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January 25, 2010

「こうもり」こぼれ話 フォルクスオーパー編 その1

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例年ならば、そろそろ2010年最初の現地からのレポートが掲載されるのでは…とご期待していただいている皆さまもいらっしゃるかもしれません(いませんかね think )。ところが、2010年は諸般の事情で、年始にはウィーンにおりませんでした weep 。そのため、2010年の国立歌劇場「こうもり」については、レポートをお届けすることができません。

そんな訳で、今日から「オペレッタ・こぼれ話シリーズ」としてフォルクスオーパー版「こうもり」を連載でお届けしましょう。今までの総集編です happy01

ところで、「こうもり」というオペレッタですが、そもそも妙なタイトルである上に、オペレッタの内容と直接関係がありません。ですから初めて観る方は、「タイトルが、どのように内容と関係があるの?」という感じでピンと来ないと思います think

という訳で、最初に簡単な解説を…happy01 オペレッタの内容から言えば「こうもり博士の笑いの復讐」というのが、「本来のタイトル」になるでしょう。

今流に言えば、有名人をはめる tv テレビ番組「ドッキリカメラ」のような内容です。ターゲットは、新興成金のアイゼンシュタイン氏(職業ですが、銀行家や地主という説があります)。実は、それ以外の出演者は、全員仕掛け人です。が、オペレッタを観ているお客さまに、それがわかるのは、3幕のエンディング直前という流れになっています。

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仕掛け人の中心人物は、かつて仮装舞踏会にアイゼンシュタイン氏と出席したファルケ博士。その時、ファルケ博士は「こうもり」、アイゼンシュタイン氏は「蝶」の仮装で舞踏会に出席したのは良かったのですが、酔いつぶれてしまい、帰宅途中、街中で仮装のまま寝てしまったのです。

その時、友人のアイゼンシュタイン氏はファルケ博士を介抱せず、街中に放置したまま、帰宅してしまいました(森の中という説もあります) bearing

翌朝、ファルケ博士は、多くの市民の目にさらされながら、恥ずかしい「こうもりの仮装」で自宅に戻るはめになりました。それをきっかけに「こうもり博士」というあだ名が付いてしまった…という訳です。

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ファルケ博士も、常々、何とかアイゼンシュタイン氏に、一泡吹かせたいと考えていたのです。たまたまアイゼンシュタイン氏が、税務署員を屈辱したかどで禁固刑に服することになったタイミングを見計らい、皆でアイゼンシュタイン氏を笑いものにしよう(つまり自分と同じような体験をさせよう)と考えたのでした。

これが、実はオペレッタの前にあるプロローグです。

ちなみに、「こうもり博士」というあだ名がついたいきさつは、2幕のオルロフスキー邸での夜会(大晦日)で、アイゼンシュタイン氏自身が、オルロフスキー侯爵の質問に答える形で説明します。

しかし、この夜会に仕掛け人全員(3幕で登場する看守のフロッシュを除く)参加するのですが、観客には「あたかも偶然、夜会に集まってきた」ように見えるお芝居になっています。

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アイゼンシュタイン氏の奥さまロザリンデと小間使いのアデーレは、ともに仕掛け人なのですが、1幕ではアデーレが夜会に行くため、お暇をロザリンデ夫人におねだりします。が、ロザリンデ夫人は、最初はつれなく“それはダメ”と一蹴します。

さらに、ロザリンデ夫人の愛人のように見えるオペラ歌手アルフレードも、実は仕掛け人で、実は今はロザリンデとは「ただれた関係」にはなっていない…という裏事情が3幕で本人から暴露されます。

つまり、ヨハン・シュトラウスⅡ世は、意図的に「お客さまも騙すようなストーリー展開にした」という訳です。

こういった事情を知らなくても十分楽しめるのですが、「ドッキリカメラ的な視点」で観ると、各場面でターゲットのアイゼンシュタイン氏を貶める仕掛け(笑いの復讐なので、毒は弱いですが…あくまでもユーモアにあふれたウィーン流です)が多数、組み込まれていることがよくわかります。

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なお、このオペレッタの中で、唯一、「事実」という想定になっているのは、アイゼンシュタイン氏が禁固刑で8日間、刑務所に収監されることでしょうね(当初、刑期は5日だったのですが、刑期が8日間に延びた理由は、取り消し請求の裁判所申し立てに失敗したためだとか…そのため、1幕では弁護を担当した弁護士ブリント氏をアイゼンシュタイン氏がののしる場面がありますね)。

アイゼンシュタイン氏にとっては、刑務所に収監される前に、ファルケ博士のアイデアによる「笑いの復讐」を受けるという、踏んだり蹴ったりの年越しになってしまいました weep

ちなみに、ヨーロッパの歌劇場で大晦日だけオペレッタの「こうもり」を上演するのは、このオペレッタの設定が12月31日から1月1日にかけてのお話だからですね。

今日は、前振りが長くなってしまったので、本来のフォルクスオーパー版こぼれ話については、明日からお伝えすることにしましょう heart04


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