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February 13, 2010

壮絶新演出 グラーツ歌劇場「チャールダーシュの女王」(その1)

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2009/2010シーズン、フォルクスオーパーではカールマンの作品が消えてしまいましたが、グラーツ歌劇場では「チャールダーシュの女王」が新演出で上演されることがわかりました。

プルミエは1月23日だったのですが、2月上旬、観るチャンスが巡ってきました。今日は、グラーツ歌劇場版「チャールダーシュの女王」のレポートをお届けしましょう。なお、Feriは、グラーツ歌劇場は初めてである上に、「あっと驚く演出」だったので、数回に分けてお届けします。

まず、指揮はTecwyn Evansさんが務めました。また、演出はPeter Konwitschnyさん(これが問題の方)、舞台装置はJohannes Leiackerさん、振り付けはEnno Markwartさんといった皆さんです。

キャストですが、リッペルト侯爵役がGerhard Balluchさん、リッペルト公爵夫人役がUschi Plautzさん、エドウィン役がLadislav Elgrさん、スタージ役がSieglinde Feldhoferさん、ボニ役がMartin Fournierさん、シルヴァ役がÉva Bátoriさん、ローンスドルフ男爵役がJános Mischuretzさん、フェリ・バチ役がGötz Zemannさんといった面々でした。

このプロダクションは、実はグラーツ歌劇場のオリジナルではなく、ドレスデン・ゼンパーオーパーシュタットオペレッタ・ドレスデン(申し訳ありません。Feriが勘違いをしていましたので、訂正しました bearing )から導入したものです(つまり、プロダクションの上演権を購入した訳です。ゼンパーオーパーでは1999年に上演されたようです。ごく最近まで知りませんでした)。

しかも、ドレスデンでは、この演出の上演中、お客さまが騒ぎ出し、中断を余儀なくされた…という曰く付きのプロダクションだそうです。

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さて、「チャールダーシュの女王」は通常、三幕構成(一幕:ブダペストのオルフェウム劇場、二幕:ウィーンにリッペルト公爵邸、三幕:ウィーンのグランドホテル)で、最近では一幕後に休憩、二幕と三幕を続けて上演する方式が一般的です。

が、本プロダクションは、一幕に続いて二幕に突入。二幕の途中で休憩(上演時間90分)、その後、二幕の後半から三幕を続けて上演するという変則的なパターンでした。実は、これが裏目に出てしまい、はっぱさんのご指摘にもあるように、後半が間延びしてしまいました

それでは、このプロダクションの流れに沿って、概要をご紹介しましょう。

一幕は、ブダペストのオルフェウム劇場。舞台装置もなかなか立派で、劇場の雰囲気が良く出ています。正直、最初は「これは期待できるぞ」と思わせるような雰囲気でした。そして、シルヴァが「看板歌手、最後の歌」となるアリア「登場の歌」(ハイヤ、ハイヤ、私の故郷は山の中)を歌うのですが、なぜか観客がいません。雰囲気としては、公演が終わってしまった舞台で、一人、今までの思い出に浸りなが口ずさむ…といった雰囲気です。

ここでのシルヴァの衣装は、ハンガリー風の民族衣装で、雰囲気はばっちりです。が、そういったシチュエーションなので、「登場の歌」で一気にお客さまを引きつけるような歌い方ではないのです。また、Éva Bátoriさんですが、オルフェウム劇場が誇る歌姫の雰囲気に全然合っていません。ちょっとお歳を召していること以上に、お芝居(仕草を含む)がおばさんスタイルなので、オルフェウム劇場に通う人たちを魅了する歌姫に見えないのです。Feriは、最初、リッペルト公爵夫人が昔を懐かしんで出てくる演出なのかと、本気で思ってしまったほどです coldsweats01

その後、「登場の歌」の途中から、舞台上の客席下からお客さま役が現れ、華やかな雰囲気になります。ここでもびっくり演出。何と、シルヴァが来ているものを脱ぎ捨てて、お客さまに投げはじめたのです。いつからオルフェウム劇場が「場末のストリップ小屋」になったのでしょうか。まぁ、「アメリカへ渡るから、ここでの公演はしないわよ」という意味だとは思いますが、表現がストレート過ぎて、こういう演出は、Feriには好きになれません。ちなみに、その後も、こういったストレートな表現が多用されます(演出家のペーター・コンビュチュニーさんはドイツ人なので、ドイツ人のメンタリティなのかもしれません)。

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その後、一幕はほぼ、定番通りの展開(曲順、お芝居な中身)で続くのですが、「劇場の客席」だけで第一場から六場まで展開するため、舞台に変化が乏しく、たいくつな感じに見えてしまいます。フォルクスオーパー版では、「吊しもの」を上手に活用して場面転換を行っているのと対照的ですね(改めてフォルクスオーパー版の演出がすばらしかったことが確認できました)。

唯一、違うのはエドウィンをウィーンに連れ戻す理由が、「戦争が始まったから」という点くらいでしょうか。

エドウィンは公証人を呼び、8週間のうちにシルヴァと結婚する約束を書面にし、彼女のアメリカ行きを断念させます。一幕では最も盛り上がる劇場関係者から祝福される場面です(メンデルスゾーンの結婚行進曲もありました)。

エドウィン発ったあと、ボニがオイゲンから手に入れたエドウィンとスタージの婚約通知を、シルヴァに見せて、彼女が落胆するのですが、ここで、何と劇場が砲撃され、劇場スタッフや観客ちりぢりばらばらに逃げ惑う…というところで、一幕が終わります。情緒もなにも、あったものではありません。また、フェリ・バチの位置づけが中途半端で、単なる変なオヤジに見えてしまいました(歌手のGötz Zemannさんは良い雰囲気を持っているのですが、この演出では良さを生かし切れていません)。

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暗転ではなく、そのまま二幕に突入します。すでに爆撃で劇場セットの1/3は破壊されていますが、ここが次の舞台です。ただ、「ここ」が攻撃を受けているリッペルト公爵邸なのか、単なる戦場なのかは不明でした。

合唱団、バレエ団の面々は、今までの華やかな服装から軍服に着替えて、ワルツのリズムに合わせて塹壕を掘っています。塹壕を掘り終わったところに、リッペルト公爵と夫人が、これまた第二次大戦風の軍服で登場します。ごていねいに婦人はガスマスクまで装着しています。まぁ、ワルツのリズムで塹壕堀りは、ご愛敬と言っても良いでしょうね。コミカルな演技で面白かったところです。

ここでは、すでにエドウィンは第二次大戦のドイツ陸軍の服装で登場します。普通でしたら、かわいいドレス姿で登場するスタージ、ここでは従軍看護婦です(でも、Sieglinde Feldhoferさん白衣姿が決まっていますね。かわいいのでOK)。そして、銃弾飛び各戦場でスタージとエドウィンのやりとりが行われます。

とにかく戦場ですから、やたらに爆発が起きるなど、まぁ、騒々しいこと。

そこヘシルヴァが、ボニと現れます(何のために戦場にやってくるのかは意味不明)。本来、ボニはスタージと幼なじみで、合った瞬間に、惚れてしまうと言う「オペレッタらしい複数の恋物語」に始まりになるのですが、そういった伏線が感じられない演出でした。また、ボニが使う小道具が「モーツァルト・クーゲル」です。スタージの気を引くために使うだけではなく、中に火薬が入っていて、忍者よろしくこれを爆発させて、目くらましをする…という展開もみられました。

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Feriが一番、不満だったのはボニとスタージの二重唱の場面です。ボニがヘルメットをかぶっているのはご愛敬としても、対戦車ロケット砲(RPG-7かな)を構え、スタージに狙いをつけながら歌うのは勘弁して欲しいですね(この場面が、冒頭に掲載した劇場誌の表紙)。まぁ、演出の趣旨としては「スタージの心を射貫く」という意味でしょうが、これでロケット弾を発射してしまったら、スタージは飛び散ってしまいます。

実際、歌の後半、暴発したロケット弾で建物が派手に破壊されます。スタージはボニから対戦車とケットのランチャー(弾が出てしまった後のもの)を自分自身に向けて怒り狂う場面があります(とにかく男も女も攻撃的)。第二幕前半が終わったところで、休憩となります。最後の写真は、前半のカーテンコールです。左から、エドウィン、ボニ、スタージ、リッペルト公爵、オイゲンという順番です。

notes 以下、明日に続きます notes

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