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December 19, 2009

POPオペラ「アントニーと鬼」の仕上がりは?

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今日は、フォルクスオーパーの「ちょっと変わったオペラの話題」です。

現在、ディレクターを務めているロベルト・マイヤーのコンセプトは、子供からお年寄りまで楽しめる演目があるフォルクスオーパーだそうです。

今シーズン、ロベルト・マイヤー自身が演出も手がけるChristian Kolonovits作曲のオペラ「アントニーと鬼Antonia und der Reißteufel)」が12月13日にプルミエを迎えました。基本的にオペレッタ中心に観ているFeriは、このPOPオペラにあまり関心がなかったのですが、最近になって出演者を見てびっくり仰天。オペレッタにも出演している歌手の皆さんが、多数起用されているのです 。演出を担当したロベルト・マイヤーとしても、力が入っている演目であることがわかります。

たまたま13日に時間がとれたので、のぞいてきました。ただし、「諸般の事情」から、席は天井桟敷(Galerie)となりました

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ところで、当日の公演ですが、通常のプルミエ表示ではなくUraufführung(初日)となっていました。チケットの方はプルミエ(PREMIERE)と印刷されていたのですが…

当日の指揮は本作品の作曲者でもあるChristian Kolonovitsご本人が務めました。

キャストですが、Antonia役がJohanna Arrouas、Reißteufel(鬼)役がDaniel Schmutzhard、無言の使用人Jonathan役がMartin BermoserコウモリのRoby役がThomas Markus、コウモリのToby役がMartina Dorak(何という贅沢な…)、Urstrumpftante役がUlrike Steinsky(こんな人まで引っ張り出して…)、Zeitenfresser役がMartin Winkler、Zeitenfresseの手下Eile役がMara Mastalir、Sorge役がSulie Girardi、Stress役がWolfgang Gratschmaier、Neid役がThomas Sigwald(悪役です)、Gier役がKurt Schreibmayer(何でこの人が?)という蒼々たるメンバーでした。

しかし、タイトルロールのJohanna Arrouas以外、ほとんどの出演者が特殊メイクをしているため、正直誰が誰だかよくわかりません。

序章および全7場から構成されていますが、全員がワイヤレスマイクを使っており、オペラというよりは、創作ミュージカルといった趣です。演奏前にオーケストラピットを上からのぞいてみると、楽器の配置が通常のオペレッタやオペラとは全く異なる上に、余り見ない楽器も入っていました。当然、オーケストラメンバーも男性はノーネクタイ。フォルクスオーパーのミュージカル・スタイルです

実際、音楽も 軽快なポップス調の曲 が中心でした(一部では、難解な現代音楽か…という予測もありましが、子ども向けなのでわかりやすいメロディーラインでしたね)。日本だと「子ども向け創作ミュージカル」という副題が付きそうです。

ファンタジーの世界なので、舞台装置は比較的シンプルで、回り舞台を使って場面転換を図っていました。途中、ストロボライトを使った照明なども見られましたね。

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さて、お話ですが、歌を歌わせるために子ども達を自分の宮殿に拉致しているReißteufel(鬼)が、今度はアントニーをさらってきます。Reißteufel(鬼)に拉致された勇敢な少女(という想定の)アントニーは、2匹のコウモリ、無言の使用人ジョナサンの助けを借りて拉致された子供達を宮殿から解放させるというお話です。

当然、その中に冒険的な要素が多数含まれています。Urstrumpftanteの寝室に忍び込んで、宮殿から子ども達を解放するための方法を聞き出します(ただし、一筋縄では、その方法を教えてくれないために一工夫します)。そして、Zeitenfresserという「悪魔の一味」がReißteufelの「心」を盗んで、時計に仕込んでいることがわかります。この「心」をReißteufelに戻すこことで、子ども達は自由になれるのです。そこで、アントニーはコウモリと協力し、悪魔の時計を止めて「心」を奪い返し、Reißteufelに戻します。また、最後は、鬼からの「あるプレゼント」で「無言の使用人」ジョナサンにも言葉が戻ります。

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フィナーレはヒップホップのメロディに乗り、ブレイクダンスを踊るという展開になっていた。休憩20分を挟んで、2時間なので、子供さんでも退屈しないで観ることができると思います。とにかく出演者特殊メイクである上に、場面転換が早いので、子供さんが喜びそうです。

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また、プログラムも通常のものではなく、特製プレイングカード付きのものでした(ボックス入り、5ユーロ)。実際のプログラムは数ページで、後はプレイングカードの遊び方説明が中心…メインのプログラムですが、最近の演目にもかかわらず、あらすじなどはドイツ語版だけ(別途出演者リスト付き)。つまり、ターゲットが「地元の子供さん」ということが明確に示されています。もちろん、外国人の大人が観てもよいのですが、そういった心づもりで来てね…ということでしょう。

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作曲家で指揮をしたChristian Kolonovitsは人気があるようで、大人からも盛大な拍手とブラファが送られていました。また、フォルクスオーパーでは珍しい「床鳴らし」も行われていましたね。

日本だったら、学校単位の観劇会あたりの演目になりそうな感じです。当日は子供さんが6割以上を占めていましたが、家族揃って来ている方ばかりでした。きっと、見終わった後は、「アントニーと鬼」の話題で、一家団欒の一時を楽しむのでしょう。こういった文化は、ある意味、うらやましいですね。

このように考えると、単に「子供向けのミュージカル」だから…といって手を抜くのではなく、大人の鑑賞にも十分耐えられる演技と歌(マイクは使っていますが)を提供していることも頷けます。

また、現在、フォルクスオーパーをはじめとする歌劇場では、如何にお客さまに来てもらうか…ということに腐心しています。当初、「よく、こんな特殊メイクの役を、オペレッタの主役級が引き受けたなぁ」と思ったのですが、このレベルの歌手が大量に出演しているとなれば、大人も子供さんを連れて、来てみようかな…という気持ちにもなるでしょう。つまり、劇場発展のために、積極的に協力しているのだと思います。

わざわざ「アントニーと鬼」だけを観るために、日本からウィーンに行くのはもったいないとは思いますが、もしウィーン滞在中、ちょっと面白い演目がないなぁ…と言うときは、一度ご覧になっても良いかもしれません。ちなみに地元紙の評価ですが、クリーエは★★★★だったようです

少なくとも完全オリジナルなので、「ドイツ語版リゴレット」よりは、はるかにまともです(まぁ、あれはあれで、面白いですが… ) 。なお、2010年1月以降、シーズン終了までに14公演が予定されています(この公演数は、破格の扱いですね )。

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