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October 29, 2009

ドイツ語版「リゴレット」は…

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2009/2010シーズンで、フォルクスオーパーに登場した新しいプログラムにヴェルディの名作「リゴレット」があります。

日本のファンにもおなじみのポピュラーな演目ですね。通常はイタリア語上演ですが、何とフォルクスオーパーでは、果敢にも(一部、無謀にもという声あり)ドイツ語版の上演を試みました。

プルミエではありませんでしたが、Feriも観てきましたので、その模様をご紹介しましょう。

Feriが観た時は、Manlio Benziが指揮を務めましたが、この人は、当面「リゴレット」だけ振るようですね。
実は、フォルクスオーパーの「リゴレット」ですが、プルミエからケチがついたようです。というのは、Der Duca役(マントヴァ公爵)に予定されていたMichael Endeが病気で、降板。また、Gilda役に予定されていたAlexandra Reinprechtが、理由が不明ながら、突然の降板。主役級二人が降板とは…

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当日のキャストですが、Der Duca役はOliver Kook(結局、この人がプルミエも登板したようです。東洋系の方)、Rigoletto役はVitomir Marof(セカンドクルーのメンバーです)、Gilda役はJennifer O´Loughlin(当初、セカンドクルーだったらしいのですが、プルミエにも急遽、登板)、殺し屋Sparafucile役はYasushi Hirano(日本人ですね。セカンドクルーです)、Maddalena役は,Alexandra Kloose、Giovanna役はSulie Girardi、Graf von Monterone役はPeter Wimberger、Marullo役はJosef Luftensteiner(オペレッタでおなじみの歌役者さん。オペラでは初めて見ました)、Borsa役はPaul Schweinester、Graf von Ceprano役はEinar Th. Gudmundsson、Gräfin von Ceprano役はMara Mastalirといった面々でした。

実は、プルミエの新聞評で、「指揮者によって、こんなに演奏が違うのか 」(今回は悪い方で)と書かれてしまったため、演奏の巻き返しに気合いが入っている感じがしました(実際、開幕前にピットで熱心に練習していました)。

「リゴレット」は16世紀のイタリア・マントヴァでのお話です。ところが、今回のフォルクスオーパー板では、設定がイタリアの 撮影所(ローマのようです)になっています。では、マントヴァ公爵は…というと撮影所の看板スターになっていました。

看板スターだから、わがまま三昧。女性に目がない…というリアルな想定です(いますよね、看板スターになると、偉くなったと勘違いしてしまう人が… )。とにかく序曲の場面が、映画の撮影シーンなのには驚きました。ちなみに撮影している映画は「LA MALEDIZIONE」という題のようです(どうも「呪い」といたようなニュアンス)。そういえば、「リゴレット」は、呪いがテーマにもなっていましたね

その後、クランクアップしたので、撮影所のスタジオで打ち上げになりますが、マントヴァはすぐに撮影所の女性に手を出す始末。しかも、女性が最後はトップレスになって、マントヴァと舞台上で絡むシーンがあるのにはびっくり仰天 (この女性がチェプラーノらしいのですが…)。よくやりますねぇ。ちなみに写真、右側がJosef Luftensteinerですが、映画監督か、プロデューサーみたいな感じの役でした。

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ジルダ役Jennifer O´Loughlinはちょっと太めながら、清楚な感じが良く出ていました。また、歌のレベルも高く、お芝居もうまいですね。新聞で好評価だった理由がわかる気がします。ただ、タイトルロールのリゴレット役Vitomir Marofは、ジルダの親父にしては軽すぎる感じがして、ピンと来ませんでした。

なお、リゴレットも道化師ではなく、撮影所の職員(何の係かは存じません )みたいな感じの設定でした。そのため、最初は誰がリゴレットだか、すぐには理解出来ませんでした。

リゴレットの自宅へ学生に扮したマントヴァがやってきて、家政婦を買収し、逢い引きをするところは、基本的にオリジナルと一緒です。この時の嬉しそうなジルダが、なかなか良かったですね。

そして、ジルダが、撮影所の職員達(本来はマントヴァの家来)に誘拐されるところで1幕は終わります。その際、自宅に戻ったリゴレットは、「チェプラーノを誘拐するから、手を貸せ」という話に乗ってしまい、愛娘の誘拐に手を貸してしまう…という展開はオリジナルどおりです。演奏や歌は思ったほどはひどくなかったのですが、ドイツ語版なのにドイツ語字幕付きということは、歌にかなり無理があるのでしょう(つまり、理解しづらいのでしょうかねぇ )。

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休憩の後、2幕に入ります。2幕は撮影所の試写室。ここでマントヴァが、自分が出演した映画「LA MALEDIZIONE」の試写を見ています。そこへ、撮影所の職員達がジルダを拉致したことを伝えて、マントヴァは勇んでジルダのところへ。リゴレットがジルダを探して撮影所に来ると、シャツだけをまとったジルダが奥から登場。このあたりは、完全に今風の演出ですね。リゴレットの説得にもかかわらず、ジルダはマントヴァに思いを寄せます。

ところで、2幕ではモンテローネが警備員の拳銃を奪い、拳銃自殺する場面があります。そもそも、モンテローナは撮影所で、どういう役所なのでしょうね

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暗転で3幕へ入ります。3幕は撮影所近く(もしくは映画館でしょうか)のバーという設定です。壁には「LA MALEDIZIONE」の看板が掛かっています。ここでの聴き所は「女心の歌」ですね。Oliver Kookは、体格が良いので、声量は十分あります。

ただ、「いやらしい女たらし」という雰囲気はちょっと弱い感じがしましたね。後で、写真を見たら、Oliver Kookは顔が優しいのですね。このバーはスパラフチーレが経営しているようです。

バーでスパラフチーレの妹とマントヴァが、イチャイチャしているところをジルダに見せて、マントヴァへの思いを断ち切らせようとする訳ですが、結局は、自分がマントヴァの身代わりになってスパラフチーレに殺されるという展開は、オリジナルのままです(普通は、居酒屋兼旅籠でマントヴァとスパラフチーレの妹が逢い引きをする展開ですよね。まぁ、バーでも無理はないですかね)。ところで、日本人のYasushi Hiranoさんですが、メイクの関係からか、東洋系の人にはあまり見えませんでしたね。演技もなかなかで、今後、期待できそうです。

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舞台装置などはフォルクスオーパーの「トスカ」よりはまともですが、近代演出なので、オリジナルの役と今回の役がつながらず、理解するのに時間が掛かってしまいました。流石に、この演出ではウィーン子からブーイングが出たのはわかる気がします。しかし、Feriが観た日は、途中で席を立ったお客さまはいなかったようですね。

Feriは、今夏、サンクト・マルガレーテンで正統派の「リゴレット」を観ただけに、ギャップの大きさには驚きました。ただ、オリジナルを知っている人にとっては、色々な意味で楽しめる舞台だと思います。

ただ、初めて「リゴレット」をご覧になる方には、お勧めしかねますね。一度、正統派をご覧になった方が良いでしょう。

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Comments

Feriさま☆

おぉー、これがお電話でおっしゃっていたドイツ語版リゴレット!!
(リゴレッテン?!

言語が違う上に斬新な設定。。
おっしゃるとおり、まずは普通の体験をしてからでないと「そういうもの」になってしまう危険性がありますね。。

リゴレットは他のヴェルディのオペラに比べてちょろっと短いのが取り柄(?)。
私にとってリゴレットの週末午後公演で次が数日休みの日は、その時仕事をしていたスイスからザルツブルクへの最後の電車に間に合う日、となっていました。
スイスでオペラの仕事してたのはもう9年前ですぅ。
@。@;;;

お恥ずかしいことに、観たことはありません。。。

まずはオーソドックスな演出で、イタリア語で、観たいと思います!

Posted by: lara | October 29, 2009 18:58

laraさま、コメント、ありがとうございます。

実は、一番のキモは「ドイツ語版なのにドイツ語字幕付き」というところ。ドイツ語のつたない私でも、「何語で歌っているのかなぁ」といっしゅん迷う場面がありました。

Posted by: フェリ | October 29, 2009 19:39

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