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October 14, 2009

ULFのハイテク技術(前編)

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日本では10月14日が「 鉄道の日」なので、それにちなんで、今日は「路面電車の話題」をお届けしましょう。

現在、ウィーンには通常、三種類の路面電車が営業運転についています(観光用のオールドタイマーなどは除きます)。その中で、一番新しい車両がULF(Ultra Low Floor)と呼ばれる超低床式電車です。

モダンなデザインなので、ウィーンの古い街並みには似合わない…という声も聞きますが、利用する側からすると、ステップがない分、乗降が楽なので助かります。 特に足の悪い方やベビーカーなどを使っている方には、便利だと思います。実際、ベビーカーを普通の路面電車車内に乗せるには、誰かの協力が必要ですからね。

このULFですが、超低床式にするため、実は色々な工夫がなされています。
今回、Tramwaytag2009が中央車両修理工場(Hauptwerkstätte Simmering)で開催されたため、修理中(要するに分解されている)ULFをつぶさに見ることができました。非常に興味深かったですね。

そこで、普段は見ることが難しいULFの細部を写真入りで、2回に分けてご紹介します

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まず、ULFは、今から15年前の1994年に試作車(PROTOTYPEN)の製造が開始され、1995年3月に完成しました。ただ、いきなり試作車の製作に入った訳ではなく、その前にULFに導入する新技術や仕様を確認するための試験が、在来型の車両などを使って行われたようです。

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この試作車は、量産車とは車体の塗り分けが異なっていたようです。ちなみにULFの開発に当たっては、色々な車体デザインが見当されていたようです。写真のイラストは、ごく初期のものですが、ずいぶん今のULFとは雰囲気が違いますね。最終的にはシーメンス(Siemens SGP Verkehrstechnik シーメンスSGP交通技術)が提案した案が採用されました。ちなみに、デザインはポルシェが担当しています。

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その後、各種テストを重ねて1996年から量産車(1次車)の製造が開始されました。なお、ULFは全長24.21メートルのType A(3車体、60kwのモーター6個を装備し、座席42名、立ち席94名)と、全長37.47メートルのType B(5車体、60kwのモーター8個、座席66名、立ち席141名)の二種類があります。ちなみに、車体幅は2.4メートとなっています(日本の路面電車の車体幅も2.4メートルのものが多いようです。また、日本では法令で路面電車の全長は30メートル以内に制限されています)。

それぞれに1次車と2次車があり、便宜上、Type A(1次車、車両番号1~51)、Type A1(2次車、車両番号52~131、現在91番まで落成)、Type B(1次車、車両番号601~701)、Type B1(2次車、車両番号702~771、現在706まで落成)と呼ばれています。

車両番号が連番なので、1次車と2次車の区別がつきにくいですね (日本でしたら2次車は1000番台といった番号を付けそうです)。

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ちなみに、2次車最大の「売り」は エアコンが装備されていることです。それ以外にも、細かい改良が加えられていますが、普通の人にはほとんどわかりませんね(左の写真はエアコンが付いていない1次車の車内です。車体間のふくらみにヒミツが…詳しくは明日をお楽しみに )。

ちなみに、ULFのエアコンは、日本のように「ギンギンに冷やすもの」ではなく、極端な温度上昇を抑える程度の能力しかないようです。余談ですが、日本でシーメンスからコンビーノという低床式電車を導入した際、エアコンの能力不足が問題になったそうです。

ところで、ULFの運転席は、通常、客席と完全に仕切られているため、見ることはできません。今回は、点検中のところを見ることができたのですが、何と運転装置が車体側ではなく、運転士の椅子に付いているのです。

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通常、マスターコントローラー(普通、マスコンと呼びます。自動車のアクセルにあたるもの)とブレーキのハンドルは、車体側の運転台に取り付けるのが一般的です(最近、日本ではワンハンドルタイプと言って、一緒になっているものが増えています)。

ところが、ULFでは計器板や各種操作スイッチは運転台に付いているのですが、コントローラーはジョイスティック式の小さいものが、運転士の椅子左側に付いています。また通常の運転に必要な操作スイッチ(ドアの開閉など)は右側に取り付けられていました。

ところで、建設重機の場合、このように椅子側に操作レバーなどを取り付けているケースが多いので、これに倣ったデザインということになりますね。日本の場合、逆に簡単に触れることで機器が動作するのを防ぐという意味から、ある程度、重要なハンドルは、ある程度、力を入れないと動かないようにしているという話を聞いたことがあります。このあたりは、明らかに発想の違いですね(もちろん、安全装置は組み込まれているとは思いますが…)。

頭の固いFeriなどは、このジョイスティックで電車を運転するというのは、どうもピンと来ませんね

明日に続く…

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Comments

Feriさん、saraiです。

言われて初めて、ウィーンに低床式のトラムが走っていることが分かりました。昔の高い段差のあるトラムの印象が大きかったので、何だかウィーンのトラムは低床式はないと勘違いしていました。きっと、いつも低床式にトラムに無意識に乗っていたんですね。

今を去ること、大昔の1992年に母親(老母です)を伴って、ウィーンに行き、オペラを見るためにインペリアルホテルの前あたりの停留所からトラムに乗ろうとしました(たった一停留所なんですが)。そこに来たのが例の段差のあるトラム。母がステップに足をぶつけ、足をひどく切ってしまい、ホテルで治療しても出血が止まらず、何と救急車を呼ぶ羽目に。
このインパクトが大きいため、ウィーンのトラムといえば、高床式と頭にこびりついていました。

今は低床式が主体なんですね。

Posted by: sarai | October 14, 2009 16:53

saraiさま、コメント、ありがとうございます。

ウィーンは日本と違って、路面電車の場合、一つの路線をすべて新型車両に統一するということがありません。また、車両の新製ものんびり(予算の都合でしょうが)やっているため、なかなかULFが増えて異な印象がありますね。

ただ、在来車も、まだまだ活躍しそうです。

Posted by: フェリ | October 14, 2009 18:27

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