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June 22, 2009

古い建物の残し方

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今日は、「古い建物の残し方」にまつわる話題です。

ウィーンの旧市街は、世界遺産に指定されていることもあり、古い建物を上手に保存品しながら、実生活に利用しています。

もちろん、戦災に遭っていますから、すべての古い建物が残っている訳ではありませんが、日本のようにファザードの一部だけ残して、その後ろに高層ビルを建てるというようなことはありません(そもそも旧市街では、ステファンドームよりも高い建物の建設は禁止されていますよね )。

とは、言っても旧市街には銀行をはじめとする会社も多いですから、内部の改装だけでは限界があります。先日、日本大使館の付近(ここはビジネス街ですね)を通りかかったところ、大規模な建築工事をしている場面に出くわしました。

写真をご覧になるとおわかりのように道路に面した部分(ファザード)は、しっかりと古いものを残しています。現場をよく見ると、単純に外側だけを残すのではなく、居住区画が確保されているように見えます。ただし、工事に伴って、後ろの部分が取り壊され強度低下を補うためか、前面には足場状の仮設補強が取り付けられていました。

興味深いのは、後ろ側に建てられているコンクリート製のビルディングの床面が、古い建物の床面と一致している点です。この方式ですと、完成後、正面から見ると古い建物のままで、中に入ると近代的なビルディングといった感じになると思います

当然、高さも考慮されており、正面から見ると古い建物と後ろのビルディングが同じ高さ(建設工事中なので、はっきりわかりませんが…)に設計されているようです。

こういった景観に配慮した工事は、非常に手間も費用もかかると思います。しかし、景観を大切にし、かつ観光の重要な要素と捉えているオーストリアでは、ある種、当然の負担と考えているのかもしれません(もっとも、これはオーストリアに限らず、ヨーロッパの多くの国でも採用されている考え方ですが…)。

日本でも、古い建物を観光の売り物にしている地区がありますが、残念ながら、その後ろには高層マンションや近代的なホテルが建ち並んでいるケースがほとんどです。

そのため、建物自体はすばらしくても、「景観」という観点で見ると、非常にアンバランスな感じがします。これでは、本当の意味での「観光遺産」にはならないでしょうね

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ちなみに、後半の写真は「日本の状況」です。一つは、ファザードの一部を保存することになっている東京中央郵便局(余談ですが、その昔、Feriはここでアルバイトをしていたことがありますので、思い出深い建物です)ですが、すでに周囲は近代的な高層ビルに建て替えられており、仮に東京中央郵便局の建物をすべて保存しても、景観が保たれる訳ではないことがわかります。

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そして、もう一枚は、先日、旅行した友人が送ってきた北海道・小樽の様子です。古い倉庫を改築し、活用している店は評価できるのですが、後ろの高層マンションが景観を台無しにしています。いかにも「日本」という感じがしますね 。このあたりは、景観に対する価値観の違いだと思います。

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