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October 03, 2009

「こうもり」こぼれ話 国立歌劇場編<1>

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10月最初のオペレッタの話題を「連載」でお届けしましょう。今回は、国立歌劇場で上演されている「こうもり(Die Fledermaus)」にまつわるお話です。

当ブログでも何回かウィーン国立歌劇場の「こうもり」についてお伝えしていますが、最近、記録を整理したところ、色々と面白いことがわかりました。

まず、演出ですが、期間限定の季節公演(1シーズンに4回程度上演)であるためか、Feriが見ている期間中、一切、手を入れていないようです。現在の演出はOtto Schenkによるもので、1979年12月31日(1978/80シーズンということになりますね)がプルミエです。

30年も同じ演出、舞台装置で上演しているのは「驚異」と言っても良いでしょう。最もシーズン商品で、上演回数が限られているので、あえて手を付けていない可能性もありますが…ところで、1980年12月31日公演(グルベローヴァがアデーレで登場している「伝説のこうもり」です)がDVDで発売されていますが、これを見ると舞台装置や演出が、基本的に今と変わっていないことがよくわかります。

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上演時間の長いオペラも上演する国立歌劇場では珍しいことではありませんが、「こうもり」は舞台装置の関係で、3幕2回休憩というパターンです。上演時間は、その時によって若干異なりますが、2回の休憩を挟んで3時間30分となっています(おおむね19時開演、22時30分終演)。

さて、Otto Schenkの演出は、非常にオーソドックスですが、現在、フォルクスオーパーで上演されているプログラムと比べると、国立歌劇場版の方が、若干、細かいお芝居を省略しているような感じがします。

国立歌劇場とフォルクスオーパーの両方で「こうもり」をご覧になった方はわかると思いますが、国立歌劇場の方が全般的に上品な感じがします。これは、別にフォルクスオーパーの演出が下品だと言っている訳ではなく、国立歌劇場の方が人間の気持ちをストレートに表現した「泥臭さ」(人の本性と言っても良いかもしれません)が弱いという意味です。このあたりは、シーズンを通して上演しているフォルクスオーパーとの違い(早い話が、お正月特別講演ですから)かもしれません。

一方、舞台装置も30年前の「古き良き時代」(珍演出が流行る前)の流れを汲んでいます。

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1幕アイゼンシュタイン邸は2階建て構造になっています。寝室や居室が2階にあるようで、ロザリンデがアイゼンシュタインの服を2階まで取りに行っています。このほか、室内のインテリアも非常のゴージャスに作られています(例えば、通常の小道具に加えて、向かって右側には鉢植えを並べた棚があったりします)。フォルクスオーパーと異なり、奥と向かって右側に大きな窓があるのも特徴でしょう(照明の変化で、時間の経過を表している点はお見事ですね)。また、玄関は階段の手前、左側という想定です。

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2幕オルロフスキー邸については、回り舞台を上手に使い、夜会会場とサロンを切り替えています。なお、舞台が広いためか、フォルクスオーパーよりも場面転換が少ないようです。2幕の舞台装置ですが、フォルクスオーパー版では、夜会会場の背景が大きな窓(屋敷の外が見える形)になっていますが、こちらは立派な絵画が掛かっているなど、ゴージャスな大広間の雰囲気を強調しているようです

国立歌劇場の場合、舞台が広いですから、踊りの時には、かなりの人数が出演し、華やかな雰囲気を演出しています。ただし、国立歌劇場版では、イーダがバレリーナとしてバレエ団メンバーと一緒に踊る場面は設定されていません。ちなみに2幕の後半、「 thunder 雷鳴と電光 thunder 」で派手に踊り、皆が倒れ込むという演出は国立歌劇場の方が先に導入したものだったと思います。このほか、「雷鳴と電光」の場面では、途中、アデーレをリフトするシーンが何度か見られます。

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ところで、2幕でハンガリーの貴婦人に化けるロザリンデですが、国立歌劇場版では真っ赤なドレスではなく、白いドレスで登場します(マスクは付けていますが)。そういう意味では、おとなしいイメージがありますね。オルロフスキーの服装が立派なタキシードなので、メゾソプラノ歌手が起用されると「男装の麗人」というイメージが強くなっています。そうそう、オルロフスキーは髭を付けていましたね。

2幕では、アイゼンシュタインとフランクがフランス人に化けて夜会に登場するため、途中でファルケにフランス語での会話を要求されますね。お互いフランス語はまるでダメなので、知っている単語を並べるだけ…これがお客さまには受けるのですが、指揮者がフランス人のBertrand de Billyの場合、会話を指揮者に振るという「おふざけ」が入る場合があります。このあたりがオペレッタならではのユーモアでしょうか(2009年もやっていました)。

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3幕刑務所ですが、監獄が向かって右側の2階にあるという設定です(階段を上って監獄のあるエリアへ行く形になります)。また、フランクの机と窓は向かって右側にあります。

この事務所への入り口(両開き扉)ですが、向かって左側奥になっており、その近くにストーブがあります。雰囲気は良く出ていますね。そして、最後は、全員が「全てはシャンペンの酔いのせい」と歌い、乾杯。アイゼンシュタインがフロッシュに連行されて、監獄に向かうところで、お開きとなります(階段を上って監獄エリアに入るところで幕となります)。

余談ですが、現在、国立歌劇場で販売されている公演プログラムには、ほとんど「日本語のあらすじ」が掲載されています。が、この「こうもり」には「日本語のあらすじ」がありません weep 。シーズン公演である上に、演出の改訂がないため、古い版をそのまま使っていること(使えること)が原因だと思います。

なお、2009年1月3日の時点で、通算上演回数は132回となっています。

※以下、続く notes

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