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February 10, 2010

フォルクスオーパ-「ハワイの花」プルミエレポート(その3)

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フォルクスオーパー「ハワイの花」プルミエレポート(その3)は、休憩後の二幕と「出演者の感想」をご紹介しましょう。

第二幕は「映画ハワイの花」の続きです。まずは、ジム・ボーイが華麗にサーフィンをしている場面から始まります。そこへハワイアンのラカがやってきて、二人で楽しそうに話をはじめ、それがダンスに変わっていきます。ちなみに公演プログラムには、ジム・ボーイ役のGaines Hallさんが、サーフィンの振り付けをトレーニングしているシーンが掲載されています。

そこへ観光客が大挙してやってきて、ビーチは大騒ぎ(舞台上では、観光客の皆さまがビーチボールのやり取りをします…ゲネプロでは、このボールが誤ってオーケストラピットに落下する場面も coldsweats01 )。ジム・ボーイとラカは人気のいないところへ逃げていきます。

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このビーチに、今度は許嫁であるラヤ王女リロ・タロがやってきます。ラヤ王女は、自分がハワイアン達を統治できるかどうか、悩んでいるのです。しかし、ハワイアン達は、何としてもラヤ王女がリロ・タロと結婚し、「花の女王」に就任してもらいたいと思っています(何しろ、自治権が自分たちの手に戻るかどうかが決まりますから…)。

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しかし、ラヤ王女は「花の女王」の大切さを知りつつも、キャプテン・ストーンに思いを寄せています。キャプテン・ストーンが好きなことを、薄々感じているリロ・タロは、形式的な結婚と「花の女王」就任後は彼女を自由にすることを、ラヤ王女に約束します(右の写真はビーチでリロ・タロがラヤ王女に愛を告白する場面です)。

話がこんがらがってきましたね。何となく雰囲気は「微笑みの国」のようになってきましたね。

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一方、リロ・タロに思いを寄せるベッシーは、恋敵になるラヤ王女の存在が面白くありません。そこで、脚本家のジョン・バッフィーに映画の脚本変更を依頼します。新しい脚本は、恋敵のラヤ王女を殺害するというものでした。

新しい脚本に沿って、ジム・ボーイが軍司令官に扮して、ストーンに「花の女王」就任式で、ハワイアン達が反乱を企てた場合、それを鎮圧するように命令を出します(写真は万が一に備えて、自分も王女殺害の準備をするジム・ボーイです。ごていねいに顔にドーランを塗っています。あんたはテロリストか pout ただ、この場面でのタップダンスは見事ですねぇ。格好いいです heart02 )。さらに、ジム・ボーイ扮する司令官は場合によっては愛するラヤ王女を逮捕、または射殺するように命じます。

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この命令にびびりまくるストーンですが、指揮官ですから、部下である海軍の兵士達を集めて、警備体制を指示するのでした(ここのマーチは楽しいですね。合唱団とバレエ団が白い軍服に身を包んで、華麗なステップを披露します)。また、隊長のキャプテン・ストーンも格好いいですね。

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そして、ラヤ王女はリサ・ロタと結婚、「花の女王」に就任し、盛大な式典が行われます。その席で、ロイド・ハリソン提督が、「生涯にわたりハワイ王女になることを放棄する」という書面をラヤ王女に渡し、署名を求めます。ラヤ王女はリサ・ロタやカナコ・ヒロなどと相談しますが、総督の提案をがんとして突き返します。

総督はストーンに王女射殺の命令が出ますが、愛するラヤ王女を打てないストーン。総督はストーンから銃を取り上げます。このシーンで唯一、ストーンの行動を支持するのが、本来は恋人のリズペットです(一人だけ拍手を送ります)。

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ところが、内ポケットに拳銃を隠し持ったジム・ボーイがラヤ王女の前に躍り出て、王女を射殺(なお、ゲネプロの時は、ジム・ボーイがストーンから拳銃を奪い取るような展開になっていました)。ラヤ王女はリサ・タロの腕の中で息を引き取るところで、映画の撮影はクランクアップ

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カットの合図で、俳優さんは撤収に入ります。ところが、リスペットは、映画と現実がゴチャゴチャになってしまい、映画が終わってもリサ・ロタが自分を好きだと勘違い。

一方、撮影が終わったとたん、スザンヌ・プロヴァンスも役が終われば高貴な王女から高飛車な女優に戻ってしまいました。そしてストーン役のハロルド・クラトクビルを“あんたは臆病者ね。海軍士官役なのだから、毅然とした姿勢で臨まなければだめじゃない”と罵倒されます。この言葉に落ち込むハロルド・クラトクビル down

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一方、オスカー・フォン・ホルメイが自分を気に入っていると思い込んでいるリスペットは、オスカー・フォン・ホルメイに自分の魅力を再度アピールするものの、“あれは役の中での話だからね。僕が好きなら、ブロマイドにサインをしてあげるよ”と言われ、落ち込むリスペット down 。周囲には撮影スタッフや俳優さんもいません。

しかし、これで終わらないのがフォルクスオーパー版の良いところです。二人は、お互いの良いところを指摘し合い、お互いの愛を確かめ合います heart04 。このタイミングで、再び撮影スタッフや俳優陣がカップルを祝福するために集まり、フォルクスオーパー版オペレッタの方はハッピーエンドでお開きとなります。

「映画中の役」の性格と、役者さんの性格が極端に違う(つまり、演技と本物は違う)ところが、フォルクスオーパー版の面白いところです。映画の役に惚れ込んだものの、本物を見るとガッカリするような性格の人だった…。つまり、幸せは足下にあるのですよという示唆に富んだオペレッタということになるのでしょうかね happy01

さて、フォルクスオーパー版の「ハワイの花」は、キャスティングが見事でした

ハラルド・クラトクビル役(アメリカ海軍士官キャプテン・ストーン役)のThomas Sigwaldさんは、歌、お芝居とも見事の一言です。正に彼向きの役でしたね。

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一方、ハラルドの恋人リスベット役(ベッシー・ワトソン役)のEva Maria Maroldさんも、お芝居の部分ではウィーンなまり前回で、大ブレイクしていました。とにかく演出家に注文をつけだしてから、テンションが上がりっぱなしでしたね(イチャモンの付け方が面白いのですよ)。

本来の主役スザンヌ・プロヴァンス役(ハワイ王女ラヤLaya役)のSiphiwe McKenzie Edelmannさんはフォルクスオーパー初出演ですが、歌、お芝居ともなかなか堂に入っていました。勝ち気な王女の性格を良く表現していましたね。また、なかなかきれいな人なので、映画俳優役にはうってつけかもしれません。歌唱力については、今回はマイクを使っていたため、はっきりはわかりませんが、今後が楽しみな歌手です(ちなみに、ご出身はカナダだそうです)。

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映画俳優オスカー・フォン・ホルメイ役(リロ・タロ役)のChristian Baumgärtelさんも、ここ一番では見事な歌声を披露してくれました(一幕のフィナーレなど。Thomas Sigwaldさんと張り合っている場面もみられました)。

今回、改めて魅力を再認識したのが、映画の中では若いハワイアン・ラカ役だったMartina Dorakさんです。映画中もフォックストロットはお手の物。歌って、踊る見事な「歌役者ぶり」を披露してくれました happy01

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が、Feriが「その魅力」を再発見したのは、フィナーレの場面です。映画の撮影が終わり、私服になったMartina Dorakさん。ショートカット(もちろんカツラ)のヘアスタイルに1930年代のタイトなアメリカンファッションが良く似合うこと heart04 。しかも、エンディングでは、この姿でフォックストロットを踊るのです。キュートな感じが炸裂していました。「メリーウィドウ」のヴェランシェンヌ役もいいですが、彼女の新しい魅力を再発見した一コマでした(左側写真の左から二番目がMartina Dorakさんです。ちなみに一番左側は、ご存知、Josef Luftensteinerさんです)。

そして、カーテンコールでも盛大な拍手を浴びていたのが、ジャズシンガーのジム・ボーイ役として登場したGaines Hallさんです。彼は、歌は必ずしもうまいとは言えないのですが、タップダンスの名手で、これでお客さまを虜にします。格好いいのですよ。本当に。当然、カーテンコールでもタップダンスを披露していました。若い頃のSándor Némethさんを彷彿させる足裁きでした。

正直、最初、Feriは「オリジナルのストーリーをここまでいじってしまって良いのだろうか」と思ったのですが、オリジナルの内容を尊重しつつ、今のお客さまにも感情移入しやすいように作り込んだ演出は見事でしたね。また、フォルクスオーパー版の場合、台詞だけの箇所が多いのですが、テンポの良い展開で間延びするということが全くありませんでした。

新聞評については、追ってお知らせしますが、少なくともお客さまの多くは、温かい高揚した気持ちになって劇場を後にしたことは間違いありません。実際、Feriの隣の席にいたおばさまは、フィナーレの曲(My Golden Baby)を一緒に歌っているほどでしたからね。

「ハワイの花」は正統派のウィンナオペレッタではありません。しかし、今回のフォルクスオーパー版はウィーン風のエスプリを十二分に効かせた「ウィンナペレッタの真髄」を具現化した作品に仕上がっていると思います heart02

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今後、回を重ねるごとに、更に良くなっていくと思います。マイヤー総裁も気合いが入っているようで、公演回数も多く設定しています。日本のオペレッタファンの皆さん、是非、ご覧になることをお勧めします

さて、プルミエの「お土産」は、ハワイにちなんで「パイナップルジャム」のミニチュア瓶でした(出口で全員に配っていました)。


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Comments

現地のマスコミ評が入ってきたので、お伝えしましょう。

クリーエ(5星満点スケールの4つ星)
「すばらしきキッチュのオ ンパレード」のタイトルで、褒めています。演出、指揮者はじめ オーケストラ、それに出演者が皆、上出来。

プレッセ(いつも辛口のコメント)
カップルのウィーン訛り、台詞が下品、マイク使用がどうも…

スタンダード
話の筋がややこしい、それぞれの歌、ダンスはいいが、全体として盛り上がりにかける(ダレる…といったニュアンス)。

三紙三様といった感じですね。

なお、フォルクスオーパーのWebサイトでは、すでに動画か公開されています。これを観れば、観たくなりますよ。

http://www.volksoper.at/Content.Node2/home/medien/videobeispiele.at.php

Posted by: Feri | February 11, 2010 at 06:29 PM

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