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April 27, 2009

音楽評論あれこれ

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今日は「音楽評論の話題」です。

洋の東西を問わず、音楽や演劇、映画などには、評論家と呼ばれる識者による評論がつきものですね confident 。ところが、ここ数年、オペレッタやオペラを聴き込むようになってから、日本とウィーンでは、音楽評論がずいぶん違うことに気づきました。

まず、日本の新聞などに掲載されている音楽評論では、「厳しい評論」を見たことがほとんどありません。国内外を問わず、演奏に関しては、かなり持ち上げたコメント(ヨイショ記事)が目立ちます happy01

それに対して、ウィーンの新聞に掲載される評論は、かなり厳しいのが一般的です。少なくとも、オペレッタやオペラの場合、演出、演奏、主要歌手のすべてを絶賛するケースは、まず皆無です。たとえば、ある歌手は絶賛でも、演出がボロクソというケースもあります(当然、同じ演目に出演している歌手でも、評価に差があります)。どんなに著名な指揮者でも、演奏が良くなければバッサリ切られます。曰く、“オケの潜在的な力を十分に引き出していない pout

一方、日本では、海外から来日したカンパニーに対して、バッサリ切った「公式な評論」は、正直お目に掛かったことがありません。さらに国内のカンパニーや奏者についても、あまり厳しい評論を見たことはありません。もちろん、ウィーンの評論家も、ほとんどは自費(要するに自腹を切って)で観に行っている訳ではないでしょうから、この点は日本も同じでしょう(評論家の皆さんはゲネプロも含めて、ご招待が多いようですから…)。

これは想像の域を出ないのですが、おそらく日本の場合、音楽公演の多く、とくに来日公演はマスコミが公演開催にからんでいるからではないでしょうか。

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日本では、音楽関係だけではありませんが、なぜかお仲間のマスコミを厳しく批判するというケースは少ないようです coldsweats01 。つまり、どこかのマスコミが公演の開催に絡んでいるため、「批判を押さえる」という「暗黙の掟」が働いているように感じます(タブー領域だったりして… coldsweats02 )。

最近では、当ブログを始めインターネットに個人的な鑑賞記を掲載される方が増えてきたので、良い意味での厳しいコメントも見られるようになりましたが…

面白いのは、ウィーンは比較的保守的な土地柄なのですが、演出家などは、評論家からの批判覚悟で、斬新な演出に挑戦しているフシがあります(評論家を挑発している人もいる訳ですから、ある意味、確信犯ですね smile )。

そのようなことを考えると、演出家に限らず、指揮者、歌手、演奏家などの皆さまは「厳しい評論」に耐える力(耐力)を備えていることが、こちらで活躍する上では、必須条件かもしれません。

とこいろで、ウィーンの新聞評は最近、インターネット版にも掲載されるようになりました。これには読者からコメントを付ける機能があるのですが、“あんたの解釈はおかしい”“評論家である○○氏の耳を疑う”といった、これまた厳しい反論が寄せられるケースもあるようです。良いですねぇ。こういうやり取り。

一歩間違うと「炎上」状態になってしまうのでしょうが、日本のように些細なことで「炎上しないところ」が、ある意味で議論が上手な欧米らしいところなのかもしれません。

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Comments

あっはっは。Feri さん、その通り (^o^)

今日のシュターツカペレ・ベルリンのマーラー交響曲チクルス前半(去年)も「期待が高かっただけに肩すかし」みたいな、かなり辛口批評が載りましたが、でも、やっぱりベルリンのオーケストラでマーラー聴きたい聴衆はウィーンにたくさん居て(でも確かに前半チクルスよりチケットは残ってる(笑))、批評に関係なく来ます。

アマゾンのドイツ(オーストリアもドイツの担当)でも、CD とかの書き込みが極端に分かれていたりして、面白い時があります。誰かが「歴史に残る名演」とか書いて5つ星を付けた後に「あんなに酷い演奏は聴いた事がない」1つ星、なんて言うのがあって、「絶賛していたナントカ氏は、ナントカ指揮者のナントカの CD を聴いたか!」なんて、意外に参考になる意見もあります。もっとも、商業上、売れ筋を作りたいために、関係者が書きこんでいる場合もあるみたい。

何でも自分の耳が聴かないとわからないですよね。
どの席で聴くかでも全然違ってくるし、こちらの「クラシック・オタク」は、会場でも友人同士が「あれを聴いたか、あれは酷かった、あれは良かった」という話で弾んでいる事があります。(耳だんぼで聞いてると面白い(笑))

長い書き込み、失礼しました!

Posted by: はっぱ | April 28, 2009 at 05:23 AM

はっぱさん、こんにちは。

こちらの人は辛口の批評が出たからと行って、「行かない」という人は少ないのかもしれません。逆に、“じゃあ自分の耳で、評論家のコメントを確かめてみるか”という感じなのかもしれませんね。結構なことです confident

Posted by: Feri | April 30, 2009 at 12:28 AM

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