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October 27, 2009

オペレッタ「酋長アーベントヴィント」

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フォルクスオーパーの2009/2010シーズンでは、オペレッタのプルミエは「小鳥売り」「酋長アーベントヴィント」「ハワイの花」の3公演予定されていますが、「酋長アーベントヴィント」(Häuptling Abendwind)(またの名を「灰色の晩餐会」「Das gräuliche Festmahl」)のプルミエが10月25日に行われました。オペレッタ・ファンのFeriとしては、見逃せない演目ですね。

この作品ですが、Johann Nestroyの滑稽劇に、かの有名なジャック・オッフェンバック(Jacques Offenbach)が曲をつけて、オペレッタに仕上げた作品だそうです。が、日本国内では、どのようなオペレッタなのか,全く資料が入手できませんでした。いわば、珍品中の珍品オペレッタと言っても良いでしょう。

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プルミエでは Béla Fischerが指揮を務めました。キャストは、酋長アーベントヴィント役(Abendwind der Sanfte, Häuptling der Groß-Lulu)がCarlo Hartmann、敵対する部族の酋長ビーバーハーンス役(Biberhahn der Heftige, Häuptling der Papatutu)がRobert Meyer、アーベントヴィントの娘アタラ役(Atala)がElisabeth Schwarz、アタラの恋人アルトゥール役(実はビーバーハーンスの息子、Arthur)がChristian Drescher、アーベントヴィントお抱えのコック役(Ho-Gu, Koch bei Abendwind)がHeinz Zuberという面々でした。

Carlo HartmannとRobert Meyerが共演するだけでも見物ですね。

このオペレッタですが、通常のフルオーケストラによるグランド・オペレッタと異なり、小編成のアンサンブルによるホール・オペレッタ形式で上演されました。指揮のBéla Fischerがキーボードを兼任し、その他の奏者は都合9名。全員が舞台衣装(アーベントヴィントが率いる部族のコスチュームを身にまとっていました)で舞台上の左側に陣取っていました。また、オーケストラピットはジャッキアップされて、海をもした感じに仕上げられていました(島のお話なので)。

また、通常のプロンプターボックスが使えないため、プロンプターさんも舞台衣装を身にまとい、舞台上、右側に陣取っていました。遠くから観ると、配役の一人…と行った感じに見えましたね。

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さて、お話ですが、舞台は未開の島です。酋長アーベントヴィントは、敵対する部族の酋長ビーバーハーンスと和解するために宴会を企画します。ところが、連日、猟がうまくいかず、ご馳走が準備できずに、あせっています。そこに娘のアタラが、船が難破して島にたどり着いた青年アルトゥールといっしょにやってきます。当然、アタラはオルトゥールに首ったけです lovely

実はアルトゥールはビーバーハーンスの息子なのですが、その昔、ビーバーハーンスがヨーロッパへ理髪師の修行に行かせたのです。しかしビーバーハーンスもアルトゥールも、20年以上、一度も会っていないため、互いの顔を覚えていないのです(何やら、「かの地から来た従兄弟」のような展開ですねぇ)。

酋長アーベントヴィントはアルトゥールを見るや、さっそく宴会のための食材(生け贄)にすることを思いつき、コックにアルトゥールを捕らえて料理するように命じます。

ところが、アルトゥールは、自慢の理容技術でコックの髪を見事に仕上げて、アーベントヴィントやアタラには内緒で、逃がしてもらいます(何がお料理に入ったかは内緒 coldsweats01 )。

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アーベントヴィントとビーバーハーンスは「謎の料理」(まるで闇鍋のようです)を食べながら歓談をするのですが、お互いに自分の妻を食べてしまったのではないか…とった話で盛り上がります。宴途中、食事の中からアルトゥールの懐中時計が出てきます(実際はビーバーハーンスが食べてしまうのですが)。

これを見たアタラは、アルトゥールが料理されてしまったのでは…と不安に。また、ビーバーハーンスはアーベントヴィントに、自分の息子アルトゥールとアタラの縁談を持ちかけます。

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アーベントヴィントは、さっき料理をするように命じた青年がビーバーハーンスの息子だったのではないかと気づき、大慌て。ところが、アルトゥールはコックから逃げて、無事だったのです(無事だったアルトゥールが出てくる場面が大ネタネタなので、それは観てのお楽しみ。ただし、「南の島」のシロクマがキーワード delicious )。


結局 アルトゥールとアタラと結ばれ、それをきっかけにアーベントヴィントとビーバーハーンスが率いる両部族が和解するというお話です。上演時間1時間30分、1幕というコンパクトなオペレッタです(まぁ、この内容だと、この時間が妥当でしょうね)。

ちなみに、この作品、以前、ロベルト・マイヤーがアカデミー劇場で「酋長アーベントヴィント」を一人漫談形式で演じたことがあるようです(この時は、マイヤーは主人公アーベントヴィントをウィーン方言、ビーバーハーンスをバイエルン方言、そしてアタラを標準語で話し、性格の違いを演じ分けていたそうです。何という芸達者な方…)。そのような経緯もあり、今回、「埋もれたオペレッタ」として発掘したのでしょう。何しろ、オペレッタ版を観た人は、ほとんどいないと思います。

そういう意味で、ベテランのオペレッタファンから「旧演出は良かったねぇ」というお小言は絶対にでないでしょう。考えましたね。

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さて、今回の「酋長アーベントヴィント」ですが、従来のグランド・オペレッタに対して、少人数で、かつ舞台装置を簡素化して上演するホール・オペレッタ形式だったのですが、これはRobert Meyerが、「今後、フォルクスオーパーでは、この手のオペレッタを上演することも必要である」との考えから、実験的に導入したもののようです。確かに予算などを考えた場合、中途半端なグランド・オペレッタを上演するより、気の利いたホール・オペレッタの方が良いかもしれません confident

このオペレッタは、お芝居が8割を占めるので、演技ができないと話になりません。その点、今回、起用されたCarlo Hartmann、Robert Meyer、Heinz Zuberは、皆、お芝居が上手ですから見応えのある舞台になっていました。とくにRobert Meyerが出てきたからは、見事でしたね。Robert Meyerも2シーズン経験し、ある程度、お芝居を前面に出した出し物でも、いける(つまり歌役者がそろっているという意味)と判断したのでしょう。そのため、言葉が理解できないと、十二分に楽しめない…というデメリットはありますが。

また「聴かせる歌」がほとんどないため、音楽志向の強い方には向かないかもしれません。舞台装置も非常に簡素ですが、逆にチープな感じはせず、物語の内容とも良くマッチしていたように思います。

いずれにしても、実験的な要素が多いオペレッタでしたが、マイヤーの着眼点には脱帽です。それにしても、マイヤーがディレクターになってから、フォルクスオーパーは良くなりましたね。今後も大いに期待しましょう heart04

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Comments

Feriさま
日本とオーストリアの間を神出鬼没のように往復なさっておられるようですね。
さて、10月19日のOperetttsと20日のDer Vogelhändlerを観てきました。どちらもFeriさんご紹介のように大変楽しくて、行った甲斐がありました。
Operetttsでは殆ど満席の観客の乗りも大変でしたね。OffenbachのDie Schöne Helenaの曲も入っていたようですね。
Der Vogelhändlerの方は、Marieを演じたSteinbergerさんが素敵でしたし、Schüffle, Würmchenのとぼけた演技には抱腹絶倒させられました。
ところで今日の貴ブログに関連するかもしれませんが、Hofburgの広場でKathorische Militärseelsorgeという軍事展示の準備が行われていましたが、カトリックの国オーストリアならではの感じでした。
EisenstadtでのHaydn関係の展示も観てまいりました。
また、貴ブログで素敵なオペレッタのご紹介を頂いて、それを観にウィーンへ行けたらと願っています。

Posted by: Njegus | October 28, 2009 at 10:13 AM

Njegusさま

コメント、ありがとうございます。また、私のつたない記事がご参考になったようで、嬉しく思っております。

「酋長アーベントヴィント」ですが、現地の新聞評はあまり芳しくないようです(当たり前ですが、マイヤーは絶賛ですが)。ただ、私個人の印象としては、地元のお客さまの受け方から、それなりに良い仕上がりだったのではないか…と思っています。

ヘルデンプラッツの国防軍イベントですが、26日の建国記念日(Nationalfeiertag)にあわせて行われたものです。

こちらも後日ご紹介する予定です。

Posted by: フェリ | October 28, 2009 at 05:37 PM

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