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December 07, 2009

ツェルビネッタよ永遠なれ

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明日、12月8日、こちらは祝日なので、今日は恒例の「窓の日」です。オフィスでは、突然、社員が欠勤して大変かもしれませんね。

さて、今日は「オペラの話題」をお届けしましょう。

今シーズン、ウィーン国立歌劇場でグルベローヴァは2演目に出演します。一つは「ナクソス島のアリアドネ」(11月27日~12月6日、3公演)、そしてもう一つは「清教徒」(2010年1月25日~2月3日、3公演)です。ご存知の方も多いと思いますが、ご本人は「60歳を過ぎたらオペラのフル出演はしない」というようなニュアンスの発言を以前されているので、最近はオペラの場合「これが最後か?」という雰囲気になってきています。

グルベローヴァのファンサイト(公式サイトではありません)には、詳しいファンが集めた情報が沢山掲載されていますが、その中のスケジュールにFeriは注目しています。というのは、公式情報前に公演スケジュール(予定)が出ることが多く、自分のスケジュール立案の参考になるためです。しかも、その精度が異常に高いのです(ほぼ90%の確率で当たります)。

それを見ると、ウィーン国立歌劇場でグルベローヴァが出演するオペラは、2010/2011シーズンも予定されていますが、「ランメルモールのルチア」(2008/2009シーズン)、「ナクソス島のアリアドネ」、「清教徒」などは入っていません。逆にウィーンでは新演目となる「Lucrezia Borgia」(バイエルンで観た演目です)が計画されているようです。

そうなると、かつてカール・ベームが絶賛した名演ツェルビネッタもウィーンでは見納め…ということになります。となると、ウィーンに現れるのがFeri…という訳で、当日の模様をお伝えしましょう。

ちなみに前回、ウィーン国立歌劇場でグルベローヴァが「ナクソス島のアリアドネ」に出演したのは2008年9月です。

好き者Feriは12月1日と最終日の6日の2公演を観ましたが、出演者は基本的に同じでした(Tanzmeister役だけが1日と6日で異なりました)。

今回はUlf Schirmerが指揮を務めました。主なキャストですが、執事役は2008年と同じくHelmuth Lohner、音楽教師役がOskar Hillebrandt、作曲家役はMichelle Breedt 、テノール役(バッカス役)はLance Ryan、ツェルビネッタ役はKS Edita Gruberova、プリマドンナ役(アリアドネ役)はKS Adrianne Pieczonka、道化師ハルレキン役がClemens Unterreiner、トルファルディン役がJanusz Monarcha、スカラムッチョ役がPeter Jelosits(2008年と同じ)、ブリゲッラ役がAlexander Kaimbacher(2008年と同じ)といった面々でした。

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プロローグの主役、作曲家を演じたMichelle Breedt は、一生懸命さは十分伝わってくるのですが、全般的に低音が弱い(声が十分伝わってこない)ように感じました。また、高音についても、かなり無理をしているように感じる場面がありました。ただ、真摯な姿勢が伝わってくるため、お客さまからは大きな声援を受けていましたね

グルベローヴァ演じるツェルビネッタは、プロローグでは意図的に歌を押さえて、作曲家との掛け合いをはじめとする「演技」で場を盛り上げるところが面白いですね。このあたり、お芝居に強いグルベローヴァの面目躍如…といったところです。

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さて、お客さまのお楽しみは、休憩後の「劇中オペラ」での目玉、ツェルビネッタ歌う「去った男を忘れれば、新しい愛に巡り会う」でしょう。さすが、グルベローヴァ、この場面は本当に見事でした。全盛期に比べると、おそらく声の艶は衰えているのでしょうが、それを抜群の歌唱力でカバーしてしまう技には、ただただ驚くばかり…グルベローヴァのすごいところは、音域の広さと正確さでしょうね

ところで、毎回、グルベローヴァのツェルビネッタを観て感じるのは、歌唱力や歌唱技術に加えて、演技がすばらしいことです。何気ない仕草で「うら若き女性」を舞台上に再現できるのですから、本当に見事です。

最近では、こういった高い演技力を持つオペラ歌手が減ってきているだけに、あらためてグルベローヴァのすごさを実感した舞台でした。なお、このパートが終わった後は、延々5分以上も拍手とブラヴァの嵐…なかなか次のパートに入れませんでした。前回もそうでしたが、道化師ハルレキン役が乱入して、半ば強引に舞台を次に進めていました。

また、今回はアリアドネ役に起用されたKS Adrianne Pieczonkaが、なかなか見事な歌いぶりで、後半も引き締まった舞台になりました。正にディーヴァの競演といった趣でした。

そして、カーテンコールでは、1日、6日とも大量の花束がグルベローヴァに投げ込まれました。6日は、もしかするとウィーン最後のツェルビネッタ…になる可能性があるためか、熱心なファンがなかなか帰らず、「怒濤のカーテンコール」が続きましたね。

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お開きの後、楽屋口までお出迎えに行きましたが、グルベローヴァご本人も上機嫌で、改心の出来であったことが良く伝わってきました。

それにしても、毎回、オペラ主演で全力を出し切った後にもかかわらず、笑顔でサインに応じる姿には頭が下がります。こういった姿勢に惹かれるファンも多いのでしょう(Feriもその一人ですが )。

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Comments

Feriさん、saraiです。こんにちは。

いつもながら、詳細なレポートありがとうございました。はっぱさんのHPも併せて読ませていただき、ただただ、羨ましさに尽きます。

結局、私はウィーンでのグルヴェローヴァのツェルビネッタは聴かず仕舞いになりそうですね。
ただ、レポートを読んでいるだけで、ほぼ、想像はつきます。前にウィーンでアリアドネを聴いたときはツェルビネッタはダムラウでなかなか素晴らしかったのですが、グルヴェローヴァ節のような自在さは独特で別物ですね。不世出のものだと感じます。

パリのガルニエでナタリー・デッセイのツェルビネッタを期待して聴いたことがありましたが、やはり、グルヴェローヴァとは別世界でした。

グルヴェローヴァはルチアももちろん素晴らしいですが、どうしてもひとつだけ選べと言われれば、やはりツェルビネッタを選んでしまうでしょう。

ため息をつきながら、レポートを拝見しました。
では。

Posted by: sarai | December 08, 2009 10:17

saraiさま、コメント、ありがとうございます。

確かに「次元が違う」というのが正直なところかもしれません。頭二つ抜け出していますから、比較される方が気の毒ですね。

グルベローヴァというと「狂乱の場」も迫真の演技で魅せるものがありますね(個人的には、これはこれで好きなのですが…)。こちらは、思わず「本当の発狂したのではないか」という「息をのむ演技」ですが。

ファンサイトを見ると、オペラ出演の回数が減り、リサイタル系が多くなっているようです。リサイタルもすばらしいのですが、やはりフルバージョンのオペラで「凄さ」が最大限発揮されるだけに、今後のご活躍を期待したいところです。

Posted by: Feri | December 08, 2009 16:06

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