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March 18, 2009

バーデン市立劇場「メリーウィドウ」(下)

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今日は昨日に引き続きバーデン市立劇場「メリーウィドウ」の後編をお届けします。

演出の方は、中心となるご年配のお客さまを意識してか、きわめてオーソドックスなものでした。舞台装置こそ違えど、昔のフォルクスオーパー版を彷彿させます。ただし、開演時間が19時30分のため、全体的に時間短縮が図られています。ちなみに一幕は50分、20分の休憩を挟んで、二幕と三幕は通しで80分でした(二幕が50分、三幕が30分くらいの配分です)。しかし、時間短縮のため、内容がわかりにくくなっていると言うことはありませんでした。

演出で興味深かったのは、二幕で「ヴァリアの歌」を少し歌った後、踊りが入り、その後、歌を続けるというパターンだったことです。なお「ヴァリアの歌」のリフレインはありませんでした。このときの踊りはバルカン風の衣装で踊るケースが多いのですが、今回は普通の衣装でした。二幕で盛り上がる「女、女、女のマーチ」ですが、男性陣が合唱した後、女性陣が出てきて対決する(今回は実際に女性も歌うバージョン)という最近流行のパターンでした。

二幕から三幕へは暗転で行われますが、舞台装置を作り直す訳ではないので、曲が流れている中、四阿の位置を移動するという展開でした。三幕では、通常よりもニグシュの役割をクローズアップしており、彼がステージを仕切るという展開でした。たしかに、元マキシムのボーイ長ならば、仕切るのはうなずけるところです。

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お客さまが楽しみにしている三幕ですが、踊りが充実しています。男女のソリストの見事な踊りに続いて、ヴェランシェンヌ率いるグリゼッティンが登場します。そして、「グリゼッティンの歌」にあわせて、カンカンを披露します。今回、ヴェランシェンヌ役に起用されたGabriele Kridl は踊りが上手で、バレリーナと並んで見事な踊りを披露していました

その後、グリゼッティンが舞台袖に引いたので、これで終わりかと思ったところ、ニグシュの合図で、再び登場。そして、今度は「天国と地獄のギャロップ」にあわせて盛大にカンカンを踊ります。当然、会場は大盛り上がりです。なかなか盛り上げ方のツボを押さえていますね。かつてのフォルクスオーパーを思い出してしまいました。踊っている人数は少ないのですが、舞台が狭いため、十分見応えのある踊りになっていました。おじさま、おばさまは手拍子で声援を送っていました

さて、歌手陣ですが、全体的にはレベルがそろっていたと思います。ハンナ役のRomana Noackは、歌もさることながらお芝居が上手ですね。ただ、歌が抜群にうまいというタイプではありません。というのはソプラノらしい歌い上げるところに物足りなさを感じたからです。

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ダニロ役のReinhard Alessandriは、見た目が若い(実際にも若いと思います。でもイケメンのお兄さん)ので、はつらつとした歌い方が印象的でした。ちょうど、「姉さん女房に惚れている男」といったイメージですね 。そのため、ハンナとのバランスがとれない部分もあったのですが、ハンナ役のRomana Noackがカバーしているように見えました。

ゼータ男爵役のWolfgang Pampelとニグシュ役のTiborSzolnokiはお芝居が良かったですね。今までちょっと見なかったタイプのゼータとニグシュを演じていました。ゼータは、どことなく威厳が弱い感じでした。また、ニグシュは、ここでは「しっかり者の執事」というイメージが強かったですね。

ヴェランシェンヌ役がGabriele Kridlは、歌については今ひとつ(高音が十分に出ない感じ)でしたが、見事な踊りで歌をカバーしていました。帰りにバスの中でふと考えたのですが、バーデンにオペレッタを観に来るお客さまは、意外と「」が多いのではないか…ということです。そのため、通を納得させるような演出が欠かせないような気がします。劇場の規模が小さいので、オーケストラが寂しいのは、皆さん十分承知しており、不満はないでしょう。が、妙な演出をしたら、次のシーズンから足を運ばなくなってしまうかもLしれませんから… 実際、バスで動員をかけるようなことはしていないようで、純粋に個人のお客さまが多いようでした

お客さまの反応も良く、舞台装置こそ簡素なものの「古き良き時代のウィンナオペレッタ」に出会うことができました。

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改めて、日本公演で観た印象と比べると、ホームグラウンドである劇場の影響もあると思うのですが、見事な舞台でした(響が良いので、結構迫力があるのですよね )。やはり、舞台芸術は会場が重要な要素を占めることを再認識した公演でもありました

なお、10時にお開きになりましたので、 バス(ウィーン・ローカル・バーン)を使えば国立歌劇場前には11時には戻ってくることができます。機会があったら、是非、一度、足を伸ばしてみることをお勧めします(カジノがあるので、深夜まで電車、バスともに運行されています)。

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