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December 09, 2009

フォルクスオーパーに「ルクセンブルク伯」が再登場

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オペレッタファンの皆さん、お待たせしました。今日はフォルクスオーパーの「オペレッタの話題」です。

フォルクスオーパーの2009/2010シーズンで、再演されることになった演目にレハール作曲の「ルクセンブルク伯」があります。2005年10月1日のプルミエでは、中嶋彰子さんがアンゲリカ役を務めて、話題になりましたね。

さて、久しぶりの再演となった「ルクセンブルク伯」。ディレクターが代わって初めての再演ですから、興味がありますね。今日は、その模様をお伝えしましょう。

実は、11月27日の再演1回目では、何と中嶋彰子さんがアンゲリカ役で起用されました(いわゆるスペシャルゲストですね)。やりますねぇ。マイヤーさん。
ただし、Feriが観たのは11月27日ではありません。残念無念 weep 。出演者リストを見ると、27日は「同窓会」みたいな雰囲気ですね。

当日の指揮はMichael Tomaschekが務めました。最近はあまり登場する機会がないMichael Tomaschekですが、Feriの好きな指揮者の1人です(トップ写真、中央の方)。

キャストは、アンゲリカ役( Angelika)がBirgid Steinberger(今シーズンは「小鳥売り」で大公妃マリー役を演じています)、ジュリー役( Julie)がAndrea Bogner(これはご機嫌)、アナスタシア役 (Anastasia)がRegula Rosin(この人は2005/2006シーズンでもアナスタシア役を演じています。一度観たら忘れない個性的な方。「小鳥売り」ではアデライーデ役で出演していました)、タイトルロールのルクセンブルク伯ことルネー役はSebastian Reinthaller、マンフレッド役はおなじみのThomas Sigwald、ロシア領事バジール役はWolfgang Gratschmaier(2005年のプルミエの時はHeinzZednikだったので、ちょっと残念)、ホテルの支配人にはGerhard Ernst(「メリーウィドウ」ではニグシュ役。お忙しいこと)といった面々が務めました。このようにキャストを見ると、「実力派を揃えた手堅いキャスティング」であることがわかりますね。

余談になりますが、2005年のプルミエでは、今では「operettts」などにも登場し、看板歌手の1人に成長したMehrzadMontazenが、タイトルロールのルクセンブルク伯に起用される予定だったのですが、直前に「仕上がりに難あり」ということで、MiljienkoTurkに交代しています。

ところで公演プログラムは2005/2006シーズンのものを、そのまま販売していたので、演出は基本的に変えていないようです。

第1幕は、カーニバルの狂騒がクライマックスを迎える「薔薇の月曜日」という設定です。町の広場でルクセンブルク伯こと、ルネー・グラーフが仲間と騒いでいるシーンで始まります。軽快な音楽で、テンポの良い展開ですね。ただ、ルネーが最初に一発歌い上げる場面があるので、歌手にとってはそれなりに大変な出だしです。

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その後、ルネー・グラーフの親友であるマンフレッドと、その彼女であるジュリーとのやりとりが、部屋の中で続く。このあたりは出演者がAndrea BognerとThomas Sigwaldなので、お芝居の上手なこと。広場から部屋への転換は、フォルクスオーパー得意の回り舞台を上手に使い、スピーディーに行われました(これは、2005年当時と同じ)。

そこへ、ドラマのキーマンであるロシア領事バジールが登場します。2005年はHeinzZednikだったので、さすがに今回はスペックダウンです。Wolfgang Gratschmaierは「愛人を囲うようなお金持ちの熟年」という雰囲気ではありませんでした(というか物語上の設定を変えている可能性もありますね confident )。

バジールは、自分が愛人にしたい女性を、ルネーと偽装結婚させる「伯爵夫人」の称号をアンゲリカにつけて、自分が結婚する際の体裁を保とうという企てです(貴族が体裁に気を遣うあたりがオペレッタらしいところ)。

高額な報酬に目を奪われたルネーは謎の女性(アポロ劇場の歌手アンゲリカ)との偽装結婚を承諾しますが、何と言っても第1幕の聴き所は、結婚を前にアンジェールの歌う「今日から私は人妻になるのね」から、お互い誰とも知れぬ相手と結婚式をあげるルネーとアンゲリカによる「微笑みかける幸福よ」にかけての場面ですね。今回は実力派の歌手が起用されたので、聴き応えがありました。

第2幕は「カーニバルの火曜日」で、アンゲリカが「お別れ公演」で出演しているアポロ劇場のホワイエが舞台です(何やら「チャールダーシュの女王」のような展開。ここも回り舞台を使い暗転なしで移動)。ここでルネーは「謎の女性」がアポロ劇場にいることを知り、やってきます。アンゲリカを見たルネーは、彼女に魅了されますが、2人のデュエットが聞き所ですね。レハールらしい美しいメロディが雰囲気を盛り上げます。

また、2幕でもマンフレッドとジュリー(アポロ劇場のバレリーナという想定)との「恋のやりとり」がありますが、ここではかつて「メリーウィドウ」の3幕で良く使われた「Ich hol dir vom Himmel das Blau」が、マンフレッドとジュリーのデュエットで歌われていました。これは前半の時間調整的な意味合いがあるようです。Andrea BognerとThomas Sigwaldは、ここでも魅力全開でした heart04

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「ルクセンブルク伯」は本来、3幕もののオペレッタですが、現在のバージョンでは2幕を若干延長して、分割の上、途中で休憩を入れるという方式をとっています。この演出は5年前と全く同じです。アンゲリカとルネーが、お互いを愛し合っていることを認め、そこへバジールが介入してきて、離ればなれになるシーンで休憩となります。

wine 休憩後の再開も、ちょっと前に戻ってからスタートしました。ちょうどテレビでコマーシャルの後に、前のシーンをちょっと流す手法ですね。

アポロ劇場のホワイエで、最終的にルネーがアンゲリカを愛していることを、集まった仲間の前で再度告白し、バジールを振り切り、2人でホテルへ出かけるシーンで2幕は終わります。狂乱するバジールをよそに、ルネーの愉快な仲間が祝福していますが、このあたりも共演陣の細かいお芝居が光る場面です。

ところで2幕の後半、バジールが酔って歌いながら踊るシーンがあるのですが、ここでネクタイを外して、放り投げたところ、オーケストラピットに落下(意図的にやった感じがするが…)。オーケストラピットが大受けでした。このネクタイ、しっかりオーケストラピットから舞台へ戻り、その後、再びバジールの首へ…(完全な身内ネタですね)。

2幕から3幕へも暗転ではなく、回り舞台を上手に活用し、ホテルのシーンへ移行します。その際、バジールの妻、アナスタシア(RegulaRois)がタクシーに乗って登場しますが、このタクシーには色々と仕掛けがあり、大いに笑いを誘います(これも5年前と同じ仕掛け)。

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3幕のスタートはアナスタシアがホテルに到着するシーンから始まる。「気性の荒いロシアのマダム」という想定で、オーバーな演技で観客を引き込みます。5年たってもRegulaRoisの熟年パワーは健在です。「小鳥売り」のアデライーデ役よりも、こちらの方が本人も乗って演じて居たような気がしました。

アナスタシアはホテルの従業員を強引に部屋に連れ込んで、さっそくお楽しみ…という演出も健在。そこへマンフレッドとジュリーがやってきて、盛り上がりながら部屋へ入っていきます(Thomas Sigwaldのとぼけたお芝居が見事です)。さらにバジールがホテルへ戻ってきて、妻が来ていることを知り、びっくり仰天するという筋書きです。それまで、強面だったバジールが妻の前では、借りてきたネコ状態になってしまうところが面白いのですよ。

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最後は、バジールがルネーに結婚指輪を渡し、愛人契約の解除を伝えます(そうしないとアナスタシアに八つ裂きにされそうです)。そして、軽快なエンディングに乗って、3組のカップル(ルネーとアンゲリカ、マンフレッドとジュリー、バジールとアナスタシア)の誕生を仲間が祝福するというストーリーです。さた、エンディングで、ちょっとした「仕掛け」が用意されていますが、これは観てのお楽しみ…にしておきましょうね happy01

前回、観たのが5年前であるため、記憶が定かではないが、今回の方が、お芝居が全体的にブラッシュアップされているような感じがしました。特に主演クラスよりも、周囲を固める共演者に、その傾向が強く感じられました。このあたりはロベルト・マイヤーの方針かもしれません。

また、ルネーとアンゲリカ、マンフレッドとジュリーには実力派の歌役者を起用しているため、全体的に聴き応えのある舞台になっていました。ただ、久しぶりの上演ということもあり、演奏やコンビネーションなど、全体的にこなれていない部分もありましたが、オペレッタの基本である「楽しく、そして元気に」を体現していたと思います。

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ところで、よく「ルクセンブルク伯」を“レハールの「ラ・ボエーム」”と評する向きもありますが、Feriの見方は異なります。こちらは、貧しいながらも、皆、したたかで、貴族をコケにする庶民の活力ある生活を表現していると思います。「ラ・ボエーム」的な悲壮感(爪に火をともす生活)はなく、何とか這い上がってやるぞ…という活力が感じられますね。「ルネーと愉快な仲間達」といったノリです。

しかし、同じレハールの作品でも「メリーウィドウ」に比べると、曲の作り方も含めて雰囲気がずいぶんと違います。とくに「ルクセンブルク伯」では、オペラのような notes聴かせるアリア」が随所に入っており、その点でもキャスティングに苦労する演目かもしれません。

元々の演出が比較的「まとも」だったことに加えて、お芝居をブラッシュアップしたため、寄り魅力的な舞台になっています。Feri、お勧めの作品です。

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