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March 04, 2009

「録音の現場」から…(上)

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2008年12月に当ブログでカメラータトウキョウの井坂社長が執筆された「一枚のディスクに レコード・プロデューサーの仕事」をご紹介しましたが、今日は、それにまつわるお話です。

昨年の秋、ウィーンにお住まいで、井阪社長をよくご存知のMさんからのご紹介で、カメラータトウキョウさんのレコーディングを見学することができました。

しかも、ライブレコーディングではなく、スタジオレコーディングです。場所は「一枚のディスクに」で紹介さているウィーンのスタジオ・バウムガルテンです。10時30分くらいからレコーディングを始めるというお話を聴き、10分前に到着するように、西駅前から52系統の路面電車に乗って14区にあるバウムガルテンの最寄り停留所Hochsatzengasseへ向かいました。

バウムガルテンは、1880年にオーストリア陸軍の正式な社交場として建設されたカジノだそうです。現在、このメインホールがカメラータトウキョウ社のレコーディングスタジオとして使われています。バウムガルテンのホールはオーケストラから室内楽まで、すべてに音響が適していたことから、1950年代は欧米の有名レコード会社がレコーディングスタジオとして、頻繁に利用していたそうです。

さて、最寄りの停留所Hochsatzengasseに到着すると、向かいに見える建物がバウムガルテンです(冒頭の写真がバウムガルテンです)。なかなか立派な建物ですが、よく見ると結構傷んでいます。周辺はいわゆる中層住宅などが並ぶ住宅地で、バウムガルテンの裏手には「普通の公園」もありました(下の写真はバウムガルテン前の通りです)。

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当然正面玄関から入るのだろうと思っていたのですが、ご一緒していただいたMさんから、“裏口から入るように言われているから…”とのお話があり、建物の裏側に回りました。最初は、どこから入るのかわからず、裏手をうろうろしてしまいました。裏手には、夏はカフェになりそうなテラスがあり、カフェの入り口から中に入ることができました。

話には聴いていましたが、実際に訪問してビックリ。演奏するスタジオは、完璧な防音設備が整っているスタジオではなく、いわゆる普通のホールなのです。Feriが想像していたスタジオとは全くイメージが異なりました。しかも、建物の玄関側は路面電車も走る広い道路があります。このような会場で録音して、ノイズが入らなのでしょうか。

ホールは比較的広く、小規模な舞踏会も開催できそうな感じです。実は、バウムガルテンは録音専用のスタジオではなく、現在では、地域の公民館的な位置づけだそうです。従って、普通は地域のコンサートや舞踏会などに使われているとか coldsweats01

つまり、公民館で世界的な録音をしているという訳です。ホールの正面玄関側は、さすがに扉がありましたが、ビュフェのある反対側には扉がなく、何と厚手のカーテンだけで仕切られていました。先ほど、私たちが入ってきたビュフェ側の入り口も、窓ガラスが入ったごく普通のドアです(別に防音構造にはなっていませんでした)。

そして、ビュフェ裏の元従業員用控え室らしき小部屋が、レコーディング関係者が陣取るモニタールームになっていました。その昔は大がかりな機材が必要だったようですが、現在はデジタル技術の発展により録音機材は思いの外コンパクトでした。下の写真が「モニタールーム」です。正面に窓らしきものが見えますが、こちら側がホールではありません。ホールは写真を撮っている側になります。

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モニタールームには、DATレコーダー、ミキシングコンソール、そしてモニタースピーカーが設置されていました。ただ、日本のレコーディングスタジオのように「常設」ではなく、「仮設」で、レコーディング終了時には、撤去できるようになっていました。通常は、ここにバランスエンジニア(いわゆる録音技師、トーンマイスターと言う場合もあります)とプロデューサーの2人が入り、レコーディングを行うそうです。

私たち見学者も、このモニタールームで見学することになりました。ただし、構造上、ホールの中は見ることはできません。従って、レコーディング中は、モニタースピーカーで聴く音だけで判断するようです。

しかし、よく考えて見たら、レコーディングは、普通の演奏会ではありませんから、演奏家の姿を見る必要はないわけですよね。ちなみに井阪社長からは“何だったら、スタジオで見ても良いですよ”と言われたのですが、お仕事の邪魔をしてはいけないので、レコーディング中はモニタールームで見学させていただくことにしました。

(明日に続く confident

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Comments

大変興味深い貴重な記事、本当にありがとうございます。バウムガルテンがごく普通の「公民館」であった、ということは全く知りませんでした。てっきりスタジオに改装されていたと思っておりましたので・・・。

カメラータの録音は結構好きで何枚も持っております。今度聴くときの楽しみが増えました。ありがとうございました。

Posted by: 楕円球 | March 04, 2009 at 12:38 PM

楕円球さま、コメント、ありがとうございます。

私もバウムガルテンの「スタジオ」に入るまでは、録音用にある程度の改装をしてあるだろうと勝手に想像していました。が、その実態はブログの記事のとおりです。

しかし、近代技術を駆使したスタジオよりも、実はこの古いホールの音が良い…というのは伝統なのでしょうかね。

Posted by: Feri | March 04, 2009 at 03:59 PM

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