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October 15, 2009

ULFのハイテク技術(後編)

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昨日に引き続き「ULFのハイテク技術」をお伝えしましょう。今日は、いよいよ分解しているところをご覧に入れます。

ULF最大の特徴は「ドアのところの床面の高さが19センチしかない」ということでしょう(ちなみに、同じシーメンスが製造しているコンビーノと呼ばれるタイプの床面高さは30センチです)。しかも、床は全面フラットです。そのため、あっと驚く仕掛けが採用されています。

それは「左右の車輪が独立し、それぞれにモーターがついている」ということです。つまり、車軸で左右の車輪がつながっていないのです 。では、車輪やモーターは,どこにあるかというと、実は車体の連接部分に取り付けられています。この場所は狭いため、何とモーターは「車輪の上」に、垂直に取り付けられているのです。

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話には聞いていましたが、本物を修理工場で見たときには、正直、驚きました。しかも、車輪を支えるバネなどの緩衝装置は、「モーターの上」に取り付けられています。実質的には屋根に近い場所に緩衝装置がある訳です。言うなれば台車が縦になっているようなものです。

そのため、超低床式ながら車輪の直径は680mmです(通常の超低床式電車では、小口径車輪を使う場合があります)。

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ただ、特殊構造のため、車輪の取り外しなどの作業には、専用の器具が必要なようです。実際、工場の公開時にも車輪取り外しのデモンストレーションを行っていましたが、変わった器具を使っていました。

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さらに、興味深いのはカーブでの走行性能を向上させるため、先頭車輪に図のような「舵取り装置」が付いているようなのです。これは、一輪式のため、結果として車輪間のホイールベースが長くなることから、導入されたものだと思います。その関係からか、車端部分の車輪にはモーターが付いていません。

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このように左右の車輪を独立させると場合、モーターの付いている車輪は、両輪の制御が難しいというデメリットがあります。しかし、ウィーンでは量産車でも、この構造を引き継いでいるところから、高度な電子制御技術を確立しているものと思われます。ウィーンのハイテク技術も侮れませんな(最もシーメンスは、もともとドイツの会社ですが )。

では、電車に必要な電気部品は、どこについているかというと、全て屋上に取り付けられています。今回、車両工場では屋根上点検用の足場に登ることができたので、ULFの屋上をつぶさに見ることができました。

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さすがに最新型の電車だけあって、屋上は電子部品が所狭しと並んでいました。写真では、内部を見ることができるようになっていますが、通常は、雨水などが入らないように、しっかりと蓋が閉められています。

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以前、当ブログに「大雨で道路が冠水しているとき、ULFが水をかき分けて走
っているのを見た
」というコメントをいただきましたが、モーターが車輪の上にあるという構造ならば、客室に水さえ入らなければ、走ることは可能でしょう。

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このほか、車体についても最近のバスに見られる「スケルトン構造」(骨組みに外板を張り付ける方式)になっていることが確認できました。

このULFですが、現在も2次車(TypeA1とTypeB1)の製造が続いており、2014年までには、発注されている全車両がWIENER LINIENに引き渡される予定になっています。

ところで、今年の8月、ビックリするニュースが入ってきました。「ULF炎上」というニュースです。7月末、67系統で発生したそうです(新聞社のWebサイトの写真を見ると635号車のようです)。

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乗客が炎に気づいて、運転手が電車を緊急停止させて、ドアを開けて全員が避難しました。幸い、人的被害は発生しなかったようです。原因調査にともなって、発注中の車両の納入は一時見合わせになったようですが、その後、続報が入ってこないのが、ちょっと心配ですね。構造上の問題だと、大変なのですが…

余談ですが、U6に使用されているType TもULFに似たような感じですが、こちらは車体の下にも台車があるタイプです。また、メーカーもULFと異なりLohner-Werkeという会社が製造を担当しています(Lohner-Werkeは、現在、合併などによりBombardier Wien Schienenfahrzeuge、ボンバルディア・ウィーン鉄道車輌:BWSとなっています)。

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Comments

路面電車、大好きです。
ヨーロッパに行くと、どの都市にも路面電車がありますね。

古い街角を路面電車が走っているとついカメラを向けてしまいます。

街路樹の横は走るウィーンの路面電車は本当に絵になります。

日本にも昔は路面電車が多くの都市にあったのに、車至上主義という貧困な思想がはびこったためほとんどが撤去されたようです。
これからは環境と人に優しい路面電車が復活して欲しいものです。

Posted by: qq | October 22, 2009 11:36

qqさま、コメント、ありがとうございます。

私もウィーンに居るときは、地下鉄よりも路面電車を使うようにしています。なにしろ、街の風景を見ることができますからね。

日本でも、ウィーンのULFに近い車両が走り出すなど、復権の動きが出てきたのは、良いことだと思っています。

ただ、日本とヨーロッパの一番の違いは、線路なのですよね。qqさまもお感じになったと思うのですが、あちらの路面電車は乗り心地が良いのですが、その一つの理由に「線路が良い」ことがあります。実際、工事中の現場を見ると、普通の鉄道のようにしっかりとしています。

Posted by: フェリ | October 22, 2009 15:43

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