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May 30, 2009

シャルロット役でガランチャが登場、「ウェルテル」

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今日は、久しぶりに「オペラの話題」をお伝えしましょう。

2008/2009シーズンも、そろそろ終わりですが、5月24日からシャルロット役でガランチャが登場する「ウェルテル」が国立歌劇場で上演されています。

ガランチャ・ファンの皆さまから「お勧めの作品」と聴いていたので、見てきました。

現在の演出になってから30回ほどなので、いわゆる「今風の演出」です。

当日の指揮がBertrand de Billy、ウェルテル役がRamón Vargas、アルベール役がMarkus Eiche、シャルロット役がElina Garanca、ソフィー役がJane Archibald、Schmidt役がBenedikt Kobel、Johann役がClemens Unterreinerという面々でした。上演時間は2時間45分で、途中休憩が2回入るという演出です(第一幕後、第二幕後、第三幕と四幕は暗転)。

舞台装置ですが、中央に巨大な木(菩提樹らしい)が立っており、すべては「この木」の周りで話が進みます。第一幕は「新緑の季節」なので、木の周りにも瑞々しい緑の葉が見えます。ここでは、大法官の子供達が多数出てきて、賑やかな舞台となっていました。

いわゆる近代演出ですが、写実と抽象が入り交じった、ある種「不思議な舞台」となっていました。第二幕は9月の日曜日という想定なので、葉は紅葉になっています。全体的に舞台は暗いのだが、木で大きな変化をつけている感じがしますね。この木には、踊り場のような場所があり、ここを上手に使っていたのが印象的です。

第三幕と四幕は室内という想定なのですが、「巨大な木」はそのまま中央に鎮座していました。なぜか、居間にはなぜかちょっと古い 白黒テレビが…クリスマスの夜という想定なので、第三幕では向かって右側に クリスマスツリーや プレゼントが並んでいました。このように、ちょっと変わった舞台装置でした。好みが分かれるところでしょうね。

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さて、ガランチャ扮するシャルロット役ですが、第一幕では子供思いの優しいお姉さんという感じが良く出ていました。また、ソフィー役のJane Archibaldも、揺れ動く気持ちをよく表現していました(この人はかわいらしい人でしたね)。

第三幕、ウェルテルを失って、その存在の大きさに気づき、旅先からの手紙を読みながらシャルロットが歌う「手紙の歌」は見事でした。このあたりから、シャルロットの気持ちが前面に出てくるようになります。

シャルロット役のガランチャが感情を全面に押し出すのは、第四幕の場面です。自殺を試み、瀕死のウェルテルにベッドの上で覆い被さり、ウェルテルへの愛を告白する場面は、なかなかの名演でした 。ガランチャの雰囲気にぴったりと合う役だと実感しましたね。シャルロット役は歌もさることながら、お芝居が鍵を握るので、演技が上手でないと面白くないでしょう。特に心理変化が、行動に出るようになっていますから…

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タイトルロールであるウェルテル役のRamón Vargasは声量もあり、感情を前面に出した歌い方が見事でした。ただ、「詩人」にしては、迫力がありすぎるような感じがしましたが…(これは、仕方がないですね )。大きそうな方に見えるのですが、ガランチャと並ぶと、ガランチャの方が、背が高いのには驚きましたね。

ところで、「ウェルテル」は幕間のカーテンコールが一切ないのですね。意外な感じがしました。そのため、前半で出てくる子供達を、もう一度カーテンコールで見ることができなかったのが残念です。通常、こういったケースでは、途中で一度幕を開けて全員が登場するという演出が多いのですが…それから、「ウェルテル」も途中で、基本的に拍手を入れないのが「決まり」のようでしたから、変な拍手のフライングがなく、気持ちよく聴くことができました

最近は、ガランチャも国立歌劇場への出演が減ってしまい、ちょっと残念です。ところで、彼女は元々ポップスの歌手を目指していたとか…それが、巡り巡ってクラシックの世界で活躍しているわけです。来シーズンの「カルメン」で、またまた注目を集めることでしょう。

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Comments

このプロダクション05年5月に観ました。ガランチャのはしりの頃ではなかったと思います。場内の明かりがついても呼び返されていました。ダムラウともども今が旬のスターになりましたね。日本には何時来てくれるのでしょうか。

<ガランチャは元々ポップスの歌手を目指していたとか> そうでしたか。それは知りませんでした。 ひろと

Posted by: klahiroto | May 30, 2009 12:48

klahirotoさま、こちらにもコメント、ありがとうございます。

ガランチャも出演範囲が広がってきて、まさに「今が旬」になりつつありますね。

ただ、最近、国立歌劇場への出演が減ってきているのが残念です。次回の日本公演で、ガランチャが来日すると良いのですが…

ところで、こちらの友人から聞いた話なのですが、ガランチャの趣味はダイビング(海に潜る方)だそうです。ストレスがたまると、ご主人と一緒に楽しんでいるとか…クラシック歌手でダイビングが趣味という方は珍しいですね。

これもちょっと驚きのお話でした。

Posted by: Feri | May 30, 2009 14:22

ダイビングが趣味というのは珍しいのですか?
肺活量を活用するというのでは、歌手もダイビングも似ているように思ってしまうのは私だけかしら 

Posted by: いづみ | May 30, 2009 23:54

Feriさん、こんばんは。Steppkeです。
またまたお出掛けのご様子、いいですね。特に、GarančaのCharlotte..私も何とかWienに行けないかと画策はしたのですが、駄目でした。(昨年12月に同じde Billy指揮で、MünchenのNationaltheaterで観た/聴いたので、それを思って我慢です)
その代わり(と言っても全く比較になりませんが)、Wertherの最終日と同じ30日に、メトのライブビューイングで、Rossini "La Cenerentola" を観て来ました。こちらの方は喜劇なので彼女の表情が明るく(MünchenのCharlotteでは役に入り切っていたのかカーテンコールでも初めのうちは表情が硬くきつい感じでした)、衣装も素敵で、映画館のスクリーンに彼女の顔が大写しだったし、まあ良しとします。(音は、たまに割れるほど大きく酷いものでした)
ただ、幕間のインタビューで、自分はRossini 歌いではないし、そろそろ卒業と言っていたのが、気掛かりです。未だ、彼女のRossiniを生で聴いたことがありません。来シーズンは1月~2月にParisでCenerentolaを歌う予定になっていますが、それで最後かも..何とか行くしかありません。

Posted by: Steppke | May 31, 2009 02:15

いづみさま

コメント、ありがとうございます。音楽関係の方に聞いたところでは、声楽家の場合、喉に負担がかかることは、リスクがあるので避けることが多いそうです。

たとえば、グルベローヴァなどは、人と話をするときは、喉への負担を考えて「蚊の泣くような声」を心がけているそうです。実際、楽屋口でお会いしても、本当に小さな声でお話になります。

私たちにはわからないご苦労があるようです。

Posted by: Feri | May 31, 2009 05:50

Steppkeさま

コメント、ありがとうございます。ガランチャは「今が旬」という感じですね。ただ、メトなどへの出演が増え、無理をしすぎではないか…という見方もあるようです。

ウィーン国立歌劇場へのガランチャ出演は2010年5月の「カルメン」ですが、どんなカルメンを見せてくれるのでしょうね。おそらく、従来とは違った解釈のカルメンを演じるような気がします(ウィーンでのデビュー前にローマやロンドンでもカルメンをやるようですが…)。

ところで、「ウェルテル」ですが、当初、ブルゾンが出演予定だったこともあり、人気が高かったのですが、ブルゾンがキャンセルになってから、チケットの戻りが増え始めたという話を聞きました。

Feriは、オーストリア(一部、ドイツも入りますが)から守備範囲を広げる予定はないので、他国でガランチャをご覧になりましたら、是非、その模様をお知らせいただければ幸いです。


Posted by: Feri | May 31, 2009 06:00

ご存知ない方が結構居られるようなのでこの欄をお借りしてお知らせした方が良いかと思いまして・・・。
「ウェルテル」のDVDがTDKコアから出ております。ウイーンでのこのプロダクションのプレミエが2005年2月19日。収録が同月25日と28日。私は偶々25日の公演を観ました。
新進のガランチャはこの公演で人気を不動のものにしたと思われます。暗いオペラの中で彼女の金髪と衣装がとても映えたことまで覚えております。ウェルテル役がマルセロ・アルヴァレスですがストーカーのような目付きが気になる所。指揮が話題の新進フィリップ・ヨルダンで印象に残る公演でした。
余談ですが現地で「ウェルテル」と発音して笑われましたね。独語では「ヴェーター」、仏語では「ヴェルテール」のように聞こえました。

Posted by: Unicorn(ユニコーン) | May 31, 2009 17:58

ユニコーンさま、お久しぶりです。
DVDの情報、ありがとうございます。そういえば、アルカディアの売店で見かけたような気がします。

確かに「ウェルテル」の発音は日本語ですね。

ところで、余談ですが、非公式な情報ながら2011年の1月~2月にかけてバルセロナのリセウ劇場でガランチャとグルベローヴァの競演が計画されています。演目はドニゼッティの「アンナ・ボレーナ」のようです。

Posted by: Feri | May 31, 2009 22:08

やはりガランチャ様はどの役を演じても美しいですね。ガランチャ様といえばブランドでグレーの目、スタイル、声の質、演技力、色気、ズボン役などどれも光るものがあります。私にとってガランチャ様は女神様のような存在です。といってもまだファン歴は1年もたっていませんが。私がガランチャ様を知ったのは学校でオペラ鑑賞をしたのがきっかけでした。彼女をひと目見た瞬間に恋をしました。私は初めて「恋をする」ということが分かりました。それからはユーチューブやSNSで彼女を探し続けて今に至ります。私と同じくガランチャファンの方は是非私と友達となってください。

Posted by: N | December 24, 2016 08:55

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