« フォルクスオーパー「メリーウィドウ」こぼれ話 演出編3 | Main | フォルクスオーパー「メリーウィドウ」こぼれ話  出演者編1 »

August 26, 2009

フォルクスオーパー「メリーウィドウ」こぼれ話 演出編4

Img_0808_001

連載、第4回は、現在、フォルクスオーパーで上演されている「メリーウィドウ」です heart02

○事実上の新演出になっている現在のバージョン
Robert Meyerが就任した2007/2008シーズンには、事実上の「先祖返り」とも言える演出に再改訂が、密かに断行されました confident

2007年12月、この事実を知らずにFeriはフォルクスオーパーで「メリーウィドウ」を観たのですが、正直、腰が抜けそうに驚きました。上演時間は変わらないものの、演出が大きく改訂されていたのです。また、Robert Meyerの考え方だと思いますが、お芝居を重視するようになっていました。

さすがに舞台装置は、大幅に変更する訳にはいかなかったようですが、それでも1幕の大階段には「壁」が取り付けられるようになりました。また、奥に見えたていたエッフェル塔が無くなったような気がします。そして、違和感のあったプロンプターボックス上の「唇のオブジェ」が無くなりました(昔から使っている伝統ある「貝スタイル」に戻りました)。

Img_0796_001

1幕では、ダニロがマキシムから大使館に戻った後、ニグシュとの掛け合い(靴を脱がせる場面も含めて)が復活しています。また、ニグシュの位置づけも旧演出に近い、おどけ役に戻っていました。ただし、「お馬鹿な騎士さん」は旧演出と異なり、1幕に入っています。

最も変わったのが2幕です。旧演出とほぼ同じく、ハンナが「今の自分の気持ち」を重ねて歌うスタイルに戻っています。パーティーの参加者や民族衣装をまとった踊り子も、ハンナの歌をしみじみと鑑賞しながら、ハンナの心模様を感じ取る…という構図です heart02

Img_2055_001

しかも、歌だけに集中するのではなく、踊り子や参加者の手を取りながら、ハンナが歌うなど、お芝居も充実しています。なお、リフレインに関しては、公演の際に差が出ているようです(要するにやったり、やらなかったり…)。

舞台装置関しては、不自然なブランコや半透明のスクリーンもなくなり、普通の庭園風景に改められました。ただし、背景画や舞台中央の像やあずまやは、新演出移行当初のものを使っています。

2幕の見所、「女、女、女のマーチ」についても、リフレインが復活しています。そして、最後に女性陣が登場して、女性をけなしていた男性陣が「やばい」という雰囲気で、三回目を歌うのをやめるという演出に改訂されています。なお、ニグシュは、最初は舞台の袖で見ているのですが、アンコールの際には、メンバーに加わって歌うように改められました。

Img_2056_001

そして、ゼータ男爵、ダニロ、ニグシュが「8時からあずまやで秘密会議を行う」という打ち合わせが復活し、三人があずまやに集まる必然性がお客さまに理解できるようになった点も大きいでしょう。

さらに、あずまやでカミュと逢い引き中のベラシェンヌを、ニグシュの機転でハンナと入れ替える場面も、ちゃんとお客さまに見えるように(しかも、ゼータ男爵に見えないように)誘導するなど、役者出身のRobertMeyerらしいお芝居重視の姿勢が光ります。

3幕も2幕同様、大きく変わりました。まず、場面設定が「夜のガーデンパーティ会場」(ハンナ邸と思われます)になりました(ただし、マキシム風にするため、照明が工夫されています)。そして、感動的だったのは、ベランシェンヌが「グリゼッティンの歌」を歌いながら、他の合唱団メンバーと一緒にカンカンを披露するスタイルが復活したところです happy01

Img_2058_001

合唱団のカンカンを踊らせることには、異論もありますが、今回は、その後、本格的にバレエ団が登場し、カンカンを踊るようになっているので、違和感はありません。

そして、本格的にバレエ団が登場してカンカンが披露される場面で、「天国と地獄のギャロップ」が復活しました heart04 。しかも、カンカン・ソリストを入れず、ベランシェンヌ自信がソリストの代役を任せています。当然、歌って、踊れる歌手は少ないのですが、よく思い切った演出に改めたものです。

「天国と地獄のギャロップ」は、当然アンコール付き good 。客席の興奮も一気に最高潮に達します。舞台装置は違いますが、旧演出の「3幕の勢い」が復活した感じですね。なお、踊り子さんのユニフォームも、新演出直後は、モダンな格好だったのですが、この改訂で、コスチュームも定番のカンカン用に戻っています delicious

Img_0803_001_2

カンカン・ソリストによる演技こそ復活しませんでしたが、魅力的な3幕に変身しました。
その後、ハンナとダニロが「唇は語らずとも」を歌う山場では、ギャロップで酔いつぶれた一部の参加者が、舞台後ろで寝ていて、大多数の参加者は舞台から去るという演出に変わっています。当然、照明も二人にスポットライトが当たるように工夫されており、雰囲気が良くなりましたね。

現実、これで上演時間を新演出と同じ2時間30分に収めているのですから、たいしたものです。
面白いのはプログラムに挟み込まれている出演者リストを見ると、演出および脚本はDaniel Dolléのままなのですが、お名前の前に「nach」が付いているのです。

Img_2074_001

演出が、コッソリ改訂されてきた経緯は、観客の大ブーイングであることは間違いないのですが、オリジナルを考えた演出家のDaniel Dolléとの関係(契約期間などの問題)があるためか、こんな表現になっているのでしょうね。

このようにみると、ディレクターの交代というのは、舞台に大変大きな影響を及ぼすことが、実感できます。

confident<「出演者編」に続く>

|

« フォルクスオーパー「メリーウィドウ」こぼれ話 演出編3 | Main | フォルクスオーパー「メリーウィドウ」こぼれ話  出演者編1 »

Comments

Feriさん、saraiです。
いやはや、読み応えのある4回シリーズでした。旧演出が現在の演出にどう変わるのか、4回目でようやく納得です。細かいことはさておき、やはり、リフレインは最重要ですね。saraiが今年の5月の例のビーブルさんの80歳の誕生日記念のメリー・ウィドウを見たときは女・女・女のマーチではリフレインがなく、その代わり、最後のベラシェンヌのフレンチカンカンのリフレインは最高に盛り上がりましたし、saraiも楽しいを通り越して、感動しました。
ほぼ、10年間での変遷ですが、なかなかのストーリーですね。きっと、このようにウィーンの文化が醸成されてきたのかとも思います。やはり、主役はウィーンの観客(民衆)なのですね。
勉強になりました。ありがとうございました。
では、また。

Posted by: sarai | August 26, 2009 at 01:11 PM

saraiさま、心温まるコメント、ありがとうございます。

いずれ「現在のウィンナ・オペレッタ」の状況をまとめてみたいと考えています。

ところで、フォルクスオーパーの「メリーウィドウ」ですが、実は、あと2回、「出演者編」を用意しています coldsweats01 お付き合いのほど、お願いいたします。

Posted by: フェリ | August 26, 2009 at 03:27 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« フォルクスオーパー「メリーウィドウ」こぼれ話 演出編3 | Main | フォルクスオーパー「メリーウィドウ」こぼれ話  出演者編1 »