見えます)。

このほかのメンバーもツボを心得ており、本当に安心して観ることができました。初めてのお客さまも、何度も来場しているお客さまも楽しめる…そんな「オペレッタの王道」を行く公演だったような気がします。

しかし、実際には、このように「同じ演目を、同じ演出で、お客さまに飽きられることなく、上演し続ける」というのは、言葉で言う以上に難しいことだと思います

当然、「同じだから、もういいや」という常連さんを、どうやって引っ張り出すか…ここが難しいですよね。小手先のテクニックやアドリブ、奇をてらった出演者の起用という手もありますが、日本の長寿テレビ番組「水戸黄門」ではありませんが、ある種、安心して観ることができる構成が前提だと思います。その上で、そのときのお客さまにあわせて、味付けをちょっとだけ変えてみる…そんな「偉大なるマンネリ」こそが大切ではないかとFeriは思っています。

ただ、舞台装置の耐用年数などを考えると、いずれ「こうもり」も全面的なリニューアルをしなくてはいけない時期がくると思います。とくに、今は上演時間短縮が基本なので、2回の休憩入りの演出は、時代に合わなくなっているかもしれません。そのとき、今までの舞台を踏襲するのか、「メリーウィドウ」のように思い切った改訂(あの場合は、改悪)をするのか、ここがフォルクスオーパーの悩みどころ、「真価が問われる場面」かもしれません

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Comments

Feriさん、こんにちは。Steppkeです。
また、お出掛けになったようで、うらやましい限りです。
Volksoper『こうもり』のマンネリ、いいですね。私も、Feriさんほど多くはありませんが、初来日から数えて10回は観ています。ただ、その内の1回は、別の演出/舞台装置でした。
ご存知かも知れませんが、Volksoperの『こうもり』は、1999年4月に新演出/新舞台装置に変わりました。演出はRobert Herzl、舞台装置はPantelis Dessyllasと同じなのですが、廻り舞台の上に円形3階の中が透けて見えるような建物があり、時代も多分1920年代頃に移された、モダンなものでした。
1999年は、ヨハン・シュトラウスの没後100年の記念の年でしたが、5月末から6月中旬にかけて、アンサンブルは日本への引越公演を行なっています。6月3日が祥月命日で、丁度その日に、天皇皇后両陛下・オーストリア大統領閣下夫妻ご臨席で、NHKホールにて『こうもり』があり、私も行きました(→ものすごい警備でした)。この公演の舞台装置は、従来の(そして今と同じ)ものでしたが、その時のプログラムを引っ張り出して見たところ、5月中旬まで新演出がWienであったので新しい方は運んで来られず、古い方は日本での公演で見納め、とあります。
私は、その後Wienに行き、6月30日(シーズン最後の日、ちなみにこのシーズンはVolksoper 100周年のシーズンでもありました)に新演出の方も観ました。つまり、1ヶ月の間に、同じ曲を同じアンサンブルで、別の演出で観たという稀有な体験をしたことになります。
この後、Volksoperで『こうもり』を観たのは2003年9月10日(CD "Operette live 2" が収録された日)でしたが、その時には従来の演出/舞台装置に戻っており、驚いたという記憶があります。2008年9月4日の「Feriもびっくり 謎のお年寄り」で、島津製作所で働かれていたご老人から日本語で話しかけられたことが書かれており、私も多分同じ人に会ったというコメントを書かせて頂きましたが、会ったのが丁度その日でした。演出のことも話題になり、前のはWienらしくなかったので戻って良かった、などと話されていました。
1999年から2003年の間、Volksoperで『こうもり』は観ていないので、いつ以前の演出/舞台装置に戻されたのか分かりません。上演回数324回というのは、多分、通算での回数なのでしょうね。

Posted by: Steppke | March 21, 2009 13:28

Steppkeさま、お久しぶりです。また、興味深いコメント、ありがとうございます。

Feriも1999年のフォルクスオーパー来日公演は観に行ったのですが、「メリーウィドウ」だけしか観ませんでした(今から思い出せばもったいない話です)。

で、お題の「こうもり」ですが、Feriがフォルクスオーパーで初めて観たのは、2000年1月7日のことです。当時は初めてだったのですが、ナイショで撮影した写真を見たところ、現在の舞台装置でした。つまり、Steppkeさまが1999年6月に現地でご覧になった舞台装置ではありませんでした。

また、出演者リストで確認したところ、2000年1月の舞台装置担当はPcnielis Dessyllasでした(演出はRoberi Herzl、当日のフロッシュは何と、ロベルト・マイヤーでした )。

そのように考えると、1999/2000シーズンから、ナイショで「元の演出」(舞台装置)に戻したと考えるのが妥当でしょう。Steppkeさまもご存知のようにシーズン途中で、演出や舞台装置を大幅に変えるとは考えにくいですから…

もしかしたら、「メリーウィドウ」の時のように、新しい演出(舞台装置)の評判が悪く、急きょ、元に戻した…というのが真相かもしれません。

その後、2006/2007シーズンにハインツ・ツェドニクが手を加えてリニューアル(実際はマイナーチェンジでしたが)が行われていますね。

上演回数については、Steppkeさまご指摘のように通算だと思われます。

Posted by: Feri | March 21, 2009 21:09

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